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鞭毛虫 Mastigophora

Diesing, 1866
| 動物性鞭毛虫 ( ディプロモナス; トリコモナス ; 超鞭毛虫 ; キネトプラスト ; ビコソエカ ; 襟鞭毛虫 ; 他 ) |
| 植物性鞭毛虫 ( 渦鞭毛藻 ; ミドリムシ ; クリプト藻 ; ハプト藻; プラシノ藻 ; ボルボックス類 ; 他 ) |

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= Flagellata
鞭毛をもつグループ。 鞭毛の長さ,本数は様々である。また、形態的にも何も付属構造のない「裸」の鞭毛から、 鞭毛の片側または両側に細かな突起物ないし絨毛が多数でているものなど様々である。
細胞内に葉緑体をもつ植物性のものと、もたない動物性のものとに大別される。

この動物/植物の区分は、現在では意味を失いつつある。それは、葉緑体をもつかもたないか という違いはあまり基本的な違いではないことがわかってきたからである。植物性鞭毛虫 (ないし鞭毛藻) の中には、藍色細菌(もしくは他の光合成細菌)の細胞内共生に由来する、いわゆる葉緑体をもつタイプ (プラシノ藻ボルボックス)以外に、 そのような一次共生による光合成真核生物をさらに内部共生(二次共生)させた 植物性鞭毛虫もいることがわかってきた。それらはクロミスタ と呼ばれるグループに含めることが提唱されている。
さらに、渦鞭毛虫(藻)の場合は、 そのような二次共生による他の鞭毛藻類を内部共生させていると推測されるようになった(三次共生)。 また、渦鞭毛虫は、その微細構造や分子系統学の結果 から、他の鞭毛虫よりはむしろ、繊毛虫アピコンプレクサといった従来はまったく別と考え られていた生物に系統的に近いことがわかってきた(アルベオラータ)。
一方の動物性鞭毛虫も、ミトコンドリアをもつかもたないかの違い、その他の微細構造の 有無による違いの方が動植物の区分よりも基本的であると考えられるようになってきた( Tetramastigota、および、 Axostylata)。
鞭毛の基本型

a chloromonads, b chrysomonads, c euglenids, d dinoflagellates, e prasinomonads
(adapted from Hausmann and Hülsmann, 1996)

鞭毛の多様性

a uniflagellate; b biflagellate with transverse and logitudinal flagella; c biflagellate with ransverse and longitudinal flagella; d heterokont- biflagellate, one flagellum bears mastigonemes; e biflagellate with one recurrent flagellum; f biflagellate with two fimbriated flagella originating from an apical invaginatio or gullet; g tetraflagellate with one recurrent flagellum; htetraflagellate with undulating membrane.
(adapted from Hausmann and Hülsmann, 1996)

有毛根足虫門(肉質鞭毛虫門) Sarcomastigophora Honigberg & Balamuth, 1963
  鞭毛虫亜門 Mastigophora Diesing, 1866
    (「An Illustrated Guide to the Protozoa」;「生物学辞典」;「原生動物図鑑」)

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Subdivisions
オパリナ Opalinids  (Opalinata / Opalinatea / Opalinida)
 Cepedea, Opalina, Protoopalina, Zelleriella
動物性鞭毛虫
 Zoomastigophora
襟鞭毛虫目(エリヒゲムシ) Choanoflagellida 150種
ケルコモナス目 Cercomonadida
プロテロモナス目 Proteromonadida
ハラヒゲムシ目 Retortamonadida
ピルソニンファ Pyrsonymphids
(=オキシモナス目 Oxymonadida)
マスチゲラ目 Rhizomastigida
エブリア目 Ebriida
ビコソエス目 Bicosoecida 40種
Basal Eukaryotes
ディプロモナス目(ヒゲハラムシ) Diplomonadida
 Giardia lamblia (ランブル鞭毛虫)
Basal Eukaryotes
キネトプラスト目(マクムシ) Kinetoplastida
 Trypanosoma (ネズミマクムシ)
600種
Basal Eukaryotes
パラベイサル Parabasalids
ホネマクムシ目 Trichomonadida
ケカムリ目 Hypermastigida
植物性鞭毛虫
 Phytomastigophorea
Basal Eukaryotes
ミドリムシ  (=ミドリムシ植物
800種
アルベオラータ
渦鞭毛虫(オビムシ;=渦鞭毛植物 ヤコウチュウ
4000種
クロミスタ
カゲヒゲムシ  (=クリプト植物
100種
クロミスタ
プリムネシウム  (=ハプト植物)
クロミスタ: 不等毛植物
ヒカリモ  (=黄金色植物;Chrysomonad)
 1000種
クロミスタ: 不等毛植物
ラフィドモナス  (=ラフィド藻)  Chattonella
緑藻植物
ピラミモナス  (=プラシノ藻
緑藻植物
ボルボックス

References

  1. Hausmann & Hülsmann, 1996, Protozoology, Thieme Medical Pub.
  2. 岩波・生物学辞典・第4版, 1996, 岩波書店.
  3. Margulis, L., Corliss, J.O., Melkonian, M. and Chapman, D.J. (eds.) , 1990, Handbook of Protoctista. Jones and Bartlett, Boston.
  4. ハウスマン, 扇元訳, 1989, 原生動物学入門、弘学出版.
  5. Margulis & Schwartz, 1988, Five Kingdoms; An illustrated guide to the phyla of life on earth., Second edition, Freeman and Company.
  6. Lee, J.J., Hutner, S.H. & Bovee, E.C. (eds.), 1985, An Illustrated Guide to the Protozoa., Society of Protozoologists.
  7. 猪木正三監修, 1981, 原生動物図鑑, 講談社サイエンティフィク.
  8. 廣瀬弘幸・山岸高旺編, 1977, 日本淡水藻図鑑, 内田老鶴圃.
  9. Kudo, R.R., 1966, Protozoology 5th ed., Charles C Thomas Publisher.


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