Peridiniales; ペリジニウム目
1 2Gonyaulacales; ゴニオウラクス目
3 4Gymnodiniales; ギムノジニウム目
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1; Peridinium bipes, 2; Scrippsiella sp., 3-4; Ceratium sp.,
5; Gymnodinium aeruginosum, 6; Gymnodinium paradoxum, 7-8; Gyrodinium sp.,
双鞭毛藻と訳すこともある。(「細胞の共生進化」など)
ディプロモナス (Diplomonas)は重複鞭毛虫と訳すが意味的に同じなのでややこしい・・・。
セルロース板でできた硬い殻をもつのが特徴。多数の殻板(thecal plate、鎧板)で 構成される。中間に挿間板(intercalary plate)がある場合がある。殻板は細胞膜下に配列する平面の空胞 (アルベオラ Alveole;胞状体;amphiesmal vesiclesともいう)内にある。
皮質(cortex)には放出体として毛胞 (trichocyst;糸胞ともいう)がある。 (一部のそれは nematocystsと呼ばれている。)
収縮胞をもたない。海産のものでは部分的に肥大した水嚢(Pusulen; pusules) をもち浸透圧調節を行っている。
2つのうねりのある溝が細胞表面にあり、1本は細胞の赤道上に(横溝 cingulum という)、他方は縦に伸びている(縦溝 Sulcus)。 この溝に沿って鞭毛が配置されている。鞭毛の長さは不等長。 鞭毛は羽型と片羽型(または裸)のものがそれぞれ1本ずつある。
鞭毛の基本型 a chloromonads, b chrysomonads, c euglenids, d , e prasinomonads
(adapted from Hausmann and Hülsmann, 1996)数珠状の核をもつ。ヒストンがほとんどない。分裂の中間期でも染色体は凝縮したまま。 核分裂の際にクロマチンは紡錘糸と結合せず核膜と結合する。これら核の特徴から渦鞭毛虫類は これまでは非常に原始的な生物であると考えられていた。しかし、・・・。
「最近の分子系統学的解析により、渦鞭毛藻類は繊毛虫類やアピコンプレクサ類 (寄生性の生物群、マラリア原虫のPlasmodiumなどを含む)と単系統群を形成することが明らかとなった。 (ここで単系統群とは共通の祖先生物から生じた生物群のことである。)これら3群を アルベオラータ (Alveolata)として、より高次の分類群として扱うことも提唱されている。」(堀口 1996)
・・・ということで、かならずしも原始的な生物ではない。むしろ、原生生物の中では比較的後に 進化したグループだと考えられるようになってきた。 (・・・では、核の特殊性はいったいどうして?繊毛虫の遺伝暗号の異常と同じことか?原生生物 進化における特殊性の一例?)
葉緑体にはクロロフィルa, c, β-カロチン、キサントフィル(diadinozanthin)が 含まれる。さらにこの群特有のものとして dinoxanthin, neodinoxanthin、ペリジニンがある。 葉緑体は三重の膜からなる。
細胞質内にデンプンと油滴を貯蔵する。葉緑体は多様で、1)ペリディニンを主要な補助色素にもつ葉緑体、2)フコキサンチンをもつ、おそらく 珪藻類由来 の葉緑体、3)19'-ヘキサノロキシフコキサンチンをもつ葉緑体、4)フィコビリンを含む、おそらく クリプト藻類由来 の葉緑体、5)クロロフィルbを含む緑色植物由来の葉緑体、 などが知られている。(堀口 1996より)
この他に考えられるのは、シアノバクテリア(phaosomes)、紅藻類、プリムネシウム(ハプト藻類; Gyrodinium)、黄金色植物(chrysomonads, e.g., Peridinium balticum)などである。 (「Protozoology」2nd.)
光合成をするタイプの「渦鞭毛藻」の中には、"zooxanthellae" (e.g., Zooxanthella, Symbiodinium) と呼ばれるのもがいる。これらは、放散虫、有孔虫などの他の原生生物や、軟体動物、腔腸動物などの内部 に共生藻として生息している。
一方、光合成をしない従属栄養のみの「渦鞭毛虫」もいる。ヤコウチュウ(Noctiluca)や、 他の原生生物や藻類、甲殻類、魚類などに寄生するBlastodinium, Stylodinium, Oodinium などである。約4000種が記載されている。形態も多様。(「Protozoology」2nd.)
海では珪藻についでバイオマスが多い。 化石としても多く見出される。
発光する Noctiluca(ヤコウチュウ)や赤潮の原因となる Gymnodinium などが知られている。
Gymnodinium, Ceratium(ツノモ)などでは有性生殖が知られている。
追記:
Perkinsus marinumは、当初Dermocystidium marinumとして菌類の仲間に入れられていた が、紆余曲折を経て Perkins (1976)が apical complex様の構造があるのを根拠に Apicomplexaの仲間に変更した。
Levine et al. (1980)はこれを支持したが、Vivier (1982)は、むしろ渦鞭毛藻(虫)類に近いことを指摘した。その後 の分子系統学のデータは(Goggin & Barker 1993, Fong et al. 1993, Siddall et al. 1995, Flores et al. 1996) Vivierの説を支持している。
( Genus Perkinsus at www.vims.edu より)ということで、ペルキンススは、 現在は渦鞭毛藻類の仲間か、その近縁とした方がいいのかもしれない。
ヤコウチュウ目
Noctilucales
= Noctilucidae生活環の大部分を遊泳性で過ごす。
細胞は液胞化している。触手をもつ。プロロケントルム目
Prorocentrales
= Prorocentridae生活環の大部分を遊泳性で過ごす。
鞭毛は細胞前端部から出る。横溝・縦溝がない。ディノフィシス目
Dinophysales
= Dinophysidae生活環の大部分を遊泳性で過ごす。
鞭毛は細胞腹部から出る。横溝がある。
細胞は左右に扁平。鞭毛は上部の腹側から出る。横溝は細胞前半部に偏ることが多い。ギムノディニウム目
Gymnodiniales
= Gymnodiniidae生活環の大部分を遊泳性で過ごす。
鞭毛は細胞腹部から出る。横溝がある。
細胞外被に板状構造(鎧板, thecal plate)がない。ペリディニウム目
Peridiniales
= Peridiniidae生活環の大部分を遊泳性で過ごす。
鞭毛は細胞腹部から出る。横溝がある。細胞外被に鎧板がある。
第一頂板が対称形,底板が2枚で対称に位置する。ゴニオラクス目
Gonyaulacales
= Peridiniidae生活環の大部分を遊泳性で過ごす。
鞭毛は細胞腹部から出る。横溝がある。細胞外被に鎧板がある。
第一頂板が非対称形,底板と後挿間板が計2〜3枚ある。そのうちの1枚が背中側にずれる。
注:「An Illustrated Guide」ではペリディニウム科(Peridiniidae)の中に含まれる。ブラストディニウム目
Blastodiniales生活環の大部分は不動性。
寄生性。有柄鞭毛藻目
Phytodiniales
ディノコックス
(Dhinococcales)生活環の大部分は不動性。
自由生活。栄養細胞は柄をもつかまたは球形。着生するかプランクトン性。
遊走細胞はギムノディニウム型かペリディニウム型。注:「An Illustrated Guide to the Protozoa」やHausman & Hülsmann「Protozoology」では,渦鞭毛虫目(または亜門) を自由生活型の Diniferina亜目(または, Diniferea綱)と寄生性の Syndinina亜目(または, Syndinea綱)に分けている。
Metakaryota上門
アルベオラータ門 Alveolata
渦鞭毛虫亜門 Dinoflagellata Butschli, 1885
Diniferea綱
Syndinea綱(細胞内共生または寄生)
(Hausman & Hülsmann「Protozoology」2nd ed.)
渦鞭毛虫門 Dinoflagellata
(「Handbook of Protoctista」;「五つの王国」)
渦鞭毛植物門 Dinophyta
渦鞭毛藻綱 Dinophyceae
(「生物学辞典」)
有毛根足虫門(肉質鞭毛虫門) Sarcomastigophora Honigberg & Balamuth, 1963
鞭毛虫亜門 Mastigophora Diesing, 1866
植物性鞭毛虫綱 Phytomastigophorea Calkins, 1909
オビムシ目(渦鞭毛虫類) Dinoflagellida Butschli, 1885
(「生物学辞典」)
渦鞭毛虫目 Dinoflagellida Butschli, 1885
(「原生動物学図鑑」)
Images
Culture collection
Subdivisions
プロロケントルム目
Prorocentrales ( = Diniferina亜目/ Prorocentridae科) |
Prorocentrum |
ディノフィシス目
Dinophysales ( = Diniferina亜目/ Dinophysidae科) |
Amphisolenia (コウガイフタヒゲムシ), Mesoporos, Dinophysis, Histoneis, Metaphalacroma, Ornithocercus, Oxyphysis, Triposolenia |
ギムノジニウム目
Gymnodiniales ( =Diniferina亜目/ Gymnodiniidae科) |
Amphidinium, Cochlodinium, Gymnodinium (ヒメハダカオビムシ; ギムノディニウム), Gyrodinium, Erythropsodinium, Hemidinium, Katodinium, Nematodinium, Oxyrrhis, Polykrikos, Torodinium, Symbiodinium (=Diniferina亜目/ Zooxanthellidae科) , Warnowia, Woloszynskia, Zooxanthella (=Diniferina亜目/ Zooxanthellidae科) |
ディノコックス目
Dhinococcales (Phytodiniales) |
Cystodinium, Gloedinium ( = Diniferina亜目/ Gloeodinidae科), Spiniferodinium, Stylodinium |
ヤコウチュウ目
Noctilucales ( = Diniferina亜目/ Noctilucidae科) |
Noctiluca (ヤコウチュウ), Pronoctiluca |
ピロキスチス目
Pyrocystales ( = Diniferina亜目/ Pyrocystidae科) |
Pyrocystis |
ゴニオウラクス目
Gonyaulacales ( = Diniferina亜目/ Peridiniidae科) |
Alexandrium, Ceratium (ツノオビムシ;ツノモ;ケラチウム), Coolia, Gambierdiscus, Gessnerium, Gonyaulax, Heteraulacus, Ostreopsis, Protoceratium, Protogonyaulax, Triadinium |
ペリジニウム目
Peridiniales ( = Diniferina亜目/ Peridiniidae科) |
Blepharocysta, Cachonina, Diplosalis,
Dissodinium (=Diniferina亜目/ Blasidinidae科), Ensiculifera, Heterocapsa,
Peridinium (マルウズオビムシ), Podolampas, Protoperidinium, Scrippsiella
Corythodinium, Crypthecodinium, Glenodinium, Helgolandinium, Oblea, Oxytoxum, Pyrodinium, Pyrophacus (in "An Illustrated Guide") |
ディノトリクス目
Dinotrichales ( = Diniferina亜目/ Dinotrichidae科) |
Dinoclonium, Dinothrix |
References