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100 μm 200 μm 300 μm; x 200 : 50 μm 100 μm 150 μm; x 400Contributors of these images
1; P. caudatum & P. aurelia x100, 2; Paramecium caudatum (ゾウリムシ) x200,
3; P. aurelia x200, 4; P. multimicronucleatum x200, 5; P. jenningsi x200,
6; P. bursaria (ミドリゾウリムシ), 7; P. trichium x200,
8; P. caudatum, P. aurelia & P. trichium x200, 9; P. duboscqui x200,
10; Parameciumの各属と他の ciliatesの熱抽出タンパク質PAGE,
綱:細胞体の繊毛は monokinetidsかもしくは dikinetids(まれにpolykinetids)。 polykinetidsがある場合、left oral polykinetidsはわずか。目:口部の縦軸方向に沿って長い polykinetids (peniculus ) から なる3本の oral polykinetidsがあるのが特徴。 アルベオラ(alveoli)は、kinetosomal rowsの間に並ぶ。 右側のparoral dikinetidsはあまり発達していない。 キルトス(cyrtos)はない。 毛胞(trichocysts)あり。
亜目:oral cavityは細胞の奥深くまである。preoral grooveは body kinetiesでおおわれている。
(「An Illustrated Guide to the Protozoa」より)科:
属: 細胞は葉巻形か足形; 大核は1個, 小核は1〜数個 (vesicular or compact) (Kudo, 1966). 先端は丸いか平坦, 後端は丸いか尖る; 細胞先端からややラセン状に曲がりながら中央部に至る口部の窪みがある; 細胞口はその末端部にある; 繊毛は細胞全体に一様にある; 収縮胞は1〜数個; 大核は卵形ないし腎臓形 (Carey, 1992). 後端部の繊毛だけはやや長い.
レーベンフック(Antony van Leeuwenhoek; 1674, 1677)の観察記録の中には,すでにゾウリムシ(Paramecium) らしいものの記述があるという(Dobell 1932)。
その後,18〜19世紀にかけてたくさんのゾウリムシらしき生物の顕微鏡観察記録が残されたが,その中でもっとも旧いのは,1703年に 描かれた作者不明の4枚のスケッチである。
Parameiumという名前を最初に考えたJohn Hill (1752)だが,リンネ式分類に基づいて正式な学名として命名した のは O.F. Mueller (1773)である。彼は後にParamecium aureliaについて詳細な記述を残した(1786)。
Key to the species
細胞は円筒形ないし葉巻形; 先端は丸く, 後端は尖る; 先端から細胞長の2/3の部分が最も幅広い
小核は1個で大きい (compact type, 8 μm); 収縮胞は2個; 長さは 170-290 μm ....................... P. caudatum
小核は2個かそれ以上 (vesicular type, ~2 μm)
後端部は caudatumほどは尖らない; 小核は2個; 収縮胞は2個; 長さは 80-170 μm .............. P. aurelia
後端部は caudatumと同様に尖る; 小核は3-4 個 (up to 7); 収縮胞は2-3個 (最大 6個);
長さは180-310 μm (最大 400 μm) ............................................................. P. multimicronucleatum
細胞は短く幅広い, 背腹方向にややつぶれている; 後端部も丸い
細胞内にクロレラを共生させている; 先端部は平坦, 後端部は丸い;
小核は1個で大きい (compact type, ~7 μm); 長さは 85-150 μm ............................................. P. bursaria
共生クロレラはいない
先端はやや丸い, 後端も丸い; 小核は通常1個 (まれに最大3個, compact type, 4-7 μm);
収縮胞は2個; 長さは 70-90 μm ................................................................................... P. trichium
海水性のものもいてそれらの収縮胞は不明瞭, radial canal のみが目立つ
細胞の中央部が最も幅広い; 他と異なり遊泳時に右方向に回転する; 収縮胞は2個;
小核は通常2個 (まれに最大5個, vesicular type, 3-5 μm); 長さは 110-140 μm .......... P. calkinsi
細胞口は細胞体のほぼ中央にある; 収縮胞は2個;
小核は通常4 (1-8)個 (vesicular type, 3-4 μm); 長さは 70-110 μm ......................... P. polycaryum
細胞口は細胞体の中央より後端部側にある; 収縮胞は2個;
小核は通常3-4 (-8)個 (vesicular type, 4-5 μm); 長さは 120-210 μm ......................... P. woodruffi
(From Wichterman, 1986)
種 名 細胞長 (μ) 先端:後端 小核の型 数 収縮胞 遊泳時 自家生殖 その他 P. caudatum 170-290 丸い:尖る compact 1 2 左回転 しない P. multimicro
nucleatum180-310
(- 400)丸い:尖る vesicular 3-4 (~7) 2-3
(~6)左回転 しない P. aurelia 80-170 丸い:やや丸い vesicular 2 2 左回転 する P. jenningsi 160 丸い:やや丸い vesicular 2 (大) 2 左回転 する P. bursaria 85-150 平坦:丸い compact
レンズ形1 2 左回転 しない 共生クロレラ P. trichium
= P. putrinum70-90 やや丸い:丸い compact 1 (~3) 2 左回転 しない P. calkinsi 110-140 やや丸い:丸い vesicular 2 (~5) 2 右回転 ? P. polycaryum 70-110 やや丸い:丸い vesicular 4 (1-8) 2 左回転 する P. woodruffi 120-210 やや丸い:丸い vesicular 3-4 (~8) 2 左回転 ? P. duboscqui 丸い:丸い
最近の研究では,ゾウリムシ属は小核の形態の違い等により総計27の形態種に区分されている(Fokin, 1997)。
進化(多様化)の有限性
よく知られているように,各形態種には複数の接合型グループが存在する。従来,各接合型グループは 互いに生殖的に隔離されているはずなので,独立した種(遺伝学的種)であるとみなされてきた。 しかし,P. caudatumでは,ミトコンドリアDNAの系統樹や大核DNAの系統樹は接合型のグループと一致しない (月井)。また,各接合型には野外変異があり,変化した接合型が既存の他の接合型と相補性をもつものも発見されている (月井,堀ら)。これらの事実に基づき,各接合型グループは,従来考えられてきたような 単系統(すべてのメンバーが共通の祖先に由来し,かつ他の系統を含まない)ではなく, 多系統(複数の異なる系統の集合,すなわち多元的)である可能性が指摘されている(月井)。
同様に,各形態種じたいも単系統ではなく多系統である可能性が高い(木下ら,2000)。 最近,従来化石にはなり得ないと考えられてきたゾウリムシなどの原生生物の化石が2億3000万年前の 琥珀の化石から見つかっている(Schoenborn et. al., 1999)。 このことからゾウリムシ属は,おそらく数億年前からすでに存在し, 形態的には現在とほとんど変わっていないと考えられる。
したがって,そのような長年月の間,ゾウリムシ属が27の形態種に分岐して以来,そのまま何の変化もせずに いたと考える方が不自然であろう。おそらく,各系統は何度も様々な形態的変化を遂げながら種分化を続けてきたに 違いない。しかし,彼らが形態的にとりうる「多様性」にはあきらかに限りがある。 したがって,そのとりうる多様性が「飽和」してしまった以後は, 各々の系統が何度も分岐して形態的に変化すると,互いに他の既存の系統に似てしまう, という相互収斂が何度も起きたに違いない。 by 月井ペリクル, 銀線系(Silverline system) トリコシスト(Trichocysts)
細胞肛門(Cytoproct) 収縮胞(Contractile vacuoles)
Species (synonyms)
P. nephridiatum von Gelei, 1925 ; P. traunsteineri Kahl, 1930 ; P. chilodonides Kahl, 1930 ; P. ficarium Kahl, 1930 ; P. pseudoputrinum Kahl, 1930 (1928?) ; P. chlorelligerum Kahl, 1930 ; P. porculus Faure-Fremiet, 1953 ; P. silesiacum Sramek-Husek, 1954 ; P. articum Doroszewski, 1959; P. chlorelligerum ; P. glaucum Claparede & Lachmann, 1858; P. griseolum ; P. marinum ; P. nephridiatum V. Gelei, 1925 ; P. nigrum Burger, 1908 ; P. pyriforme Gourret & Roeser, 1886 ; P. traunsteineri ;
References