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2013.04.28, Part V

飛水峡(甌穴群散策路-4)

ここはコンクリート壁にそった水たまりの東端付近(七宗町),09:21
既述したが,この辺にはたくさんの藻塊が浮かんでいる。 この時は採集しなかったが,復路で採集した(後出)。 アオミドロかと思っていたが,実際は,かなり太いヒザオリだった。 ヒザオリがこれだけの規模で繁殖しているのを見たのは始めてだ。

飛水峡 甌穴群散策路(七宗町),09:22
前方に見えてきたのは縦長の水たまりが2つ続いている場所だ。 あそこは, 前回(2012.05.13) 上の車道側から望遠撮影している(後出)。


2012年05月の様子(2012.05.13,09:26撮影)。 2つ並んだ水たまりを車道から望遠撮影。

飛水峡 甌穴群散策路(七宗町),09:22-09:23
岩の間にたまった砂地に根を降ろして育つこの木は,,, カワラハンノキAlnus serrulatoides)??

2つ続く水たまりの手前(西)側(七宗町),09:24
上述のように,前回はここを上の車道側から望遠撮影していた(下段)。


2012年05月の様子(2012.05.13,09:26撮影)。 これは前回車道(国道41号 益田街道)から望遠撮影したもの。
上段の画像は,2つ続く水たまりの手前(1枚目)の部分だ。 この時は大量の藻塊が浮かんでいた。

飛水峡 甌穴群散策路(七宗町),09:25
2つ続く水たまりのうち,手前(西)の水たまりの西端付近で 採集(飛水峡 甌穴群散策路-06)
ここには驚くほどたくさんの原生生物がいた。 サンプルを1,2滴,スライドガラスに乗せて観察したところ,それだけで100種近い原生生物が観察できた。 おそらくこれまででもっとも多く観察できたと思う。 何度か繰り替えして観察したが,まだまだ観察しきれていない。 やはりここは, 長瀞の岩畳 と同様,今後,何度も訪れて観察を続ける必要がある。 おそらく400種前後はいるだろう(もしかすると,それ以上かも)。
観察された生物: キストディニウム(Cystodinium), 渦鞭毛虫の一種, クリプトモナス(Cryptomonas platyuris), ミドリムシ( Euglena mutabilisE. spirogyra), トラケロモナス( Trachelomonas pusillaT. robusta), ペラネマ(Peranema), Cephalothamnium cyclopum, スファエラストルム(Sphaerastrum), 小型太陽虫, テカメーバ(Thecamoeba sp.), バネラ(Vannella), ストリアメーバ(Striamoeba), 小型アメーバ, コクリオポディウム(Cochliopodium sp.), フセツボカムリ( Centropyxis aculeata), ディフルギア( Difflugia penardiDifflugia sp.), Lesquereusia, ユーグリファ(Euglypha tuberculata), トリネマ(Trinema sp.), ラッパムシ( Stentor amethystinusStentor sp.), 共生藻をもつパラコンディロストマ(Paracondylostoma setigerum), ナスラ(Nassula), コレプス(Coleps hirtus), ハルテリア(Halteria), ミドリゾウリムシ(Paramecium bursaria), クリスチゲラ(Cristigera phoenix), シヌラ(Synura), サヤツナギ(Dinobryon sertularia), バキュオラリア(Vacuolaria virescens), 珪藻各種, クンショウモ(Pediastrum angulosum), イカダモ(Scenedesmus quadricauda), コエラストルム( Coelastrum cambricumC. morus), ジクチオスフェリウム(Dictyosphaerium), キルクネリエラ(Kirchneriella obesa), イトクズモ(Ankistrodesmus falcatus), Quadrigula, アステロコッカス(Asterococcus sp.), エレモスフェラ( Eremosphaera viridisEremosphaera sp.), クレブソルミディウム(Klebsormidium sp.), ブルボケーテ(Bulbochaete), サヤミドロ( Oedogonium undulatumOedogonium sp.), ヒザオリ3種(Mougeotia), アオミドロ(Spirogyra), コウガイチリモ( Pleurotaenium trabecula), ミカヅキモ( Closterium dianaeC. gracileC. intermediumC. macilentum v. japonicumC. naviculaClosterium sp.), ツヅミモ( Cosmarium australeC. binumC. connatumC. maculatumC. obsoletumC. pachydermumC. quadrum), 小型ツヅミモ(Cosmarium sp.), ホシガタモ( Staurastrum anatinumS. connatumS. hantziiS. iotanumS. lunatumS. pseudosebaldi, トゲツヅミモ(Xanthidium antilopaeum), アワセオオギ( Micrasterias pinnatifidaM. rotata), ハタヒモ( Netrium digitusNetrium digitus v. lamellosum), フタボシモ(Cylindrocystis brebissonii), ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens var. tatrica), Sphaerozosma excavatumSphaerozosma granulataChaetosphaeridium sp., ミクロキスティス(Microcystis), メリスモペディア(Merismopedia), ユレモ(Oscillatoria sp.), ワムシ, ケンミジンコ カイミジンコ, センチュウ,

飛水峡 甌穴群散策路(七宗町),09:25-09:26
さらに奥へ進む。 左前方(1枚目)が,2つ続く水たまりの東側の部分だ。

足下には細い水路が,水が流れていた(七宗町),09:26

飛水峡 甌穴群散策路(七宗町),09:26-09:27
1,2枚目:東側の水たまりへ移動する途中。この辺も岩盤の層の一部が赤味を帯びている。 3枚目:右側(車道側)にあったやや高い位置にある小さな水たまりで 採集(飛水峡 甌穴群散策路-07)。 ここもたくさんいた。 水垢はわずかしかないが,そのわりには非常に多くの原生生物が観察できた(注)。 その多くは湿原に多い大形の接合藻だ。 また,若干珍しい サヤミドロの仲間(Oedogonium undulatum) もいた。
観察された生物: マルウズオビムシ(Peridinium), キストディニウム(Cystodinium), 渦鞭毛虫の一種, トラケロモナス(Trachelomonas volvocina), ポンフォリクソフリス(Pompholyxophrys sp.), スファエラストルム(Sphaerastrum), コクリオポディウム(Cochliopodium sp.), フセツボカムリ( Centropyxis aculeataC. ecornis), ディフルギア( Difflugia claviformisD. elegans), ユーグリファ(Euglypha tuberculata), ロクソフィルム(L. helus), コレプス(Coleps hirtus), ハルテリア(Halteria), ミドリゾウリムシ(Paramecium bursaria), キネトキルム(Cinetochilum margaritaceum), 小型繊毛虫数種, クンショウモ( Pediastrum angulosum), イカダモ( Scenedesmus microspinaS. quadricauda), イトクズモ(Ankistrodesmus falcatus), Westella botryoides, コエノクロリス(Coenochloris), ゲミネルラ(Geminella), サヤミドロ( Oedogonium undulatum多数), ヒザオリ2種(Mougeotia), アオミドロ(Spirogyra), コウガイチリモ( Pleurotaenium ehrenbergiiP. trabecula), ミカヅキモ( Closterium dianaeC. gracileClosterium sp.), ツヅミモ( Cosmarium obsoletum), ホシガタモ( Staurastrum anatinumS. connatumS. lapponicumS. polymorphum var. ??, S. pseudosebaldiS. sebaldi), トゲツヅミモ(Xanthidium antilopaeum), ハタヒモ( Netrium digitus v. lamellosum), ネジモ(Spirotaenia condensata), ケズネモ(Gonatozygon pilosum), Sphaerozosma excavatum, ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens var. tatrica), ワムシ, ミジンコ, クマムシ,

注:湿原の池塘でもこういうことがよくある。 水垢がわずかしないないサンプルに非常にたくさんの種類の原生生物がいるのに何度も遭遇している。 逆に,水垢がたくさんあるからといって,原生生物もたくさんいる訳ではない。 いることもあるが,むしろ,いないことの方が多い(気がする)。

飛水峡 甌穴群散策路(七宗町),09:28
目の前でスミレViola mandshurica)が咲いていた。 長瀞の岩畳 でも昨年同時期に,同じ光景に遭遇している(下段)。 岩畳はその後, 毎月訪れてそのスミレの変化を記録した。 さすがにここは毎月訪れる訳にはいかないが・・・。


長瀞 岩畳にて, 2012年05月の様子(2012.05.01,12:12撮影)。

2つ続く水たまりの東側に近付いた(七宗町),09:29
1枚目:前方に見えるのは,さきほど採集した西側の水たまりだ。 わずかに高い位置にあるらしく,こちらへ向って水が流れ出していた(後出)。 2,3枚目:こちらが東側の水たまり。

東側の水たまりの中央付近から川側を向いてパノラマ撮影(七宗町),09:30
1,2枚目:ここは水深が結構あるが,その水中に太さ50cm以上はある緑色の棒状のものが沈んでいた。 長さは4, 5mはあるだろう。 糸状藻類の巨大な固まりだ。 おそらく当初は水面に浮かんで増殖したのだろうが,量が増え過ぎて塊のまま水底に沈んだと思われる。 水面に広がっていた藻塊が,沈む際にからまって丸太のようになったのだろう。

飛水峡 甌穴群散策路(七宗町),09:30
上と同じ位置で西側を向いて撮影。下流にある上麻生橋が小さく見える。
たしかこの頃だったと思うが(もしかするともっと後だったかも?), 前方にヘルメットをかぶり,オレンジ色のつなぎのような服を着た男性がいた。 格好からするとここの地質調査をしに来た人のように思えた。 いずれすれ違うかと思ったが以後は姿を見なかった。 先に戻ってしまったようだ。 前回来た時は,私の後から若い男性が石段を降りてきたのを覚えている。

飛水峡,今度は車道側をむいてパノラマ撮影(七宗町),09:30-09:31
1〜3枚目:南〜西へとカメラを振って撮影。 1,2枚目:上を見上げると,国道41号 益田街道のガードレールが見える。 ただし,あれは旧道のガードレールだ。 現在の国道41号は,この辺では崖の内側,すなわち,前出の「七宗第1トンネル」の中を通っている。 1枚目の画像の左端に白い建物が写っているが,あれは「国土交通省,七宗第1,第2トンネル通信所」のはず。 あの建物の近くに七宗第1トンネルの反対側の出入口がある。 前回(2012.05.13)はあの脇を行き来した。 3枚目:何度も撮影している上麻生橋。
甌穴群散策路の入口からだいぶ来た。 石段を降り始めたのが08:48だったので,ここまで来るのに42分かかったことになる。 ここは他に出入口がないので,元来たルートを辿って戻るしかない。これからを考えると若干憂鬱になった。 この近くにも出入りできる階段があればよいのだが・・・。どうみても無さそうだ(注)。
後で気付いたが,この先(東)にも岩盤(甌穴群)は続いていた。 しかし,この時「そろそろ戻りたい」という気持ちが強くなったため,現在地を確認しないまま, ここでの採集を終えた後,Uターンしてしまった。 次回はいけるところまで行こうと思う。

注:上述のように,前回(2012.05.13)はこの辺の旧道沿いを行き来したが,その時も崖下に降りられそうな階段等は見当たらなかった。

Part VI: 飛水峡(甌穴群散策路-5)
2013.04.28, 09:31 - 09:48