長瀞のライン下りで知られる荒川上流部には，侵食でできた段丘状の岩盤，「岩畳」がある（標高 130-40 m）。 岩畳の上にある大小の窪みにできた水たまり（「四十八沼」，あるいは，「いろは沼」と呼ばれる）で 採集を行ったところ，多数（種数）の原生生物が観察された。 初回の採集の時点で，埼玉県内の調査地の中ではここがもっとも原生生物が多様な場所となった。 また，その後の採集でも毎回新たに観察できた種が追加され，12回目の採集で，これまでに全国で採集した500ヶ所以上の採集地の中で 観音沼森林公園と並んで同列２位となった。 ここは，これまでの調査の範囲では日本でもっとも原生生物が多様な場所の一つであることが判明した。 岩畳は一関市にある 厳美渓（磐井川）と環境が良く似ている。 すなわち，岩盤が侵食された後，河床が著しく下がったことで川が増水しても洗い流されることがなくなり， 雨水だけで長年月，安定した水環境が保たれてきたことで原生生物叢が豊かになったと考えられる。 高地の湿原にある池塘も長年月，安定した水環境が保たれたことで原生生物叢が豊かになったと考えられるが， 流量の増減など変化の著しい河川のすぐ近くに，このような場所があるのは興味深い。 観察された原生生物名一覧（現在 467++ 種） 2012.05.01 の採集で 57 種が追加された（123 → 180）。 2012.05.27 の採集で 42 種が追加された（180 → 222）。 2012.06.17 の採集で 34 種が追加された（222 → 256）。 2012.07.01 の採集で 24 種が追加された（256 → 280）。 2012.07.22 の採集で 22 種が追加された（280 → 302）。 2012.08.16 の採集で 11 種が追加された（302 → 313）。 2012.10.21 の採集で 14 種が追加された（313 → 327）。 2012.11.10 の採集で 15 種が追加された（327 → 342）。 2012.12.09 の採集で 21 種が追加された（342 → 363）。 2013.01.13 の採集で 07 種が追加された（363 → 370）。 2013.02.10 の採集で 17 種が追加された（370 → 387）。 2013.03.09 の採集で 07 種が追加された（387 → 395）。 2013.04.04 の採集で 16 種が追加された（395 → 411）。 2013.05.04 の採集で 03 種が追加された（411 → 414）。 2013.07.14 の採集で 10 種が追加された（414 → 424）。 2013.09.22 の採集で 06 種が追加された（424 → 430）。 2013.11.23 の採集で 05 種が追加された（430 → 435）。 2014.01.07 の採集で 05 種が追加された（435 → 440）。 2014.03.09 の採集で 04 種が追加された（440 → 444）。 2014.05.11 の採集で 14 種が追加された（444 → 458）。 2014.08.15 の採集で 05 種が追加された（458 → 463）。 2015.04.19 の採集で 04 種が追加された（463 → 467）。（注） 2016.04.10 の採集で xx 種が追加された（467 → 467+）。 2016.06.05 の採集で xx 種が追加された（467+ → 467++）。 注：この時は新規に10種が観察されたが，あらためて全体を数え直したところ若干多め（6）に数えていたことがわかったので， その分を差し引いて増加分を 4 とした。