平成9年度知的基盤整備推進制度
「生物系研究資材のデータベース化及びネットワークシステム構築のための基盤的研究開発」
2-1. 生物資材情報発信のためのWWWサーバ構築サポートシステムに関する研究

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3.研究成果の詳細内容

3-4. CD-ROMの配布とその意義


 日本産アリ類,および,原生生物データベースは,ともにネットワークでの公開と同時に,そのCD-ROM版を作り,一般に配布している(アリは実費負担,原生生物は無償)。これは,通信速度の遅いネットワーク経由で画像データベースを利用するのは不便である,一部にはネットワークを利用できない人もいる,などの問題への対策として始めたものである。CD-ROMの配布は,データを提供する側にとっても,サーバへの必要以上のアクセスを減らすことで負荷を軽減できる,そしてなによりサーバのbackupになる等,有用な点が多い。
 とくに,アリや原生生物のような研究者のボランティア的活動によって制作されたデータベースにおいては,CD-ROMなどの保存性のよい媒体にデータを残すことは学術的にも意義がある。なぜなら,ボランティア的に制作されたデータベースは,公的機関によって維持されているデータベースと異なり,その永続性が保証されていないからである。ボランティアデータベースは,研究者の都合によって突然消滅してしまう可能性が常にある。CD-ROMの形にすれば,サーバが停止してもデータベースそのものが消えることはなくなる。また,CD-ROMは一般の書籍と同様に扱われることが多いので,CD-ROMにすることでデータベース制作が研究者の業績として認知されやすくなるという利点もある。
 ただし,すべてのボランティアデータベースがCD-ROMを制作することは期待できないので,学術目的のデータベースについては,公的機関がなんらかの形でbackupを作る体制を早急に準備すべきである(参照:http://protist.i.hosei.ac.jp/Science_Internet/SupportSystem/menu.html)。
 CD-ROMはMacintosh, WINDOWS, UNIXにマルチ対応したハイブリッド版を製作した(参照:http://protist.i.hosei.ac.jp/cdrom/How2CD/index.html)。原生生物データベースCD-ROM第二版は,一昨年の12月に制作したが,以下はその1998年3月22日現在の配布状況である。

    分 類         人     枚
 研究者  大 学 142 898
研究所 42 488
民 間 36 96
小 計 220 1482
 教育関係  高校教員 83 1416
中学教員 33 932
小学教員 9 254
教育研修所 2 152
高専教員 1 2
塾講師 6 17
小 計 139 2796
 業 者  31 71
 その他  団体職員 9 104
大学生 18 69
高校生 5 10
中学生 0 0
小学生 1 4
主 婦 1 2
6 10
小 計 40 199
 所属不明  81 205
 総 計  511 4753

参照: http://protist.i.hosei.ac.jp/Science_Internet/
report96/haifu/results.html


 教育関係者からの配布希望者の数は研究者の半分強でしかないが,その配布枚数は逆に2倍ある。これは小中高校の教員は,地区ごとに研究会などの集まりがあり,そのグループ単位の配布依頼が多いためである。また,インターネットの性格上,研究者,教育関係者以外にも子供を含めた幅広い一般市民からの配布依頼があった。このように,専門家以外にも数多くの一般市民からのアクセスがあったことは,今後,インターネット上で学術情報を公開していく際に十分に留意すべき点であろう(後述)。


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