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2011.08.20, Part II

厳美渓

厳美渓,さらに岩場の先へ(一関市),09:29

厳美渓,別の水たまり(一関市),09:30-09:31
1枚目:ここには周囲にコケのように見える草がびっしり生えていた。 2枚目:水垢はやや少なめだが,湿地になっているのは確かなので,ここでも採集(厳美渓-2)。 ここにも通常,平地では見かけない接合藻がたくさんいた。
観察された生物: ミドリムシ(Euglena obtusa), ベキシリフェラ(Vexillifera), ディフルギア( Difflugia), ディレプタス(Dileptus), ツリガネムシ(Vorticella), クンショウモ(Pediastrum boryanum), ツヅミモ( Cosmarium globosumC. obsoletumC. pseudopyramidatumC. regnellii?, Cosmarium sp.1Cosmarium sp.2), イボマタモ( Euastrum gnathophorumE. sinuosumEuastrum sp.), クロオコッカス(Chroococcus), ワムシ, イタチムシ, センチュウ,

厳美渓,水たまりの先は立入禁止(一関市),09:33
ロープが張られ,川岸へは近付けないようになっていた。
1〜4枚目:ロープ際から川の流れをパノラマ撮影。

厳美渓,180度向きを変えて階段脇の水路(ないし跡)らしき場所へ(一関市),09:34

厳美渓,岩盤と崖の間にある水たまり,ないし,水路(一関市),09:34
水際は深く落ち込んでいる。近付こうとしたが,周囲の草が深く足場が悪かった。 万が一滑り落ちてはヤバイので,ここでの採集は中止。

厳美渓,水際に咲く花を望遠撮影(一関市),09:34
これはキンミズヒキAgrimonia pilosa var. japonica)。

階段を上がり車道へ戻る(一関市),09:37

厳美公園?へ(一関市),09:39
1枚目:バス停近くにある周辺案内図を再度撮影。今度は対岸にある公園(厳美公園?)へ行ってみることにした。 2枚目:天工橋から厳美渓の下流側を撮影。 遠くに見える吊り橋は「御覧場橋」。この後,訪れた。

厳美渓,天工橋の途中で進行方向をパノラマ撮影(一関市),09:40
2枚目:公園?は橋を渡って右にある。

厳美渓,天工橋の袂から公園をパノラマ撮影(一関市),09:40

橋の袂を右折すると,すぐにこのような場所が現れた(一関市),09:41
1,2枚目:パノラマ撮影。 1枚目:「厳美郵便局臨時出張所」。これは何をするためにここに設置されたのだろう? 観光で訪れた人が知り合いに絵葉書を出すため? 2枚目:松林の先には岩盤の河川敷が。岩盤の中央には四阿もある。ここが「公園」のようだ。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:41-09:42
1〜3枚目:厳美郵便局臨時出張所の脇から河川敷に入ったところでパノラマ撮影。 ここも岩盤と渓流の境にはロープが張られ,川岸へ近付けないようになっていた。 あちこちに数人ずつのグループがいて思い思いに過ごしていた。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:42
岩盤の中央付近から下流側にある天工橋を背景にして撮影。 前方にやや大きな水たまりがある。周囲は岩盤であるにも関わらずマツなどの樹木がたくさん生えている。 近付いてみることにした。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:43-09:45
1枚目:水たまりの奥では湿地に生えていそうな植物が。ここも比較的安定した水たまりのようだ。 2枚目:水底を見ると深緑色の塊が。これはおそらくユレモ塊。 3枚目:少し先には緑色のドロリとした藻塊もあった。それも入れて 採集(厳美渓-3)
翌日(8/21)の観察では,以下のようにたくさんの原生生物が観察された。 前の2サンプルよりもかなり多い。それどころか,今回の採集サンプルの中ではここの原生生物がもっとも種数が多かった。 この後訪れた須川高原の湿原群よりも多い。 前の2サンプル同様,湿原でしか見ることのなかった大型の接合藻がたくさんいた。 とくにここには,これまで2,3箇所でしか観察したことのないコウガイチリモの一種, Pleurotaenium kayei が大量にいたのには驚かされた。ここは湿原か?と疑うほど。 長年月,安定した水たまりとして維持されてきたのだろう(注)。 周囲には松の木が育っているが,おそらくこの水たまりはこれらの松が芽吹くはるか以前からここにあって, これまでに数多くの微生物がここにやってきて少しずつ定着したものと推察される。
今回は,バスの時刻表が知らないうちに変更されていて,時間潰しにここを訪れた訳だが, 結果的には他に例をみない珍しくも多様性に富んだ原生生物の生息地を発見することができたことになる。
観察された生物: ミドリムシ( Euglena mutabilis小型, Euglena sp.), ウチワヒゲムシ( Phacus helikoidesP. warszewiczii), トラケロモナス(Trachelomonas allia), キクリディオプシス(Cyclidiopsis acus), アクチノスフェリウム(Actinosphaerium), マヨレラ(Mayorella penardii), ディフルギア( Difflugia), ナスラ(Nassula), ハルテリア(Halteria), ウロレプタス(Uroleptus), 珪藻各種, オーキスチス(Oocystis), エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), グロエオキスティス(Gloeocystis sp.), ホシミドロ(Zygnema), コウガイチリモ( Pleurotaenium kayeiP. nodosum), ミカヅキモ( Closterium cynthiaC. intermediumC. libellulaC. navicula), ツヅミモ( Cosmarium connatumC. globosumC. obsoletumC. pseudarctoum?, C. pseudopyramidatumC. quadrifariumCosmarium sp.1), ホシガタモ( Staurastrum ensiferum ? 初観察S. leptodermum f. minor ?, S. sexangulare), Staurastrum sp.1), イボマタモ( Euastrum affineE. ansatum var. javanicumE. gnathophorumE. sinuosumE. subalpinum), アワセオオギ(Micrasterias ceylanica), ハタヒモ(Netrium digitus), タテブエモ( Penium cylindrusP. polymorphum), フタボシモ(Cylindrocystis), ユレモ(Oscillatoria), Nostoc

注:それにしても不思議なのはどうやって水が供給されているかだ。 ここは渓流からはかなり高い位置にある。よほどの大雨が降って川の水位が上昇しないかぎりここまでは水流は達しないはずだ。 となると,雨水しかないが,通常の水たまりだと数日晴れれば干上がってしまうだろう。 ここはある程度の深さと広がりがあるので,結構な量の雨水を溜めることができるのかも知れない。 晴れが続いて大部分が干上がっても,多少とも水が残っていれば,そこで多くの原生生物が生き延びることができる。 そうやって長年月命を繋いできたのだろう。
水底は土ではなく岩盤なので,雨水が地下に浸透しない分,水のたまった状態が長期間維持されるはず。 これが幸いしているのかも。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:47
上と同じ位置から,今度は180°向きを変えて上流方向をパノラマ撮影。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:47
四阿の先まで行ってみたが,こちらにはめぼしい採集ポイントは無かった。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:48-09:50
1枚目:公園の入口近く(厳美郵便局臨時出張所の隣)にも周辺案内図があった。現在地を確認。 2枚目:天工橋を渡ってバス停に戻る途中,厳美渓の上流側を撮影。 画面左がさきほどまでいた厳美公園。

Part III: 厳美渓〜須川温泉
2011.08.20, 09:53 - 11:17