700種以上の種が記載されているが、すべて動物細胞内に寄生して生活する。宿主は原生生物から 哺乳動物まで広範囲に及ぶ。生活環は、基本的には栄養生殖期、胞子形成期、胞子期に分かれる。 宿主細胞内で スポロシスト(sporocyst)を形成するものと、形成しないものがある。胞子は単細胞 で、胞子壁は無孔。ミトコンドリアをもたない。
胞子は、1個または2個の核を含む胞子原形質(sporoplasm)と、 極管(polar tube)および極帽 (polar cap)からなる突出器官(extrusion apparatus)をもつ。微胞子虫(Microspora)と粘液胞子虫(Myxozoa=膠胞子虫&放線胞子虫)をあわせて 極嚢胞子虫門(Cnidosporidia)と呼ぶこともある。 (「五つの王国」)
微胞子虫は、 細胞性粘菌、 変形菌、 歯状根足虫類ナエグレリア、 キネトプラスト、 ミドリムシ、 ディプロモナス とともに分子系統学的に原始的な真核生物(クラウン生物群以外の生物;注)と考えられている。
ちなみに、アピコンプレクサは繊毛虫、渦鞭毛虫と単系統を形成する アルベオラータ群に含まれる。注:ミトコンドリアをもつ生物の多くは生物進化上ほぼ同時期に出現したことが化石と 分子系統学から示唆される。この短期間に分岐した生物群を「クラウン生物群」という。
ミトコンドリアをもたない微胞子虫、ネグレリア、ディプロモナス(これらをアーケゾアという)や、 ミトコンドリアをもつ細胞性粘菌、キネトプラスト、ミドリムシ(メタゾア)などは、 クラウン生物群よりも前に分岐しているため、これらを Basal Eukaryotesと呼ぶことがある(?)。ただし、一方の粘液胞子虫 は同じ分子系統解析の結果から、原生生物ではなく三胚葉性動物の仲間が寄生によって退化した 可能性が示唆されている。(上島、「科学」、Vol.66, No. 4, p.269, 1996)
近年の研究では,上記の微胞子虫が原始的な真核生物であるという見解が見直されている。 それは,微胞子虫類におけるミトコンドリアの欠落は見かけだけのことで,微胞子虫にもミトコンドリア性タンパク質を少なくとも1つを含む微小なオルガネラ(ミトコンドリアが退化したものと考えられる)があること,及び,通常ミトコンドリアと会合するいくつかのタンパク質を微胞子虫が持っていることなどの発見による。これにより,現在は,原始的な真核生物ではないと考えられるようになった。(科学新聞 2003.2.28より)
微胞子虫界 Microspora Hülsmann & Hausmann, 1994
微胞子虫門 Microspora Sprague, 1982
極嚢胞子虫門 Cnidosporidia
微胞子虫目 Microsporida
微胞子虫門 Microspora Sprague, 1969
800種
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Subdivisions
メチニコベラ綱 Metchinikovellidea | メチニコベラ目 Metchinikovellida | Metchnikovella | |
キトリディオプシス目 Chytridiopsida | Chytridiopsis | ||
ヘッセア目 Hesseida | Hessea | ||
微胞子虫綱 Microsporididea | グルゲア目 Pleistophoridida | Glugea, Stempellia, Telomyxa, Thelohania | |
ビリュウシビョウゲンチュウ目 Nosematidida | Mrazekia, Nosema (微粒子病原虫) |
References