MENU | 原生生物界 | 胞子虫

粘液胞子虫 Myxozoa

Grassé, 1970 | 膠胞子虫綱 | 放線胞子虫綱 |

1000種以上が記載されているが、すべて寄生性。膠胞子虫綱は変温動物(おもに魚)に寄生し、 放線胞子虫綱は主に環形動物に寄生する。生活環は、栄養生殖期、胞子形成期、および胞子期 からなる。 胞子は多核の状態から生じるのが特徴である。1個または2個以上の 極嚢polar capsule)と胞子原形質 (sporoplasm)をもつ。胞子膜は1個〜3個、ときには4個以上の殻(valve) をもつ。各極嚢内には極糸(polar filament) が1本、ラセン状に収まっている。

微胞子虫(Microspora)と 粘液胞子虫(Myxozoa=膠胞子虫&放線胞子虫)をあわせて 極嚢胞子虫門(Cnidosporidia)と呼ぶこともある。 (「五つの王国」)

極糸をもつ点では微胞子虫と似ているが、微胞子虫では極糸の放出により宿主の腸管内上皮細胞に侵入する が、粘液胞子虫の極糸は宿主内での胞子の固定用として利用される。

「粘液胞子虫は、特異な胞子を形成し、その胞子を介して、硬骨魚や環形動物に寄生する微細な生物である。 粘液胞子虫は、一般的に原生生物に属する一つの門として扱われているが、その胞子が多細胞であることや、 胞子に存在する極嚢と呼ばれる構造が刺胞動物の刺胞に似ていることから、後生動物と類縁性があるのでは ないかともかんがえられていた。
 Smothersらは、粘液胞子虫の18S rRNAの分子系統解析を行い、粘液胞子虫が後生動物の一員であること を示した。しかし、期待された刺胞動物との類縁性は否定され、驚くべきことに三胚葉性動物群のクラスター に含まれることがわかった。
・・・中略・・・
 体制の単純なニハイチュウ類が退化した三胚葉性動物であると示唆されたことを考慮すると、粘液胞子虫 においても、寄生生活に対する高度な適応の結果、信じられないような形態の退化が生じた可能性が高い。」 (上島、「科学」、Vol.66, No. 4, p.269, 1996)

ということでこのグループは、原生生物ではない可能性ある。
ただし、一方の微胞子虫 は同じ分子系統解析の結果、原生生物の中でも原始的なグループとされている。

極嚢胞子虫門 Cnidosporidia
  粘液胞子虫目 Myxosporida
  放線胞子虫目 Actinomyxida

(「五つの王国」)

粘液胞子虫門 Myxozoa Grasse, 1970

(「生物学辞典」;「An Illustrated Guide to the Protozoa」)
ミクソゾア門 Myxozoa Grasse, 1970
(「原生生物図鑑」)

 875種

LINKS

Myxozoa are Cnidarians at www.vims.edu with Images
Phylogeny of Myxozoa at www.vims.edu

Subdivisions
膠胞子虫綱 Myxosporea
 粘液胞子虫類
ツムガタムシ目 Bivalvulida
 双殻類
Ceratomyxa, Chloromyxum (コイシノウネンエキムシ), Coccomyxa, Leptotheca, Myxidium (ウナギツムガタムシ), Myxobolus, Myxoproteus, Myxosoma, Sphaeromyxa, Sphaerospora (フナタマホウシムシ)
ロクノウホウシムシ目 Multivalvulida
 多殻類
Hexacapsula (ロクノウホウシムシ), Trilospora
放線胞子虫綱 Actinosporea スファエラクチノミクソン目
 Actinomyxida
 アクチノミクサ類
Sphaeractinmyxon, Tetractinomyxon, Triactinomyxon

References

  1. 上島 励, 1996, 後生動物の系統をみなおす, 科学, Vol.66, No.4, p.266-275.

  2. Hausmann & Hülsmann, 1996, Protozoology, Thieme Medical Pub.
  3. 岩波・生物学辞典・第4版, 1996, 岩波書店.
  4. Margulis, L., Corliss, J.O., Melkonian, M. and Chapman, D.J. (eds.) , 1990, Handbook of Protoctista. Jones and Bartlett, Boston.
  5. ハウスマン, 扇元訳, 1989, 原生動物学入門、弘学出版.
  6. Margulis & Schwartz, 1988, Five Kingdoms; An illustrated guide to the phyla of life on earth., Second edition, Freeman and Company.
  7. Lee, J.J., Hutner, S.H. & Bovee, E.C. (eds.), 1985, An Illustrated Guide to the Protozoa., Society of Protozoologists.
  8. 猪木正三監修, 1981, 原生動物図鑑, 講談社サイエンティフィク.
  9. Kudo, R.R., 1966, Protozoology 5th ed., Charles C Thomas Publisher.

Copyright 原生生物情報サーバ