日光市(旧藤原町)
枯木沼湿原
Part II: 湿原北岸沿い(東端→西端)
ここで採集されたサンプルの観察結果を Google で検索 お知らせ

採集日:2009.05.01 ウオッちず で位置確認

枯木沼湿原(日光市),12:21
1〜4枚目:木道の東端付近から西〜北〜東をパノラマ撮影。 1枚目:歩いて来た方向(西)。 2,3枚目:北側。 4枚目:東側。左はゲレンデ(チャレンジコース)。枯木ペアリフトが見える。 既述したように,これらは枯木沼の北にあるエーデルワイススキー場の一部。 その裾野は草地になっていて木道末端から降りて歩くことができる。 最初はぬかるんでいるかと恐る恐る草地に足を降ろしたが, 水辺から少し離れた場所はかなりしっかり固まっていた。

枯木沼湿原(日光市),12:23
1〜3枚目:ゲレンデの裾野から西方向をパノラマ撮影。 1,2枚目:手前が湿原の東端部。 枯木沼湿原は東にある鶏頂山の裾野に位置するため,西側の樹林帯の先には何もない。 3枚目:その右(北)側には枯木ペアリフトの関連施設がある。 左奥にある建物は,おそらく枯木レストラン。右はリフト乗り場。
この後, 湿原の北側に流入・流出する水路等がないか確かめるため, スキー場の施設の手前から枯木沼湿原の北岸を西へ歩くことにした。

注:最初に見た鶏頂山登拝口周辺の施設の様子から判断すると, ここも現在は運営されていないと思われる。

枯木沼湿原(日光市),12:23-12:24
スキー場の近くの薮も湿地になっていた。そこでは バイケイソウVerantrum album)が芽を出してた。

枯木沼湿原(日光市),12:24
すぐ側にある枯木ペアリフトの乗り場。

枯木沼湿原(日光市),12:24-12:25
1枚目:枯木沼の北岸に近付くと樹林帯の中の窪地に水がたまっている場所があった。 2枚目:落ち葉ばかりで原生生物はあまりいそうにないが,ひとまず 採集(枯木沼,東岸近くの水たまり)。 予想通りここには原生生物はほとんどいない。
観察された生物: 小型太陽虫, トリネマ(Trinema sp.), アスピディスカ(Aspidisca), 小型繊毛虫数種, 珪藻各種, ワムシ, ケンミジンコ,

枯木沼湿原(日光市),12:25-12:26
バイケイソウVerantrum album)が群生する林を通り, 沼の北岸へ近付く。

枯木沼湿原(日光市),12:28
1〜3枚目:視界が開けたところで南側を撮影。 1,2枚目:左側にさきほど歩いた木道がある。 3枚目:沼岸は笹薮になっているが,それでもなんとか通れそうだ。

枯木沼湿原(日光市),12:30-12:31
近くの沼岸で 採集(枯木沼,北東岸-1)。 ここは一応,湿原の一部なので原生生物はそれなりにいた。 しかし,湿原中央部のサンプルと比べるとやや少なめ。
観察された生物: ペラネマ(Peranema), マヨレラ(Mayorella), ナベカムリ(Arcella sp.), トゲフセツボカムリ( Centropyxis aculeataC. constricta), ヒアロスフェニア(Hyalosphenia nobilis), アミカムリ( Nebela collaris, 小型, N. tenella), クアドルレラ(Quadrulella symmetrica), ユーグリファ(Euglypha sp.), トリネマ(Trinema sp.), Assulina, ツリガネムシ2種(Vorticella sp.), 棘毛類繊毛虫, マルロモナス(Mallomonas), 珪藻各種, ミカヅキモ( Closterium costatumC. gracileC. intermediumC. toxonC. ulna), チリモ( Desmidium swartzii), ミジンコ, イタチムシ,

枯木沼湿原(日光市),12:33
1,2枚目:沼岸の様子。 枯草がたくさんあるが,樹木のある場所は乾いていてぬかるんではいない。

枯木沼湿原(日光市),12:33
1〜3枚目:北岸をさらに南下したところで,再度,南側(東〜南〜西)をパノラマ撮影。 2枚目:湿原中央部にある樹木の右奥に,入口にある鳥居が小さく見える。 木道の交差点はここからは樹木の影になって見えない。 3枚目:湿原の北西端付近。 樹木の数もそれほど多くなく,その先には何も見えない。 湿原のすぐ先が斜面になっていることがわかる。 湿原との境はどこも笹薮状態。 この写真でわかるように,枯木沼湿原は鶏頂山の裾野の途中にある平坦な地形に位置している。 このような地形が自然にできたのか,それとも,人為的な作用も加わっているのかは不明(注)。

注:後出するが,沼の周囲の笹薮の中には,かつてあったスキー場関連の物体が色々眠っていた。 したがって,現在の沼(湿原)の地形はスキー場建設の際にある程度手が加えられた可能性がある。 ただし,これまでの調査でわかったように,ここには原生生物が非常にたくさん生息しているので, もともとここには沼(ないし湿原)があって,それに手が加えられた可能性が高い。 湿原が広げられたことで原生生物の生息域が広がったのかも知れない。

枯木沼湿原(日光市),12:34
北西岸に近付いたところで採集(枯木沼,北西岸-2)
観察された生物: アカントキスチス(Acanthocystis turfacea), ナベカムリ( Arcella vulgarisArcella sp.), トゲフセツボカムリ(Centropyxis aculeata), ディフルギア( Difflugia bacilliferaD. elegansDifflugia sp.), Lesquereusia, ユーグリファ(Euglypha sp.?), トリネマ(Trinema sp.), 珪藻各種, コウガイチリモ( Pleurotaenium nodosumP. trabecula), ミカヅキモ( Closterium costatumC. ralfsiiC. rostratumC. toxonC. ulna), イボマタモ( Euastrum gnathophorumE. sinuosumE. turnerii or E. evolutum ?), アワセオオギ( Micrasterias thomasiana), ワムシ, センチュウ, ミジンコ,

枯木沼湿原(日光市),12:36
1,2枚目:岸辺に埋没しつつある倒木。

枯木沼湿原(日光市),12:37
1枚目:鹿?ないしは??(偶蹄類)の糞。 沼の周囲にはたくさんあった。 2枚目:ここで採集(枯木沼,北西岸-3)
観察された生物: サッカメーバ(Saccamoeba), ナベカムリ(Arcella sp.), トゲフセツボカムリ( Centropyxis aculeataC. constricta), ディフルギア( Difflugia bacillariarumD. claviformisD. lobostomaD. oblonga), Lesquereusia, アミカムリ( Nebela collaris), クアドルレラ(Quadrulella symmetrica), トリネマ(Trinema sp.), ホマロズーン(Homalozoon vermiculare), マルロモナス(Mallomonas), トリボネマ(Tribonema), 珪藻各種, コウガイチリモ( Pleurotaenium nodosumP. trabecula), ミカヅキモ( Closterium baillyanumC. lunula), ツヅミモ( Cosmarium quadratum), イボマタモ( Euastrum crassumE. oblongum), イタチムシ, ケンミジンコ, センチュウ,

枯木沼湿原(日光市),12:38
1,2枚目:湿原の北西端が近付いたところで,腰をかがめてパノラマ撮影。 1枚目:樹木の先に入口の鳥居がかすかに見える。 2枚目:カメラが傾いてしまった。

枯木沼湿原(日光市),12:44
最初はスギ)の幼木かと思ったが・・・。 どうやらマンネンスギLycopodium obscurum)のようだ?

枯木沼湿原(日光市),12:45
湿原の南西端付近に来ると,鶏頂山スキー場の案内板があった。 前方に見えるのが,既述した「枯木ペアリフト」。 矢印は(おそらく)鶏頂山スキー場がある西北西を指し示しているはずだが,やや向きがおかしい気がする。

枯木沼湿原(日光市),12:46
1,2枚目:南西端を少し過ぎたところでパノラマ撮影。 この辺は沼と樹林帯の間に乾いた草地があるので歩きやすい。 この前後は笹薮。 2枚目:わかりにくいが,木道の先(右)に入口の鳥居がかすかに見える。 ここからだと樹木の影になっているので,形がはっきりしない。

枯木沼湿原(日光市),12:47
ここで採集(枯木沼,北西岸-4)
観察された生物: Gymnodinium paradoxum, トラケロモナス(Trachelomonas hispida), スポンゴモナス(Spongomonas), スファエラストルム(Sphaerastrum), ナベカムリ( Arcella vulgarisArcella sp. ), トゲフセツボカムリ( Centropyxis aculeata ), ディフルギア( Difflugia acuminataD. bacillariarumD. claviformisD. oblongaDifflugia sp.), Lesquereusia, アミカムリ( Nebela barbataN. collarisN. lageniformis), クアドルレラ( Quadrulella symmetricaQuadrulella sp.), トリネマ2種( Trinema enchelysTrinema sp.), サイフォデリア( Cyphoderia ampulla), スフェノデリア(Sphenoderia lenta), ディプロフリス(Diplophrys archeri), フロントニア(Frontonia depressa), キルトロフォシス(Cyrtolophosis), エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), ボツリオコッカス( Botryococcus sudetica), ディスポラ(Dispora), ミクロスポラ(Microspora), ブルボケーテ(Bulbochaete), ヒザオリ2種(Mougeotia), カメガシラモ(Tetmemorus granulatus), コウガイチリモ( Pleurotaenium minutumP. nodosum), ミカヅキモ( ミカヅキモ(Closterium abruptum), C. archerianum?, C. baillyanumC. costatumC. cynthiaC. gracileC. intermediumC. ralfsiiC. rostratumC. toxonClosterium sp.), ホシガタモ( Staurastrum connatum v. connatum), ツヅミモ( Cosmarium heterodentatum?, C. pyramidatumC. pachydermum), Cosmarium pseudopyramidatumC. subtumidum?), イボマタモ( Euastrum ansatum v. javanicumE. crassumE. oblongumE. sinuosum), アワセオオギ( Micrasterias ceylanicaM. denticulataM. thomasiana), チリモ( Desmidium coarctatumD. swartzii), Bambusina, クロオコッカス(Chroococcus), センチュウ, ケンミジンコ,

枯木沼湿原(日光市),12:48
?ミズゴケ)。

枯木沼湿原(日光市),12:49
岸辺近くの笹薮の中に「雪印」のマークがあった。 その金属板は,赤錆だらけの金属製のフレームに打ち付けてあった。 枯木沼は,北のエーデルワイススキー場と,南にあった鶏頂山スキー場の接点に位置している。 鶏頂山スキー場が廃業したことで打ち捨てられたものなのかも知れない。

枯木沼湿原(日光市),12:52
これはおそらくカラマツLarix kaempferi)。 あちこちから黄緑色の新芽?が顔を出している。

枯木沼湿原(日光市),12:54
足下には ヒカゲノカズラLycopodium clavatum)が・・・。

枯木沼湿原(日光市),12:55
カラマツLarix kaempferi)。

枯木沼湿原(日光市),12:56
1,2枚目:倒木があった。 沼の外側へ向かって根元から(というより根をつけたままの状態で)倒れている。 根元があったであろう場所はすでに水辺に変わっている。 かつてはこの辺は乾いていたのが,水辺が広がってきて土が流され,根こそぎ倒れてしまったのだろう(注)。 3枚目:倒木の裏側(というか根側)。 根が下へ伸びずに横へ広がっていることがわかる。 これはおそらく地盤が固いため,根を地中深く伸ばすことができず,地表面に薄く広がる土壌に沿って 根が伸びたのだろう。根がしっかり張っていないので,このように簡単に倒れてしまうことになる。

注:もしそうだとすると,湿原は序々に現在も広がりつつあるのかも知れない。 こういった変化が続けば,いずれは湿原を取り囲んでいる樹林帯に隙間ができて, あちこちから水が外へ流れだしてしまうことになるかも。

Part III: 湿原から続く水路〜湿原南西部
2009.05.01, 12:58 - 13:47

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