野鳥の森湿原の北西側の入口が現れた(東成瀬村),12:46
これまで(
2011.08.20,
2010.08.10)は,
ひとつ手前の入口から湿原へ向かい,前方左から階段状に並んだ木道を降りて出て来た。
今回も時間と体力に余裕があれば,ここから左へ上がって,湿原にある池塘で採集したかった。
が,ここへ来る前に厳美渓で強い日射しを浴びてバテてしまい,
さらに,さきほどの出入口近くの池を探索するのに時間を費やしたので,
体力と時間の余裕がない。左へ上がるのは止めることにした(注)。
注:復路のバスは15:00発なので,あと2時間以上ある。
体力・気力があれば十分間に合うが,サンプルは厳美渓のものを含めるとすでに十分あるし(18本,これ以上だと多すぎて観察しきれない恐れあり),
なにより,今回は午後2時前までに須川高原温泉に戻って食堂で昼食をとりたかった。
食堂は午後2時にいったん閉まってしまうので,それまでに須川高原温泉まで戻りたかった。
野鳥の森湿原(東成瀬村),12:46
木道の出口近くから北側の湿原を眺める。
前回は姿を消していた立入禁止の看板があった(画面右下)。
前回は遊歩道近くの池塘で採集したが,それほど原生生物は多くなかったこともあり,今回はここでの採集はパスすることにした。
野鳥の森北側の遊歩道をさらに西へ(東成瀬村),12:46
その替り,現在の遊歩道をもう少し先まで歩いてみることにした。
既述したように,最初に野鳥の森を訪れた際(2005.07.24,画像なし)は,
大仁郷湿原から野鳥の森湿原へ向かったのだが,途中にある分岐を見誤り(=道標が倒れて方向がわからなくなっていた),
西側の(現在ある案内図では赤色のラインで示された通行困難な)ルートへ入ってしまった。
そこはぬかるみのひどい狭い道だった。
ぬかるみは途中からますます激しくなり,やがて路面に足を降ろすとズブズブと靴が沈んでしまい一歩も先へ進めなくなった。
かといって今さら引き返す訳にもいかない。
やむなく道沿いの潅木にしがみついてやっとの思いでそこを通り抜けた記憶がある。
そして,どうにか斜面を下り終えて,この北側の遊歩道(元は林道?)へ出たのだが,
ここからも最悪で,道じたいがまるで湿原状態だった。
ぬかるみではないが,一面草で覆われていて足を降ろすとここもズブズブと靴が沈んだ。
道沿いの潅木の根元はさすがにしっかりしているので,潅木の根元を足場にして,どうにか通り抜けることができた。
1枚目:木道の出口から先の様子を撮影。
一昨年もここで撮影している(2枚目)が,それとくらべると,やや見通しが良くなっている。
ここも草刈りをしたのかも知れない(ただし,今回は刈られた草は見当たらなかったので,草刈りが行われたのは昨年あたりかも)。
これなら先に進めそうだ。
2枚目:2010年08月の様子(2010.08.10,12:13撮影)。
野鳥の森北側の遊歩道をさらに西へ(東成瀬村),12:47
少し進むと前方がふたたび開けてきた。
コバギボウシ(Hosta sieboldii)が道のまん中で咲いていた。
野鳥の森北側の遊歩道をさらに西へ(東成瀬村),12:47
さらに進むと,右側にはさきほどの東西に細長い湿原が続いていた。
見晴しが良いのは遊歩道と湿原の間にある仕切りとなっている土手?の部分が崩れているためのようだ。
土手が崩れているので潅木が育たず右の見晴しがよくなっていた。
しかし,その結果として,ここは遊歩道がほぼ湿原状態になっていた。
これを見て,上記の7年前(2005.07.24)にここを通った時の記憶(向きは逆だが)がまざまざと蘇ってきた。
野鳥の森北側の遊歩道をさらに西へ(東成瀬村),12:48
せっかくなので遊歩道のぬかるみ(というよりも,実質は湿原の一部というべきだろうが)で採集してみた
(野鳥の森北側の遊歩道)。
遊歩道上の水たまりなので,原生生物はあまり期待しなかったが,
意外や意外,今回の採集でここが一番,原生生物がたくさん(種数)いた。
他のサンプルにはいなかった
アミカムリ(Nebela penardiana or N. hippocrepis?)
がいた。
この後,7年前の記憶を思い出しつつ,遊歩道と左の潅木地帯の間を通ってなんとか先へ進んだ。
観察された生物:
ミドリムシ(Euglena mutabilis),
アクチノフリス(Actinophrys sol),
ポンフォリクソフリス(Pompholyxophrys sp.),
スファエラストルム(Sphaerastrum),
小型太陽虫,
トリカメーバ(Trichamoeba),
マヨレラ(Mayorella),
ディフルギア(
Difflugia bacillifera,
D. oblonga,
Difflugia sp.),
Lesquereusia,
クアドルレラ(Quadrulella symmetrica),
アミカムリ(Nebela penardiana or N. hippocrepis?),
ユーグリファ(
Euglypha sp.1,
Euglypha sp.2 鱗が円形),
大型トリネマ(Trinema sp.),
トリネマ(Trinema lineare),
スフェノデリア(Sphenoderia),
ステイニア(Steinia sphagnicola),
ディセマトストマ(Disematostoma minor),
ミドリゾウリムシ(Paramecium bursaria),
カンパネルラ(Campanella),
珪藻各種,
エレモスフェラ(Eremosphaera viridis),
ミクロスポラ(Microspora),
ヒザオリ(Mougeotia),
アオミドロ(Spirogyra),
ミカヅキモ(
Closterium baillyanum,
C. intermedium,
C. kuetzingii,
C. lunula),
ツヅミモ(
Cosmarium pseudopyramidatum,
C. quadratum,
C. zonatum,
Cosmarium sp.),
イボマタモ(
Euastrum affine,
E. crassum,
E. humerosum,
E. oblongum,
E. sinuosum),
アワセオオギ(Micrasterias truncata),
ハタヒモ(Netrium digitus),
ユレモ(Oscillatoria),
ワムシ,
ミジンコ,
センチュウ,
野鳥の森北側の遊歩道をさらに西へ(東成瀬村),12:50
1枚目:ぬかるみの先は,道の両側で潅木が育っていた。
2枚目:路面にはしっかり踏跡が続いている。
野鳥の森北側の遊歩道をさらに西へ(東成瀬村),12:50
右(北側)の潅木は途切れ途切れにある。ふたたび,北側の湿原が見えだした。
野鳥の森北側の遊歩道をさらに西へ(東成瀬村),12:51
右側には東西に細長い湿原が続く。この辺にも池塘があるはずだが,草丈が伸びているので遊歩道からは確認できない。
野鳥の森北側の遊歩道をさらに西へ(東成瀬村),12:51
道端に潅木がわずかにある場所の側に池塘があった。
ここなら湿原に立ち入らずに採集ができる。
野鳥の森北側の湿原(東成瀬村),12:52
ということで道路際の潅木の脇からカップ付き指示棒を使って
採集(野鳥の森北側の湿原)。
・・・アレ?指示棒の先が曲がっている。
意外にもここの原生生物は少なかった。
さきほどの遊歩道にできた水たまりの方がよほど数が多い。
何による違いなのか,今のところ不明。
観察された生物:
トラケロモナス(Trachelomonas sp.),
クリスチゲラ(Cristigera phoenix),
小型繊毛虫数種,
珪藻各種,
アオミドロ(Spirogyra),
ミカヅキモ(
Closterium aciculare,
C. baillyanum,
C. intermedium),
イボマタモ(
Euastrum ansatum),
Bambusina brebissonii,
ユレモ(Oscillatoria),
イタチムシ,
クマムシ,
指示棒の先端が折れていた,,,(東成瀬村),12:53
このカップ付き指示棒は,さきほど「国道342号沿いの小湿原その2」で採集する際に使用した。
その後,棒を完全に縮めずにザックから濡れたカップ部分を出した状態で歩いていた。
おそらく野鳥の森出入口近くの池へ近付くために潅木地帯に分け入った際,
木の枝にひっかかって折れてしまったのだろう。
薮を抜けるのに必死だったので指示棒がひっかかったのには気づくはずもない。
実際,遊歩道に戻った際には,右手の甲に引っ掻き傷が出来て若干出血していた。
それも薮を抜けようとしている間はまったく気づかなかった。
やれやれまた作り直さなければならない。これで3本目か4本目だ。
野鳥の森北側の遊歩道をさらに西へ(東成瀬村),12:55
さらに進むと右奥にやや大きな池塘が現れた。あれは航空写真にも写っていた。
しかし,遊歩道からはかなり離れているので採集不可。
道はもう少し先で左に折れて斜面を上がっていくはずだが,これ以上進んでも仕方がないので,この辺で引き返すことにした。
野鳥の森北側の遊歩道を東へ(東成瀬村),12:56
野鳥の森北側の遊歩道を東へ(東成瀬村),12:56
遊歩道沿いの湿原が今度は左に見える。
野鳥の森北側の遊歩道を東へ(東成瀬村),12:57
さきほどの湿原状態のぬかるみまで戻った。
野鳥の森北側の遊歩道を東へ(東成瀬村),13:04
左下に湿原があるが,到達不可能だと悟った場所を通過。
下段は昨年と一昨年撮影した同じ場所だ。
一昨年は手前の水路に木道(板?)は架かっていなかったのがわかる(下段2枚目)。
ここは窪地なので,雪解け水や雨水の通り道になっているはず。
なので自然に侵食されて溝が深くなったので橋替りに板を置いたか,
あるいは,水はけがよくなるように意図的に掘り下げて溝を作ったのかも知れない。
1枚目:2011年08月の様子(2011.08.20,12:57撮影)。
2枚目:2010年08月の様子(2011.08.10,12:26撮影)。
野鳥の森北側の遊歩道を東へ(東成瀬村),13:08
右奥に出入口近くの池がある場所まで戻った。前方の岩のところでやや左に折れる。
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