昭和村/南会津町
駒止湿原
Part III: 水無谷地
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駒止湿原にある3つの湿原の中でもっとも北に位置する。 大谷地と同様,水路もあり,景観としては大谷地に似ているが,原生生物相は3つの湿原の中でもっとも豊か。 入口付近や中央部は貧弱だが,途中にある薮の先にあるもっとも奥まった場所には原生生物が多い。 水が滞留しやすいのか,それとも最奥のためヒトが訪れる頻度が少ないのが幸いしているのか・・・。

採集日:2007.05.21 ウオッちず で位置確認

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:48
1枚目:ブナ林を抜けると3つめの湿原である水無谷地が現れる。 ここは白樺谷地に比べると結構広い。大谷地と同様,水路もある。

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:48-11:49
2枚目:入口付近で採集(駒止湿原-8)。 ここも白樺谷地同様,大谷地に比べると原生生物はやや多い。 しかし,後でわかるように,この入口付近(湿原南端)よりも奥(湿原の北端近く)の方が圧倒的に原生生物相が豊かだった。 原因はよくわからないが,奥の方が水が滞留しやすいのかも知れない。
観察された生物(5/22): ヘテロネマ(Heteronema sp.), ディフルギア( Difflugia), Pontigulasia, アミカムリの一種?(Nebela), トリネマ(Trinema), ラクリマリア(Lacrymaria), 小型繊毛虫数種, 珪藻各種, イタチムシ,
観察された生物(5/26): Assulina

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:50
2枚目:ここで採集(駒止湿原-9)
観察された生物: トゲフセツボカムリ(Centropyxis), レンバディオン(Lembadion lucens), 小型繊毛虫数種, ミクロスポラ多数(Microspora), ハタヒモ(Netrium digitus), タテブエモ(Penium polymorphum), コッコミクサ?(Coccomyxa), クロオコッカス(Chroococcus), ワムシ,

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:51
ここでも採集(駒止湿原-10)。 この辺には原生生物はあまりいない。
観察された生物: 小型繊毛虫数種, 珪藻少々, ハタヒモ(Netrium digitus), イボマタモ( E. sinuosum), ソコミジンコ,

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:51-11:52
2,3枚目:ミズバショウLysichitum camtschatcense) その近くで採集(駒止湿原-11)。 水流があるためだろうか,珪藻以外の原生生物は皆無。
観察された生物: 珪藻少々,

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:53-11:54
2〜4枚目:これはおそらくヒメイチゲAnemone debilis)。 この花を見たのはここだけ。

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:54-11:56
1枚目:前方に薮が見えてきた。ここで水無谷地は終わりかと思ったら,そうではなかった。 2枚目:薮の先にも湿原は続いていた。

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:56
ここにも水路があり,水路に沿ってミズバショウが群生していた。

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:57-11:58
ここのミズバショウLysichitum camtschatcense)は全体に小振りのように思える。 なにより花序の部分がだいぶ黄色い。 白い仏炎苞はだいぶ成長しているので,花が未熟なために花序が黄色いのではないと思うのだが・・・。 環境変異?それとも地理的変異?

駒止湿原 水無谷地(昭和村),11:59-12:01
2枚目:前方で水路が木道に近付いている場所がある。 3,4枚目:水路を覗くと所々に緑色の藻塊があった。糸状の部分はかなり太め。 もしかしてと思って採集してみると,やはり藻塊の正体は カワモズク(Batrachospermum) だった(駒止湿原-12)。 水が流れているためだろうが,カワモズク以外の原生生物はまったく見当たらない。
観察された生物: カワモズク(Batrachospermum),

駒止湿原 水無谷地(昭和村),12:02-12:03
1枚目:前方に樹林帯が見えてきた。あそこが水無谷地の北端,のはず。 2枚目:撮影地点の木道脇で採集(駒止湿原-13)。 翌日の観察ではここが一番,原生生物が多かった。 後述するように,この後,戻りの時間が気になったため,湿原の北端まで行かずにUターンしてしまった。 しかし,もしさらに奥まで進めばもっと原生生物がたくさんいる場所があったかも知れない。残念。 3枚目:同じ場所に生えていたミズゴケの一種()をクローズアップ。
観察された生物(5/22, 5/24): クリプトモナス(Cryptomonas), ミドリムシ(E. mutabilis), ナベカムリ2種(Arcella vulgaris, A. artocrea), トゲフセツボカムリ(Centropyxis), ディフルギア( Difflugia claviformisD. oblonga), LesquereusiaPontigulasia, ヘレオペラ(Heleopera), ヒアロスフェニア(Hyalosphenia papilio), アミカムリ2種(Nebela collaris, N. marginata), Quadrulella, ユーグリファ(Euglypha tuberculataE. brachiata), ラッパムシ(Stentor polymorphus?), ブレファリスマ(Blepharisma musculus初観察, レンバディオン(Lembadion lucens), プロロドン(Prorodon sp.), ミドリゾウリムシ(Paramecium bursaria), プールロネマ(Pleuronema), オフリディウム(Ophrydium), 小型繊毛虫数種, 珪藻少々, Botryococcus braunii, エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), サヤミドロ(Oedogonium), ゲミネルラ(Geminella ellipsoidea), ヒザオリ(Mougeotia), ミカヅキモ( Closterium abruptumC. baillyanumC. pronumC. striolatumC. kuetzingiiC. lunulaC. rostratum), タテブエモ(Penium polymorphum), アワセオオギ(Micrasterias denticulata,注), ハタヒモ(Netrium digitus), フタボシモ(Cylindrocystis brebissonii), ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens var. dissiliens), ネジモ(Spirotaenia condensata), クロオコッカス(Chroococcus), Achromatium, ユレモ(Oscillatoria), Hapalosiphon, ワムシ, ミジンコ, ソコミジンコ, カイミジンコ, イタチムシ2〜3種(Chaetonotus hystrix, Aspidiophorus sp.), クマムシ, センチュウ,

注:このアワセオオギ(Micrasterias denticulata)は前回の採集(2004.8.22)でも観察された。 大型の藻類としてこの湿原を代表する種のひとつ云ってよいだろう。

この後,水無谷地の北端まで行って湿原の終点を確認してから戻ろうと思っていたが,時計を見るとすでに12時を過ぎていた。 湿原に入ったのが11時頃だったので,ここまで来るのに約1時間かかったことになる(注1)。 復路のバスは午後2時19分。あと2時間はあるが,この後,元来た道を辿って湿原を出るまでに1時間かかり, 湿原からバス停までもおよそ1時間くらいかかるはず。かなり時間的にギリギリになっていることに気づいた(注2)。 そのため,湿原終点を確認するのはあきらめ,ここでUターンすることにした。 戻りは写真撮影&採集はあまりしないので,その分多少は時間が短縮されるはずだが・・・(そうでないとかなりヤバイ)。
注1:時間的にギリギリのスケジュールなのは最初からわかっていたので, 木道で前にヒトがいない所や農道は早歩き,ないし駆け足をして時間を稼いだのだが・・・。
注2:実際,この後,バス停に着いたのは午後2時5分で,バスの到着時刻(14:19)の14分前だった。 もし,ここでUターンしなければバスに間に合わなかった可能性もある。

元来た道を辿って戻る(昭和村),12:08
たしか戻る方向の写真だと思うのだが,,,

駒止湿原 水無谷地(昭和村),12:10
コバイケイソウVerantrum stamineum)? 復路では極力写真撮影をしないつもりだったが, これはまだ撮影していないと思って撮影してしまった。後で見直すとすでに何枚か撮影していた。

大谷地東の農道 2007.05.21, 12:12 - 12:51
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