研究資材データベース構築&公開ガイド |
1-2. 利用者層の拡大とそれへの対応の必要性 |
以上のように資材データベースには様々な用途が考えられるが,それに応じて,データベースの利用者も様々であると予想される。
一般に,ネットワークを介して学術情報を発信する場合,従来の印刷メディアを通じた情報発信と大きく異なる点がある。それは,印刷メディア(学術雑誌など)では閲覧者のほとんどが同分野の研究者に限られているのに対して,ネット上で公開された情報は,その内容が理解できるか否かは別として,あらゆる人々の目に触れる可能性がある,ということである。 印刷メディアを使って情報発信する場合,研究者が発信できる情報は主に研究成果をまとめた論文等に限られるが,同時に,その論文が掲載された学術雑誌を手に取るのも,ほとんどは上記のように同じ分野の研究者である。それは内容もさることながら,学術雑誌の多くが,市中の書店はおろか一般の図書館にさえもなく,一般の目から物理的に隔離されている,ためでもある(とくに自然科学系ではこの傾向が強いといえる)。
一方,インターネット上で学術情報を公開した場合,それらには検索エンジンを介して広範な人々がアクセスしてくる可能性がある。無論,情報の内容によっては,一般の人々にはほとんど利用(理解)不能な場合もあろうが,分野によっては,企業活動や,教育,個人的趣味など様々な目的に利用可能なものもあるはずである。ときには,利用者の大多数が研究者ではなく一般の人になる場合もあるかも知れない。
たしかに研究者が資材データベースの公開をボランティアとして行なう場合,一般からの問い合わせや要望に応える義務はないが,できるかぎり対応した方が研究者自身のためにもなるはずである。それは一言でいうと,そのことが科学者としての社会に対する説明責任を果たすことに繋がるからである。いうまでもなく今日の科学研究の資金の堤供者は一般の納税者であり,その意味では研究者も公的な立場にあるといえる。研究費という公的資金を利用する以上,研究者はその資金提供者に対して説明責任を果たす義務があるはずである。それはまた納税者への利益還元と捉えることもできる。さらにいえば,その結果として,個々の研究者と一般とのつながりが増せば,ゆくゆくはそれらの一般の利用者が科学のサポーターとなってくれることが期待できる。
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