研究資材データベース構築&公開ガイド
back 1-3. 分散型広域データベースとしての位置付け forward

 研究者の中には,次のように考えている人も多いであろう。すなわち,データベースというのはたくさんの情報を蓄えていて,検索やソート(並べ替え)などの様々な機能を備えたものである。それに対して,自分の持っている写真や計測データなどの資材(素材)情報はごくわずかでデータベースにするほどのものではない。あるいは,自分には検索やソートなどの高度な機能を備えたデータベースを作る能力はない,と。

 これは大きな誤解である。なぜなら,インターネット上においては,データベースに含まれるコンテンツ(資材情報)および検索等の機能の両面において分散処理されるからである。すなわち,ネット上で公開されたデータは,量の多少にかかわらず,いわゆる検索エンジンによって統合的に検索することができる。これは見方を変えれば,それらの検索エンジンが検索機能を分担してくれるのであれば,研究者自身は苦労して検索・ソートなどの機能を開発する必要がないことを意味している。
 各研究者が独自に検索・ソートなどの機能を作るのは不必要というよりも,かえってマイナスであるともいえる。なぜなら,利用者側の立場からすれば,各Webサイトごとに検索などの利用法が異なっているよりも,使い慣れた検索エンジンを使って情報が検索できた方が使いやすいからである。

 資材情報を所持する研究者は,その多少に関わらず,たんにそれらをネット上で公開(=サーバ上にデータを置き,外部の検索エンジンがアクセスできるように)するだけでよい(設定法)。後は検索エンジンまかせにすれば,利用者は,そのようなネット上に分散するたくさんの資材データを,検索エンジンを介して全体をひとつのデータベース(これを分散型広域データベースという)として利用できるようになる。

 もちろん,検索エンジンが提供する機能だけでは物足りないという場合もあろう。その際は,独自の機能を追加する必要があるが,この場合もCGIないしはWWWブラウザのプラグインとして提供することが望ましい。

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