那須町
玉取台近くの湿地
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標高 500 m
観察された原生生物名一覧(現在 54 種)

採集日:2015.10.18 ウオッちず で位置確認

池田交差点の先を右折した後の様子(那須町),10:42

Y字路,右の狭い方の道へ入る(那須町),10:43
2枚目:そのすこし先に三角形の形をした広い湿地があるはず。 ただし,そこには道路が敷設されている。 そこから想像できるのは,ここはかつて住宅地として宅地開発された場所だろう,ということだ。 しかし,湧水を止めることができず,宅地としての利用が放棄されたものと推測できる (もしくは開発途中で計画が中止されたのかも)。
この様子は40年前の航空写真にも写っている。 すなわち,40年以上前に宅地開発が試みられ,その後,放棄された場所ということだ。

ここがそれ(那須町),10:43
地図には,この近くに玉取台という地名が記されているので,とりあえずここを「玉取台近くの湿地」と呼ぶことにする。 現在いるのは,地図に描かれている湿地を縦断する道路の西側だ。 ここには途中まで敷設された道路跡?がある。 栄三郎氏によると,ここは時々,干上がることがある,そうだ。 なので,原生生物はあまり期待できないかも,とのこと。
しかし,翌日以降の観察では,ここにはたくさんの種類の原生生物がいることが判明した。 ただし,各々の種の細胞数はごくわずか。 すなわち,この近辺は昔から湿地帯なのでもともとたくさんの原生生物がいるのだが, ここは頻繁に干上がるため,その都度多くの細胞は死滅するが,全滅するわけではなく,いつも ごくわずかの細胞が生き残るのだろう。 そして,ふたたび水がくると細胞が増えるが,ふたたび干上がることでまた細胞が減るということを繰り返していると推察される。 もし,ここが常に水に浸るようになれば,細胞数が増えることで,よりたくさんの原生生物が観察できるようになる可能性が高い。

玉取台近くの湿地(那須町),10:45
1〜3枚目:パノラマ撮影。
2枚目:正面手前がその道路跡?だ。先端は湿地に向って傾斜している。 今回は,結構な量の水がある。

玉取台近くの湿地(那須町),10:45-10:46
1枚目:水中には細い茎の草がたくさん育っている。 これらも後段の イトイヌノヒゲ(=コイヌノヒゲ,Eriocaulon decemflorum,ホシクサ科 ホシクサ属)?
その草の周囲には藻塊がまとわりついている。藻塊は,予想通り 極細のヒザオリ だった。
2枚目:ここで 採集(玉取台近くの湿地-01)
藻塊は多いが,水垢はほとんどない。たしかに原生生物は期待できそうにない。
と,この時は思ったが,上記のように実際にはたくさんの原生生物が生息していた。
観察された生物: ナベカムリ(Arcella megastoma), パラコンディロストマ(Paracondylostoma setigerum), イカダモ( Scenedesmus tibiscensis), イトクズモ(Ankistrodesmus), オーキスチス(Oocystis), クレブソルミディウム(Klebsormidium sp.), ヒザオリ2種(Mougeotia), 小型ミカヅキモ(Closterium sp.), ホシガタモ( Staurastrum pseudosebaldi), イボマタモ( Euastrum exile), ユレモ(Oscillatoria sp.), ワムシ, ミジンコ,

玉取台近くの湿地(那須町),10:47-10:48
1枚目:道路跡?の先端近く。これは湿地でよく見かける植物だが,,。
これは イトイヌノヒゲ(=コイヌノヒゲ,Eriocaulon decemflorum,ホシクサ科 ホシクサ属)?
2枚目:ここでも 採集(玉取台近くの湿地-02)
観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, アニソネマ(Anisonema), ボド(Bodo sp.), ポンフォリクソフリス(Pompholyxophrys sp.), 未同定の裸性アメーバ, ナベカムリ( Arcella megastomaArcella sp.), フセツボカムリ( Centropyxis aculeata), ディフルギア( Difflugia bacillariarumDifflugia sp.), ユーグリファ( Euglypha acanthophoraE. filiferaEuglypha sp.), ハルテリア(Halteria), ウロトリカ(Urotricha), ツリガネムシ(Vorticella), ストケシエラ(Stokesiella), サヤツナギ(Dinobryon sertularia), イカダモ( Scenedesmus tibiscensis), ジクチオスフェリウム(Dictyosphaerium), イトクズモ(Ankistrodesmus), オーキスチス(Oocystis), ボツリオコッカス(Botryococcus sudetica), グロエオキスティス(Gloeocystis sp.), クレブソルミディウム(Klebsormidium sp.), ミクロスポラ(Microspora), サヤミドロ(Oedogonium), ヒザオリ(Mougeotia), ミカヅキモ( Closterium dianae), ツヅミモ( Cosmarium amoenumC. depressumC. hammeriC. lundelliiC. pseudarctoumC. trilobulatum), 未同定のツヅミモ(Cosmarium sp.), ホシガタモ( Staurastrum forficulatumS. iotanumS. lunatumS. pseudosebaldiS. simonyiS. tohopekaligenseStaurastrum sp.), イボマタモ( Euastrum sinuosumE. exile), アワセオオギ(Micrasterias thomasiana), ユレモ(Oscillatoria sp.), ミジンコ,

玉取台近くの湿地(那須町),10:49
水際に生えていた草。 葉の付け根付近に花?がある。 これはおそらく, アキノウナギツカミPersicaria sieboldi,タデ科 タデ属) だろう。

iPad mini で現在地を確認(那須町),10:50

玉取台近くの湿地(那須町),10:51
これは コマツカサススキScirpus fuirenoides,カヤツリグサ科 ホタルイ属) ?

玉取台近くの湿地(那須町),10:51
これは ヌマガヤMoliniopsis japonica,イネ科 ヌマガヤ属) ?

いったん車道へ出て左折(那須町),10:51
道路の反対側には「キケン」と書かれた案内があった。 その奥に凹地がある。今回はわずかに水があるだけだったが,雨が降ると水かさが増すので「キケン」なのだろう。
道路の右側,すなわち,山裾側にはこういった凹地や湿地がいたるところにあった。 既述したように,これがこの辺のもともとの姿なのだろう。 そこに盛土をして,今歩いている道路(下段)を造って,宅地開発が行われたと思われる。 福島県にある裏磐梯 ( 2013.06.092015.06.07 ) とほぼ同じだ。

少し歩いて隣の「道路」へ(那須町),10:52-10:53
2枚目:ここへ入る。 3枚目:前方にさきほどの湿地の続きがあった。

玉取台近くの湿地(那須町),10:54
通路沿いでも ??リンドウ) が咲いていた。
2枚目:おしべがめしべを囲んでいる。 開花直後のようだ。

玉取台近くの湿地(那須町),10:54
1〜4枚目:湿地へ出たところでパノラマ撮影。
3枚目:ここは反対側まで道路が続いているようだ(草茫茫だが)。地図にあるとおり。

玉取台近くの湿地(那須町),10:56
ここでも 採集(玉取台近くの湿地-03)
ここにもたくさんの原生生物がいた。 ただし,他と同様,細胞はいずれもごく少数のみ。 頻繁に干上がるということで,大量増殖している種はいない。 水のある状態が長期間続けば,細胞数が増える可能性が高い。
観察された生物: クリプトモナス(Cryptomonas sp.), スポンゴモナス(Spongomonas intestinum), ポンフォリクソフリス(Pompholyxophrys sp.), ナベカムリ( Arcella vulgarisArcella sp.), トリネマ(Trinema sp.), ハルテリア(Halteria), イカダモ( Scenedesmus tibiscensis), ミクロスポラ(Microspora), サヤミドロ(Oedogonium), ヒザオリ2種(Mougeotia), ツヅミモ( Cosmarium depressumC. depressumC. hammeri), ホシガタモ( Staurastrum gracile), イボマタモ( Euastrum sinuosum), クロオコッカス(Chroococcus sp.), ワムシ, ミジンコ,

玉取台近くの湿地(那須町),11:00
ふたたび ??リンドウ)。 ここの花は,だいぶ色が濃い。
2枚目:おしべが倒れている。 花弁もややしおれかけている。 開花後だいぶ時間が経過しているようだ。
めしべの柱部分が着色している。こういうことはよくあるのだろうか? 初めてみた(と思う)。

次のポイントへ(那須町),11:05-11:06
1枚目:玉取台沿いを東へ。 2枚目:ここで左折。

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