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2013.07.21, Part VII

浄土平南の小湿原〜浄土平〜鎌沼・姥ヶ原分岐へ

浄土平南の小湿原,道路際に広がる池に近付いてパノラマ撮影(福島市),12:35

さらに近付いてパノラマ撮影(福島市),12:36
遠目には池塘のようにも見えるが,水際は若干様子が異なっている。 他の池塘は,水中を覗くと泥炭ないし水垢が目に入ったが,ここは水底にコケがあった。 もしかすると,最近の雨で水位が上がっているのかも知れない。

浄土平南の小湿原,道路際に広がる池(福島市),12:36
ここで採集(浄土平南の小湿原-11)。 上記のように,水底をコケが覆っている。 ここには 共生藻を持つラッパムシ(Stentor pyriformis) がいたが,数は多くない。
翌日,実体顕微鏡で観察したところ,サンプルの中にイモリ,ないし,サンショウウオ?の幼生がいた。 孵化したばかりの稚魚や幼生はかなり小さいので,ピペットで吸い込んでしまうことがある。 現在は, 2ヶ月前(2013.05.12)に訪れた 海上の森(瀬戸市)にある 篠田砂防池 のサンプルにいた1匹のドジョウ(採集時は孵化したばかりでまだ卵黄をつけていた)を飼育している(餌はブラインシュリンプ)。 昨年も同じことがあったが,そのドジョウは12cm程度に成長したところで突然,死んでしまった。
観察された生物: フセツボカムリ( Centropyxis ecornis), ディフルギア( Difflugia oblonga), 共生藻を持つラッパムシ(Stentor pyriformis), 小型繊毛虫数種, 珪藻各種, エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), カメガシラモ( Tetmemorus granulatus), ミカヅキモ( Closterium abruptum), イボマタモ( Euastrum humerosum), ワムシ,

浄土平南の小湿原,車道へ戻る(福島市),12:40
クロマメノキVaccinium uliginosum,ツツジ科 スノキ属)?

この後,車道へ上がろうとした際,浄土平方面から二人の男性がやってきた。 その服装から監視員だと分かったが,その一人が私に向って何やら呼びかけた。 車道に上がって話しをすると,既述したように,ここは無断で立入ってはいけない場所,とのことだった。 私が湿原にいるのを浄土平方面にいた人が見てビジターセンターに通報をしたそうだ。 一応,ロープ柵のない場所から湿原へ降りたのだが,ロープがない場所でも入らないでもらいたい,という(注)。 原生生物の調査が目的であることを説明すると, そういうことなら,事前にビジターセンターで了解を取って欲しい。 これからでもいいのでビジターセンターへ立寄って事情を説明し了解を得てください,との指示を受けた。
注:色々話しを聞くと,かつてはここにも木道が敷設されていたそうだ。 しかし,現在は木道は無くなってそのままの状態になっているとのこと。 木道があるくらいなら,ここにも何らかの名前があるのでは,と尋ねてみたところ, 名前はとくにない(ないし,分からない?),とのことだった。

車道から浄土平へ入る(福島市),12:46
ということで,ビジターセンターへ行くことにした。 左へ入ると,その先が浄土平だ。 浄土平を経由してビジターセンターへ向う。


2009年06月の様子(2009.06.14,14:42撮影)。

浄土平,少し下ると木道が現れる(福島市),12:46

前方で右に折れて・・・(福島市),12:46
1枚目:4年前(2枚目)と比べると周囲の樹木が成長しているのがわかる。 雰囲気がだいぶ変わってしまった。 前方に見える案内板は同じだが,木道に滑り止めの横木が付けられていた(前回は無かった,2枚目)。 2枚目:2009年06月の様子(2009.06.14,14:42撮影)。

磐梯吾妻スカイラインに沿って敷設された木道を北へ(福島市),12:47

2009年06月の様子(2009.06.14,14:44撮影)。

T字路を左折(福島市),12:49
1枚目:7年前(3枚目)と比べると,周囲の樹木がかなり成長したことがわかる。 このまま放置すると,いずれは湿原でなくなってしまうだろう。 先日(2013.04.27) 訪れた葦毛湿原のように,樹木の伐採・表土の撤去などの「湿原回復作業」が必要になるだろう。
2枚目:2009年06月の様子(2009.06.14,14:54撮影)。 3枚目:2006年09月の様子(2006.09.03,15:29撮影)。

前方で沢(塩ノ川)にかかる橋を渡る(福島市),12:50

浄土平(福島市),12:51
桟橋状のバリアフリータイプの木道を進むと,前方に駐車場とビジターセンターなどの建物が見えてくる。

ビジターセンターに向って進む(福島市),12:52

2009年06月の様子(2009.06.14,14:57撮影)。

2006年09月の様子(2006.09.03,15:37撮影)。

ビジターセンター内へ(福島市),12:53
中ではビジターセンターの責任者に会い,無断で湿原に立入ったことを詫びた上で, 調査の目的を説明して了解してもらった。 その際,監視員に聞いた「かつてはここにも木道があった」という話について詳しく尋ねてみた。 すると,かつて木道があったのは確かだが,その当時を記録した資料はない,とのことだった。 また,あの場所に特定の名前はないそうだ。 最後に今後再訪する際(注)は,事前に連絡して了解を得ることを約束してビジターセンターを出た。

注:責任者は,調査をするなら今日(日曜)のように訪問者の多い時ではなく,なるべく人の少ない平日にして欲しい, とのことだった。しかし,既述したように,磐梯吾妻スカイライン急行バスは,秋の紅葉の時期を除いて, 春〜夏は土日祝日しか運行しなくなったので,今後,平日に訪れるのは難しくなった。 ということは・・・。

ビジターセンター裏の駐車場を通って(福島市),12:59
この後は,航空写真で確認した「鎌沼・姥ヶ原分岐」近くにある小湿原へ向う。 地図にはとくに何も描かれていないが,航空写真を見ると「鎌沼・姥ヶ原分岐」の近くには水たまりのある小さな湿原が写っている。 そこへ到達可能ならば近付いて採集するのが目的だ。 ただし,登山道の近くなので,立入禁止になっている可能性が高い。 しかし,だめもとで確認しておきたいと考え,これから標高差200m弱を登ることにした。

登山道へ(福島市),13:00
1枚目:ここを通るのは7年ぶりだ。ややなつかしい。 2枚目:2006年09月の様子(2006.09.03,11:04撮影)。

駐車場の先で沢にかかる橋を渡る(福島市),13:01

一切経山への分岐を通過,一切経山方面は通行止めになっていた(福島市),13:05-13:06
7年前に訪れた際(下段)は,通れた。立入禁止になったのはどうしてだろう?
後日,ここ(直登ルート)の途中に火山ガス噴出地帯があり,最近ガスの量が増えているのが禁止の理由であることが判明。 酸ヶ平から上がるルートは通れるらしい(2013.08.12追記)。


2006年09月の様子(2006.09.03,11:09-11:10撮影)。

潅木地帯へ入る(福島市),13:06

姥ケ原・酸ケ平分岐,ここは左へ(福島市),13:08
1枚目:前回(7年前)は,ここを右へ進み酸ケ平,鎌沼の北岸を経由して,谷地平へ向った。 しかし,既述したように,途中で時間切れとなり,Uターン。復路は鎌沼の南側を通って,画面の左側から浄土平へ戻った。
2枚目:2006年09月の様子(2006.09.03,11:13撮影)。 この当時あった黒い道標は,今回は姿を消していた。 また,白い標柱がまっすぐ立っていたが,今回は傾いていた(1枚目)。 後ろにある樹木はこの7年で大きく成長したことがわかる。

Part VIII: 鎌沼へ,登山道を上がる
2013.07.21, 13:10 - 13:43