HOME | 研究資料館 | 地域検索 | 採集の記録 | 2007 . 05 . 03 | お知らせ

2007.08.06, Part XI

千沼ヶ原(3):東側の湿原

千沼ヶ原/東側の湿原に到着(雫石町),10:38
前方に開けた湿原が見えてきた。この辺から先が東側の湿原になるのだろう。

千沼ヶ原/東側の湿原(雫石町),10:38-10:39
まずはたくさんのモウセンゴケDrosera rotundifolia)に囲まれた小さな池塘で 採集(千沼ヶ原-10)。 池塘にはミヤマホタルイScirpus hondoensis)?が。
観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, ディフルギア( Difflugia sp.), アミカムリ(Nebela sp.), ミドリゾウリムシ(P. bursaria), 共生藻を持つチラキディウム(Thylakidium), 共生藻を持つプラチオフリア(Platyophrya similis), ウネリマクラ(Docidium undulatum), コウガイチリモ( Pleurotaenium minutum), カメガシラモ(Tetmemorus granulatusT. brebissonii), ミカヅキモ( Closterium abruptumC. rostratum), ツヅミモ( Cosmarium parvulum or C. cucurbita ?), ホシガタモ( Staurastrum wandae), イボマタモ( Euastrum ampullaceumE. crassum), ハタヒモ(Netrium oblongum), クロオコッカス( Chroococcus turgidus), ユレモ(Oscillatoria), ワムシ, イタチムシ,

千沼ヶ原/東側の湿原(雫石町),10:40
案内板の近くから湿原をパノラマ撮影。 2,3枚目:向いの山が三角山(みかどやま)のはず。
国土地理院の地図(秋田駒ヶ岳 [北東])には,この千沼ヶ原東側の湿原付近から三角山へ向う登山道が描かれている。 しかし,現在はそのような道は見当たらない。諸々の情報によるとその道はすでに廃道になっているらしい。
「八甲田・八幡平・秋田駒を歩く」(山と渓谷社,1999年初版,p.102)には, この案内板の立つ場所がその三角山旧分岐であると記されている。 そう言われると, 上の段の1枚目の画像を見ると,案内板の向いに何かの標柱があり,そのさらに右側の 草木の育ち方が,なんとなくかつて道があった跡のように見える・・・(注)。 また,以下では,3枚目の画像の位置にかつての登山道があったことになる。 たしかにここだけはススキや潅木が育っているので,地面が乾燥化しているのがわかる。 画像でははっきりしないが,なんとなくその状態が先の方まで続いているように見える(気のせい?)。 かつてはここをヒトが歩いたためにいまだにその影響が残っているのかも。


注: 国土地理院の地図(秋田駒ヶ岳 [北東])にはその三角山からさらに東にある高倉山を経由する登山道は描かれていないが, 雫石プリンスホテルのWebsite等には, 雫石スキー場のゴンドラで高倉山の手前まで上がり,そこから高倉山を経由して三角山の頂上まで行って, そこから千沼ヶ原の遠景を楽しむというコースが紹介されている。
おそらく,ゴンドラの終点から三角山までの登山道を整備する際, 三角山から千沼ヶ原へ至る登山道を残しておくと,そこを通って大勢の観光客が千沼ヶ原へ降りて来て, 湿原が踏み荒らされるのを恐れたのではないだろうか? そのため,三角山〜千沼ヶ原間の登山道を廃道にした可能性が高い。
「八甲田・八幡平・秋田駒を歩く」(1999年初版)では,すでに廃道になってからかなり時間が経っているような書き方になっているが, 雫石ゴンドラは1984年開業なので, それと前後して廃道になったと考えればそれなりに辻褄は合う。。。
そうなると,上記の国土地理院の地図には20年以上前に消滅した登山道が描かれていることになる。 なるべく早目に更新してもらいたいものだ。

千沼ヶ原/東側の湿原(雫石町),10:40

千沼ヶ原/東側の湿原(雫石町),10:41-10:42
少し歩いてから木道脇の小さな池塘で 採集(千沼ヶ原-11)。 水から顔を出しているのはホタルイ?の仲間?
観察された生物: アミカムリ(Nebela marginata), ディフルギア( Difflugia oblonga), 小型繊毛虫数種, 共生藻を持つラッパムシ(Stentor), キルトロフォシス(Cyrtolophosis), エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), Bulbochaete, ヒザオリ(Mougeotia), ボツリオコッカス( Botryococcus braunii), ミカヅキモ( Closterium abruptumC. idiosporum), ホシガタモ( Staurastrum wandae), ハタヒモ(Netrium digitusN. oblongum 小型タイプ), イボマタモ( Euastrum ampullaceum), フタボシモ(Cylindrocystis crassa), ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens var. dissiliens), Bambusina, クロオコッカス(Chroococcus turgidusC. pallidus), シネココッカス(Synechococcus),

千沼ヶ原/東側の湿原(雫石町),10:42-10:43
今度はミツガシワが育つ小さな池塘で 採集(千沼ヶ原-12)
観察された生物: フセツボカムリ(Centropyxis), ディフルギア( Difflugia oblonga), アミカムリ(Nebela collarisN. marginata), バンピレラ(Vampyrella)?, プラコキスタ(Placocista spinosa,縁に大きな突起が規則的に並ぶ,巨大), アンフィトレマ(Amphitrema stenostoma,共生藻あり,両端に口), キルトロフォシス(Cyrtolophosis), 小型珪藻少々, ヒザオリ(Mougeotia), ウネリマクラ(Docidium undulatum), ミカヅキモ( Closterium abruptum), ツヅミモ( Cosmarium globosum ?), イボマタモ( Euastrum cuneatum), タテブエモ(Penium polymorphum), ハタヒモ(Netrium digitusN. oblongum 小型タイプ,多数), Chlorobotrys ?, クロオコッカス(Chroococcus turgidus), シネココッカス(Synechococcus), ユレモ(Oscillatoria), ミジンコ, ワムシ, センチュウ,

千沼ヶ原/東側の湿原(雫石町),10:43-10:44
1枚目:池塘が折り重なるように見える場所もある。 2枚目:ここでも採集(千沼ヶ原-13)
観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, ディフルギア( Difflugia oblonga), アミカムリ(Nebela collaris), ラッパムシ(Stentor igneus?), オフリディウム(Ophrydium), ウネリマクラ(Docidium undulatum), カメガシラモ(Tetmemorus granulatus), ミカヅキモ( Closterium idiosporum), ホシガタモ( Staurastrum orbiculareS. simonyi), ハタヒモ(Netrium digitusN. oblongum 小型タイプ,多数), ネジモ(Spirotaenia condensata), タテブエモ(Penium polymorphum), クロオコッカス(Chroococcus turgidus), メリスモペディア(Merismopedia), ミジンコ, ワムシ,

千沼ヶ原/東側の湿原(雫石町),10:45
ここには普通の池のようにも見える大きな池塘が2つほどある。これはその1つめ。 木道からかなり離れているため採集不可。

千沼ヶ原/東側の湿原(雫石町),10:45
1枚目:前方に2つめの大きな池塘が見えてきた。これも木道から離れていて近付けない。 2枚目:その手前で古い木道が分岐している場所がある。 その古い木道に入り左側を見ると・・・。

千沼ヶ原/東側の湿原(雫石町),10:46-10:47
1枚目:小さな池塘があった。 池の中にはミヤマホタルイScirpus hondoensis)?が。 2,3枚目:ここはカップ付き指示棒が届いたので, 4枚目:ここで採集(千沼ヶ原-14)
観察された生物: カリキモナス(Calycimonas sp.), ナベカムリ(Arcella vulgaris, ディフルギア( Difflugia acuminataD. oblonga), アミカムリ(Nebela marginata), ヒアロスフェニア(Hyalosphenia nobilis), 共生藻を持つラッパムシ(Stentor), バジニコラ(Vaginicola), 小型繊毛虫数種, エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), ボツリオコッカス( Botryococcus sudetica), Bulbochaete, ミカヅキモ( Closterium abruptum), イボマタモ( Euastrum cuneatum), ハタヒモ(Netrium digitusN. oblongum 小型タイプ), タテブエモ(Penium polymorphum), Bambusina, クロオコッカス(Chroococcus turgidus), シネココッカス(Synechococcus), ユレモ(Oscillatoria), ワムシ, イタチムシ,

ここでUターン(雫石町),10:47-10:48
1,2枚目:地図によると,この2番目の大きな池塘の先にもまだ若干湿原が続いているようだが, 3枚目:そろそろ戻らなければ。ここでUターンすることにした(注)。

注:駒ヶ岳八合目をスタートしたのが07:03だったので,すでに3時間45分が経過した。 今戻ったとしても7時間以上かかってしまうのは確実。 ただし,この時は,戻りは採集はしないし,写真撮影の頻度も下がるので多少は時間が短縮されるはず,と予想していた。 だが・・・,既述したように,復路の途中から両足の膝(付近の靱帯ないしは筋肉そのもの?)が痛みだしたため, 下山スピードが極端に落ち,結局,8時間かかってしまった。

Part XII: 千沼ヶ原〜笊森山頂上
2007.08.06, 10:48 - 11:44