原生生物図鑑

はじめに

 岩波「生物学辞典 第4版」(1996),マルグリス&シュバルツ「五つの王国 第2版」(1988)等の文献データをもとに原生生物のおおまかな 分類表を作り,そこに「研究資料館」 にある画像データを貼り付けてみました。
 ただし,研究資料館にある原生生物の画像は,様々な研究目的のために撮影されたものを集めたものですので, かならずしも分類に役立つとはかぎりません()。そのため,「図鑑」に利用できるものはかぎられています。したがって, 原生生物の名前は網羅的ですが,そこで紹介されている画像には片寄があります。 とはいえ,不足している部分は,他のWWWサーバで公開されているデータにリンクすることで補ってありますので, そちらを参照してください。

Stentor Arcella Pinnularia Closterium

 原生生物の分類は各編者によって微妙にあるいは大胆に異なっています。ここでは私(月井)独自の判断で それらの資料から適当と思われる部分を抜き出して表にしてあります。したがって, ここに示してある分類が絶対に正しいという保証はありませんのでご注意ください。

 また,参考にした資料の中には全体を統一的にまとめてあるのもありますが, 「生物学辞典」ではいまだに動物系と植物系という旧来の立場から独自に分類を行っています。 そのため,同じ生物が異なる分類群に重複してみられる(*印)という利用者にとっては あいかわらずややこしい状況が続いています。一応,それらも取り入れて表にしました。 調べたい生物の名前が表にないと困るだろうというのが理由です。

注: 1997年〜現在にかけては,野外の池やみずたまりから採集したサンプルの中にいる原生生物を手当たり次第に撮影する試みを行ないました。その結果,新たに300種程度の原生生物を撮影し,データベースに追加することができました。
原生生物の多くは,生存に都合が悪い条件になるとすぐにシストなどの休眠状態になって変動しやすい環境の下で生き残ろうとします。そのため,採集したサンプルには当初はごくわずかの原生生物しかいないようにみえますが,栄養状態を様々に変化させることで,その時々の状態に応じて,眠っていた原生生物が増殖を始めます。
たとえば,採集したサンプルにクロロゴニウムなどの緑藻類を加えると,それを食べて育つ様々な原生生物が出現してきます。そして,今度はそれらの新しく増えた原生生物を餌にする他の原生生物が現れます。
また,逆に,餌をまったく与えずに貧栄養状態にして光だけを与えると,今度は,光合成で増える藻類や藍藻類(藍色細菌)が増殖を始めます。
こういったことで,わずかな量のサンプルを長期間栄養条件を変化させながら観察を続けることで,様々な原生生物を観察・写真撮影することができます。 ちなみに,1997年からこれまでに行った野外採集はわずかに4,5回で,採集したサンプルも各100 ml〜数百ml程度でしかありませんが,各サンプルからは100〜150種程度の原生生物を観察することができました(→参考)。

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soken このデータベースは,総合研究大学院大学 共同研究「生物形態資料画像データベースの構築」 (研究計画3年,1997-1999),および, 平成9年度科学技術振興調整費による 知的基盤整備推進制度採択課題 「生物系研究資材のデータベース化及びネットワークシステム構築のための基盤的研究開発」 (研究計画5年,1997-2001)に参加しています。 また,このデータベースは科研費( 試験研究B 課題番号 07558052)の補助を受けました。 BioResource