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タマホコリカビ門 Dictyostela

1998.12 改訂 川上新一(筑波大学生命環境科学研究科)
Revised by Shin-ichi Kawakami at Institute of Biological Sciencies, University of T sukuba

タマホコリカビ綱 Dictyostelia
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タマホコリカビ類は腐植土壌中,植物遺体中,糞中などに単細胞アメーバの状態で生息し,おもに細菌を捕食して 増殖する。アメーバ細胞は糸状仮足を出し,前後の区別がない。飢餓状態になると,集合して多細胞体(偽変形体) を形成し,それはやがて胞子細胞と柄細胞から成る累積子実体に移行する。
ただし,アキトステリウム科の柄は 非細胞性である。胞子は発芽して再びアメーバ細胞になる。一方,有性生殖がいくつかの種で知られており, その過程でマクロシストと呼ばれる構造体が形成される。 by 川上新一(筑波大)

slimemold
細胞性粘菌は、 変形菌葉状根足虫類ネグレリア微胞子虫キネトプラストミドリムシディプロモナス とともに分子系統学的に原始的な真核生物(クラウン生物群以外の生物;注)と考えられている。
ちなみに、アピコンプレクサは繊毛虫、渦鞭毛虫と単系統を形成する アルベオラータ群に含まれる。

注:ミトコンドリアをもつ生物の多くは生物進化上ほぼ同時期に出現したことが化石と 分子系統学から示唆される。この短期間に分岐した生物群を「クラウン生物群」という。
ミトコンドリアをもたない微胞子虫、ネグレリア、ディプロモナス(これらをアーケゾアという)や、 ミトコンドリアをもつ細胞性粘菌、キネトプラスト、ミドリムシ(メタゾア)は、 クラウン生物群よりも前に分岐しているため、これらを Basal Eukaryotesと呼ぶことがある(?)。

Metakaryota上門
  タマホコリカビ門 Dictyostela
    (Hausmann & Hülsmann「Protozoology」2nd ed.)

細胞性粘菌門 Acrasiomycota
  タマホコリカビ綱 Dictyostelia
    (「Five Kingdoms」)

タマホコリカビ目 Dictyostelida
    (「Handbook of Protoctista」)

タマホコリカビ門 Dictyosteliomycota
    (「生物学辞典 第4版(原生動物界の菌類)」;「Ainsworth & Bisby's Dictinary of the Fungi」 8th ed.)

有毛根足虫門(肉質鞭毛虫類) Sarcomastigophora Honigberg & Balamuth, 1963
  肉質虫亜門 Sarcodina Schmarda, 1871
    根足虫上綱 Rhizopodea von Siebold, 1845
      動菌綱 Mycetozoea de Bary, 1859

       タマホコリカビ亜綱 Protostelia Olive, 1970
          タマホコリカビ目 Dictyosteliida Olive, 1970
    (「生物学辞典 第4版(原生動物界の菌類)」; 「An illustrated guide to the Protozoa」)

約70種(亜種を含めて)

LINKS
Cellular slime molds In: Introduction to the "Slime Molds" at www.ucmp.berkeley.edu
Dictyostelium WWW Server at worms.cmb.nwu.edu

Images

Dictyostelium at www.cc.mancol.edu
McNally Laboratory at Washington University Dept. of Biology

Subdivisions (ref. 10)
タマホコリカビ綱 
 Dictyosteliomycetes

 タマホコリカビ目 
  Dictyosteliales

アキトステリウム科
 Acytosteliaceae
アキトステリウム属
 Acytostelium
タマホコリカビ科
 Dictyosteliaceae
タマホコリカビ属
 Dictyostelium
ムラサキカビモドキ属
 Plysphondylium
ケノニア属(疑問属)
 Coenonia

References

  1. Hausmann & Hülsmann, 1996, Protozoology, Thieme Medical Pub.
  2. 八杉隆一, 小関治虫男, 古谷雅樹 & 日高敏隆 編集, 1996, 岩波・生物学辞典・第4版, 岩波書店.
  3. Margulis, L., Corliss, J.O., Melkonian, M. and Chapman, D.J. (eds.) , 1990, Handbook of Protoctista, Jones and Bartlett, Boston.
  4. ハウスマン, 扇元訳, 1989, 原生動物学入門, 弘学出版.
  5. Margulis, L. & Schwartz K.V., 1988, Five Kingdoms; An illustrated guide to the phyla of life on earth, Second edition, Freeman and Company.
  6. Lee, J.J., Hunter, S.H. & Bovee, E.C. (eds.), 1985, An Illustrated Guide to the Protozoa, Society of Protozoologists.
  7. 猪木正三監修, 1981, 原生動物図鑑, 講談社サイエンティフィク.
  8. Kudo, R.R., 1966, Protozoology 5th ed., Charles C Thomas Publisher.
  9. 前田みね子, 前田靖男, 1978, 粘菌の生物学, 東京大学出版会.
  10. Hawksworth, D.L., Kirk, P.M., Sutton, B.C. & Pegler, D.N. (eds.), 1995, Ainsworth & Bisby's Dictonary of Fungi 8th ed., CAB International.

    <変形菌門, 動菌類で掲載>

  11. 山本幸憲, 1998, 図説 日本の変形菌, 東洋書林.
  12. 萩原博光, 山本幸憲 解説, 伊沢正名 写真, 1996, 日本変形菌類図鑑, 平凡社.

    <タマホコリカビ門, 細胞性粘菌類で掲載>

  13. Hagiwara, H., 1989, The Taxonomic Study of Japanese Dictyostelid Cellular Slime Molds, 131 pp., National Science Museum, Tokyo.
  14. Raper, K., 1984, The Dictyostelids, 453 pp., Princeton University Press, Princeton.


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