HOME | 研究資料館 | 地域検索 | 採集の記録 | 2009 . 05 . 01 | お知らせ

2009.05.01, Part IV

枯木沼湿原(北岸〜湿原入口)

枯木沼湿原(日光市),12:33
1〜3枚目:北岸をさらに南下したところで,再度,南側(東〜南〜西)をパノラマ撮影。 2枚目:湿原中央部にある樹木の右奥に,入口にある鳥居が小さく見える。 木道の交差点はここからは樹木の影になって見えない。 3枚目:湿原の北西端付近。 樹木の数もそれほど多くなく,その先には何も見えない。 湿原のすぐ先が斜面になっていることがわかる。 湿原との境はどこも笹薮状態。 この写真でわかるように,枯木沼湿原は鶏頂山の裾野の途中にある平坦な地形に位置している。 このような地形が自然にできたのか,それとも,人為的な作用も加わっているのかは不明(注)。

注:後出するが,沼の周囲の笹薮の中には,かつてあったスキー場関連の物体が色々眠っていた。 したがって,現在の沼(湿原)の地形はスキー場建設の際にある程度手が加えられた可能性がある。 ただし,これまでの調査でわかったように,ここには原生生物が非常にたくさん生息しているので, もともとここには沼(ないし湿原)があって,それに手が加えられた可能性が高い。 湿原が広げられたことで原生生物の生息域が広がったのかも知れない。

枯木沼湿原(日光市),12:34
北西岸に近付いたところで採集(枯木沼,北西岸-2)
観察された生物: アカントキスチス(Acanthocystis turfacea), ナベカムリ( Arcella vulgarisArcella sp.), フセツボカムリ(Centropyxis aculeata), ディフルギア( Difflugia bacilliferaD. elegansDifflugia sp.), Lesquereusia, ユーグリファ(Euglypha sp.?), トリネマ(Trinema sp.), 珪藻各種, コウガイチリモ( Pleurotaenium nodosumP. trabecula), ミカヅキモ( Closterium costatumC. ralfsiiC. rostratumC. toxonC. ulna), イボマタモ( Euastrum gnathophorumE. sinuosumE. turnerii or E. evolutum ?), アワセオオギ( Micrasterias thomasiana), ワムシ, センチュウ, ミジンコ,

枯木沼湿原(日光市),12:36
1,2枚目:岸辺に埋没しつつある倒木。

枯木沼湿原(日光市),12:37
1枚目:鹿?ないしは??(偶蹄類)の糞。 沼の周囲にはたくさんあった。 2枚目:ここで採集(枯木沼,北西岸-3)
観察された生物: サッカメーバ(Saccamoeba), ナベカムリ(Arcella sp.), フセツボカムリ( Centropyxis aculeataC. constricta), ディフルギア( Difflugia bacillariarumD. claviformisD. lobostomaD. oblonga), Lesquereusia, アミカムリ( Nebela collaris), クアドルレラ(Quadrulella symmetrica), トリネマ(Trinema sp.), ホマロズーン(Homalozoon vermiculare), マルロモナス(Mallomonas), トリボネマ(Tribonema), 珪藻各種, コウガイチリモ( Pleurotaenium nodosumP. trabecula), ミカヅキモ( Closterium baillyanumC. lunula), ツヅミモ( Cosmarium quadratum), イボマタモ( Euastrum crassumE. oblongum), イタチムシ, ケンミジンコ, センチュウ,

枯木沼湿原(日光市),12:38
1,2枚目:湿原の北西端が近付いたところで,腰をかがめてパノラマ撮影。 1枚目:樹木の先に入口の鳥居がかすかに見える。 2枚目:カメラが傾いてしまった。

枯木沼湿原(日光市),12:44
最初はスギ)の幼木かと思ったが・・・。 どうやらマンネンスギLycopodium obscurum)のようだ?

枯木沼湿原(日光市),12:45
湿原の南西端付近に来ると,鶏頂山スキー場の案内板があった。 前方に見えるのが,既述した「枯木ペアリフト」。 矢印は(おそらく)鶏頂山スキー場がある西北西を指し示しているはずだが,やや向きがおかしい気がする。

枯木沼湿原(日光市),12:46
1,2枚目:南西端を少し過ぎたところでパノラマ撮影。 この辺は沼と樹林帯の間に乾いた草地があるので歩きやすい。 この前後は笹薮。 2枚目:わかりにくいが,木道の先(右)に入口の鳥居がかすかに見える。 ここからだと樹木の影になっているので,形がはっきりしない。

枯木沼湿原(日光市),12:47
ここで採集(枯木沼,北西岸-4)
観察された生物: Gymnodinium paradoxum, トラケロモナス(Trachelomonas hispida), スポンゴモナス(Spongomonas), スファエラストルム(Sphaerastrum), ナベカムリ( Arcella vulgarisArcella sp. ), フセツボカムリ( Centropyxis aculeata ), ディフルギア( Difflugia acuminataD. bacillariarumD. claviformisD. oblongaDifflugia sp.), Lesquereusia, アミカムリ( Nebela barbataN. collarisN. lageniformis), クアドルレラ( Quadrulella symmetricaQuadrulella sp.), トリネマ2種( Trinema enchelysTrinema sp.), サイフォデリア( Cyphoderia ampulla), スフェノデリア(Sphenoderia lenta), ディプロフリス(Diplophrys archeri), フロントニア(Frontonia depressa), キルトロフォシス(Cyrtolophosis), エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), ボツリオコッカス( Botryococcus sudetica), ディスポラ(Dispora), ミクロスポラ(Microspora), ブルボケーテ(Bulbochaete), ヒザオリ2種(Mougeotia), カメガシラモ(Tetmemorus granulatus), コウガイチリモ( Pleurotaenium minutumP. nodosum), ミカヅキモ( ミカヅキモ(Closterium abruptum), C. archerianum?, C. baillyanumC. costatumC. cynthiaC. gracileC. intermediumC. ralfsiiC. rostratumC. toxonClosterium sp.), ホシガタモ( Staurastrum connatum v. connatum), ツヅミモ( Cosmarium heterodentatum?, C. pyramidatumC. pachydermum), Cosmarium pseudopyramidatumC. subtumidum?), イボマタモ( Euastrum ansatum v. javanicumE. crassumE. oblongumE. sinuosum), アワセオオギ( Micrasterias ceylanicaM. denticulataM. thomasiana), チリモ( Desmidium coarctatumD. swartzii), Bambusina, クロオコッカス(Chroococcus), センチュウ, ケンミジンコ,

枯木沼湿原(日光市),12:48
?ミズゴケ)。

枯木沼湿原(日光市),12:49
岸辺近くの笹薮の中に「雪印」のマークがあった。 その金属板は,赤錆だらけの金属製のフレームに打ち付けてあった。 枯木沼は,北のエーデルワイススキー場と,南にあった鶏頂山スキー場の接点に位置している。 鶏頂山スキー場が廃業したことで打ち捨てられたものなのかも知れない。

枯木沼湿原(日光市),12:52
これはおそらくカラマツLarix kaempferi)。 あちこちから黄緑色の新芽?が顔を出している。

枯木沼湿原(日光市),12:54
足下には ヒカゲノカズラLycopodium clavatum)が・・・。

枯木沼湿原(日光市),12:55
カラマツLarix kaempferi)。

枯木沼湿原(日光市),12:56
1,2枚目:倒木があった。 沼の外側へ向かって根元から(というより根をつけたままの状態で)倒れている。 根元があったであろう場所はすでに水辺に変わっている。 かつてはこの辺は乾いていたのが,水辺が広がってきて土が流され,根こそぎ倒れてしまったのだろう(注)。 3枚目:倒木の裏側(というか根側)。 根が下へ伸びずに横へ広がっていることがわかる。 これはおそらく地盤が固いため,根を地中深く伸ばすことができず,地表面に薄く広がる土壌に沿って 根が伸びたのだろう。根がしっかり張っていないので,このように簡単に倒れてしまうことになる。

注:もしそうだとすると,湿原は序々に現在も広がりつつあるのかも知れない。 こういった変化が続けば,いずれは湿原を取り囲んでいる樹林帯に隙間ができて, あちこちから水が外へ流れだしてしまうことになるかも。

Part V: 枯木沼湿原入口〜湿原から続く沢
2009.05.01, 12:58 - 13:23