原生生物の採集と観察
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1 原生生物の採集法

1)原生生物とは?

 真核生物に属し,生活環の大部分を単細胞の状態で過ごすものを原生生物という。原生生物にはクロレラやミカズキモなど葉緑体を持ち光合成を行なうものと,ゾウリムシやアメーバなど葉緑体を持たず従属栄養のみで増殖するものがいる。前者を藻類(微細藻類または微小藻類ともいう),後者を原生動物と呼ぶ。かつては,藻類は植物に近く,原生動物は多細胞の動物に近いとされてきたが,近年の研究により,藻類の一部(クリプト藻類,渦鞭毛藻類,ミドリムシ類など)は,もともとは葉緑体を持たない原生動物で,それが進化の途上で他の藻類を細胞内共生させることで藻類の仲間入りをしたことがわかってきた。反対に,もともとは藻類だったものが途中で葉緑体を失って現在は原生動物の仲間とされているものもいる。このため,現在は原生生物を藻類と原生動物に二大別するのは適当ではなく,葉緑体の有無に関わらず,近縁の生物ごとにグループ化(不等毛類,アルベオラータ類など)すべきであるという見方に変わりつつある。

 ここでは,主に我々の周辺に生息する淡水性の原生生物の採集と観察法について紹介する。

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