原生生物と日本産アリ類の広域画像データベース

5 今後の課題

5-3. 情報公開が盛んにならない理由


 前述したが,データベースのCD-ROM版を配布する際に,希望者から配布希望の連絡とともに様々な意見や要望が寄せられた。その中には,自分もデータベースを作ってネットワークで公開したいが,なかなか実現できないでいる,といった内容のものがあった。この他,学会等でも同様な話を聞くことがあったが,いずれも実現できない理由としてあげたのは,データベースを構築しても果たしてそれが業績として評価されるのか,という素朴な疑問である。業績として評価されないなら,日々,研究と研究以外のノルマに忙殺されている生活の中で,新たにデータベース構築作業に手を出すことは研究者としての死活問題にもつながるというのである。

 勿論,このような業績評価システムの欠如以外にも,作ったデータベースが何にどう利用されるのかがはっきりしていないことや,公開した画像等の研究素材の著作権が正当に守られるのかといった問題への不安も,情報公開を阻害している要因としてあげられる。

 しかし,後の2つは,情報の公開が進む過程で自然に解決のつく問題であり,やはりなんといっても最大の問題は,印刷媒体(科学ジャーナル等)におけるような評価システム(Peer review)が,ネットワーク上では存在していないことであろう。

 しかし,実際にはまったくそのような評価がされていない,というわけではない。ネットワークで提供される情報が増えるにつれて,そのような「情報の洪水」の中から,有用な情報を探し出して利用者の便宜をはかろう,という様々な活動が少しずつではあるが,生まれている。