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2013.07.06, Part VIII

志賀山・裏志賀山稜線鞍部にある小湿原

稜線を下る(山ノ内町),12:39
1,2枚目:パノラマ撮影。 小ピーク(標高2000m余)を10mほど下ったところから鞍部を眺める。 2枚目:右手に「志賀ノ小池」が見えてきた。 現在の標高はGPSによれば1995m,地図上の位置からは1980m。なぜか一致しなくなった。 いずれにしてもここから「志賀ノ小池」までは水平距離で150mほどある。 標高差はおよそ30m。池までは一面の笹薮だ。
よく見ると,登山道の近くに小さな湿原がある(2枚目)。 「志賀ノ小池」まで降りるのは無理でも,あそこなら近付けそうだ。 ここからは池塘があるかわからないが,,,。

稜線を下る,ここからは急な岩場を降りる(山ノ内町),12:41

岩場を降りる途中で「志賀ノ小池」を眺める(山ノ内町),12:43-12:44
現在の標高はおよそ1970m。 岩場の先に笹薮の右側に入っていけそうな場所がある。 もしかしたらあそこから「志賀ノ小池」へ降りる踏跡があるのでは?と期待した。

その場所を望遠撮影,う〜むここからはよくわからない(山ノ内町),12:44

岩場を降りたところで,その踏跡の入口らしき場所を撮影(山ノ内町),12:45
残念ながら違った。道らしきものはなかった。

笹の斜面に何やら・・・(山ノ内町),12:45
1枚目:斜面の一部に笹のない場所があった。 2枚目:もしかしたら,あそこが踏跡の名残りではと望遠撮影。ピンぼけ。 ・・・なんともいえない。

稜線を下る(山ノ内町),12:46
残念ピンぼけ。 GPSによると,この辺の標高は1960m余。ここが一番下がった地点だ。ここから先はふたたび登りとなる。

登山道脇の小湿原へ(山ノ内町),12:47-12:48
1,2枚目:登山道の登り返しが始まるすぐ近くに,さきほど遠くから眺めて見つけた小湿原があった。 3枚目:iPad mini で現在地を確認。 ここから「志賀ノ小池」までは水平距離で80mほどある(これが最短距離)。 斜面を下るので実際の移動距離は100m前後になるだろう。 100mの薮こぎはきつい。しかも,その後,同じルートを上ってこなければならないのだから。 手前にある小湿原までだとわずか5, 6mほど。これならなんとかなるかも。

登山道を少し上がったところから小湿原の全景を撮影(山ノ内町),12:49
1,2枚目:パノラマ撮影。 ここから見ると,湿原には大きな池塘はないが,わずかな水たまりらしい場所があるのがわかった。 近付いてみる価値はありそうだ。

上と同じ位置で水たまりらしい場所を望遠撮影(山ノ内町),12:50

登山道脇の小湿原(山ノ内町),12:52
ふたたび鞍部に降りて,思い切って笹薮に入った。笹をかき分けてなんとか湿原の端に出ることができた。

登山道脇の小湿原(山ノ内町),12:53
1,2枚目:潅木沿いを奥(東)へ進むと,さきほど上からは見えなかった小さな水たまりがあちこちにあった。 一応,池塘といえるだろう。
この画像では左(1枚目)と右(2枚目),そして両者の奥にも1つ(2枚目)が写っている。 さらにその奥にも小さな水たまりがあるが,とりあえずこの三ケ所で採集してみることにした。

登山道脇の小湿原(山ノ内町),12:53
まずは左側の池塘?で 採集(登山道脇の小湿原-1)
観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, トラケロモナス(Trachelomonas volvocina), ラブドモナス(Rhabdomonas incurva), ナベカムリ(Arcella arenaria), ディフルギア( Difflugia bacillariarum), アミカムリ(Nebela carinata), ヘレオペラ(Heleopera), Assulina, 小型繊毛虫数種, 珪藻各種, エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), ヒザオリ(Mougeotia)多数, アルスロデスムス( Arthrodesmus incus), ホシガタモ( Staurastrum brachiatum), ハタヒモ(Netrium oblongum)多数, フタボシモ(Cylindrocystis), メソテニウム(Mesotaenium macrococcum), Bambusina brebissonii, クロオコッカス(Chroococcus turgidus)多数, スティゴネマ(Stigonema), ワムシ, センチュウ,

登山道脇の小湿原(山ノ内町),12:54
つぎに右側の池塘?で 採集(登山道脇の小湿原-2)
観察された生物: ヘレオペラ(Heleopera), Assulina, キルトロフォシス(Cyrtolophosis), ラブドスティラ(Rhabdostyla), 共生藻を持つプラチオフリア(Platyophrya similis), 珪藻各種, エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), ヒザオリ(Mougeotia), ツヅミモ( Cosmarium globosum), ホシガタモ( Staurastrum brachiatumS. wandae), ハタヒモ( Netrium digitusN. oblongum), フタボシモ(Cylindrocystis), Bambusina brebissonii, クロオコッカス(Chroococcus turgidus), ワムシ, センチュウ,

登山道脇の小湿原(山ノ内町),12:55
最後の中央奥の池塘?で 採集(登山道脇の小湿原-3)
3つともドロリとしていたが, いずれのサンプルでも細い ヒザオリ(Mougeotia)と ハタヒモ(Netrium oblongum) が大量にいた。他にも色々いたが,湿原の池塘としては種数は少なめだった。 とくに通常,湿原に多く見られるミカヅキモがまったく観察されなかったのが印象的だった。 他の大型の接合藻(ツヅミモの仲間)もホシガタモがわずかに観察されただけでほとんどいなかった。 これは何を意味するのだろう? 湿原としての歴史が浅い(短い)せいなのだろうか? それとも広大な湿原にある池塘と違い,ここはごく狭いし,近くに他の湿原がないので, 多様性を高めることができなかったのかも知れない(注)。
観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, ヘレオペラ(Heleopera), 小型繊毛虫数種, 珪藻各種, ヒザオリ(Mougeotia), ツヅミモ( Cosmarium globosum), ハタヒモ( Netrium digitusN. oblongum), Bambusina brebissonii, クロオコッカス(Chroococcus turgidus), ワムシ, センチュウ,

注:時期的な問題かも知れない。もう少しすれば他の藻類等も増え出す可能性もないとはいえない。

ふたたび登山道を上がる(山ノ内町),12:58
1〜3枚目:その途中で前〜右〜後方をパノラマ撮影。 GPSによる現在の高度は1960m,地図上からは1980m。おそらく後者が正しいはず。 鞍部が1960mでそこから10m以上上がったはずなのに高度が変わらないのはおかしいからだ。
3枚目:「志賀ノ小池」が後方に見える。

ふたたび木の根の階段を上がる(山ノ内町),12:59

普通の登山道を上がる(山ノ内町),13:02
現在は,裏志賀山の南西尾根へ上がるところだ。

露出した木の根をまたいで通る(山ノ内町),13:04

Part IX: 裏志賀山・四十八池分岐〜四十八池湿原へ
2013.07.06, 13:08 - 13:31