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2011.08.20, Part IX

野鳥の森湿原(3)

野鳥の森湿原(東成瀬村),12:40
1枚目:前方の茂みの手前で右に折れ,北西端に向い下っていく。 2枚目:前回の様子(2010.08.10,12:08撮影)。

野鳥の森湿原,右に折れ九十九折りの下りが始まる(東成瀬村),12:40-12:41

野鳥の森湿原(東成瀬村),12:41
ミヤマフキバッタParapodisma sp.)?? 近付いてアップで撮ろうとしたが,すぐに逃げてしまった。

野鳥の森湿原,前方で左に折れる(東成瀬村),12:42
1枚目:遠くに林道の北側にある湿原が見えた。


前回の様子(2010.08.10,12:11撮影)。

林道の北側にある湿原を望遠撮影(東成瀬村),12:42
ミツガシワが生えた大きな池塘が複数個あるのがわかる。

野鳥の森湿原,足下には大きな糞塊が(東成瀬村),12:42
湿原へ向う遊歩道へ入ったところでも同じくらいの大きさの糞があった。 似た位置(林道近くの木道)に同じようなサイズの糞があるというのは偶然だろうか? 同じ動物(熊?)が意図的にした可能性が高い。

野鳥の森湿原,前方で水路を渡り北側の林道へ出る(東成瀬村),12:43
1,2枚目:パノラマ撮影。

野鳥の森湿原,水路の手前に看板が立っている(東成瀬村),12:43

野鳥の森湿原,水路を渡ってから振り返って撮影(東成瀬村),12:43-12:44
1枚目:あちこちにある「熊出没注意」の看板と,2枚目:「栗駒野鳥の森案内」。


前回の様子(2010.08.10,12:12-12:13撮影)。

野鳥の森湿原,林道の縁から林道北側の湿原を眺める(東成瀬村),12:44
1〜3枚目:パノラマ撮影(注)。
さて,ここからが問題。下段は前回撮影した画像だが,基本的な位置関係は同じに見える。 しかし,撮影日が10日ずれているためか,やや印象が違った。 前方に点在する池塘がやや大きくというか,迫って見えたのだ。
前回は林道と湿原の境がかなりぬかるんでいたのと,案内図ではここが立入禁止と書かれていたので, これ以上近付くのを止めて立ち去った。 しかし,今回は池塘が近くにあるように見えたので,もう少し近付いて撮影したくなった。 ここには,林道との境からは右にある潅木に沿って若干の踏跡が続いている。 それは前回も確認していたが,前回はかなりぬかるんでいる(というか水浸し状態)ように思えたので, 踏跡に足を降ろすのを止めた。
今回は二度目ということで,もう少し辺りの様子を調べたくなり,恐る恐る踏跡に片足を降ろしてみた。 すると,意外にも踏跡部分は靴が沈むようなことはなく,ぬかるんではいないことがわかった。 (林道との境は前回同様,水浸し状態だったが)

注:この後,12:51に撮影した画像でわかるように, このT字路以外では,北側の湿原と林道の間には潅木が並んで視界を遮っている。 自然に生えたのかも知れないが,遠い昔,湿原に入らせないように,意図的に潅木を植えた可能性もある。 しかし,このT字路の向いだけは,その潅木がなく,湿原が見渡せるようになっている。 これは当初からそうだったというよりは,多くの人がここから湿原に分け入ったために, 踏み付けられ潅木が育たなかった(あるいは消失した)可能性が高い。
このように湿原が見渡せる状態にあると,湿原により近付きたくなるのは自然だろう。 ロープ柵などもないし,かつてあった形跡も見当たらない。


前回の様子(2010.08.10,12:14撮影)。

野鳥の森湿原(東成瀬村),12:45
1枚目:これがその踏跡。わずかだが右に向って続いているのがわかる。 踏跡を1,2歩進むと,それまでは遠くにある大きな池塘しか見えなかったが, 林道のすぐ側にも小さな池塘がいくつかあることに気づいた。 これらの小さな池塘は,林道側からだと手前にある草に隠れて見えなかったが,1,2歩移動して目線の位置が変わったことで, 目に入ったのだ(湿原ではこれはよくあること,小さな池塘は遠くからは見えにくいし,数m先に近付いても草で隠れて見えない。 すぐ側まで行って始めてその存在に気づくことが多い)。
2枚目:そこで,カップ付き指示棒を伸ばして,林道近くの池塘で採集を試みた (野鳥の森湿原-5)。 まあまあの種数の原生生物がいた。 目立ったのは, ハタヒモの一種,Netrium oblongum) が大量増殖していたこと。 Netrium digitusが大量増殖していることはよくあるが, この Netrium oblongumが大量にいるのを見るのはややまれ。
観察された生物: ナベカムリ(Arcella sp.), ディフルギア( Difflugia bacillifera), レンバディオン(Lembadion lucens), Chlorobotrys, 珪藻各種, Gloeocystis, コウガイチリモ( Pleurotaenium minutum), ツヅミモ( Cosmarium globosum), ホシガタモ( Staurastrum wandae), フタボシモ(Cylindrocystis), クロオコッカス(Chroococcus turgidus), ヒザオリ(Mougeotia), ハタヒモ(Netrium oblongum)多数, Bambusina brebissonii, ミジンコ, ワムシ, センチュウ,

野鳥の森湿原(東成瀬村),12:46
踏跡の様子。数mは続いているように見える。 もっと先にも続いているのかも知れないが,ここからだと草に隠れてわからない。 立入禁止なので,どこまで続いているか確かめるわけにもいない。

野鳥の森湿原(東成瀬村),12:46-12:47
上の採集ポイントの隣にある別の池塘(もうすぐ草で覆われて消えてしまいそうだが)でも 採集(野鳥の森湿原-6)Netrium oblongumだけはたくさんいるが,他の原生生物は種数も細胞数も少なめ。
観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, ナベカムリ(Arcella sp.), ディフルギア( Difflugia oblonga), ヒザオリ(Mougeotia), タテブエモ(Penium polymorphum), ハタヒモ(Netrium oblongum)多数, クロオコッカス(Chroococcus turgidus), ミジンコ, ケンミジンコ,

野鳥の森湿原(東成瀬村),12:47-12:48
1〜3枚目:パノラマ撮影。踏跡(2枚目)は右の潅木地帯(3枚目)に沿って続いている。

野鳥の森湿原(東成瀬村),12:48
そこで踏跡を少しだけ先に進んで近くの別の池塘でも 採集(野鳥の森湿原-7)。 前の2サンプルより若干,奥に位置する池塘なので原生生物の数(種数)が多い。
観察された生物: カリキモナス(Calycimonas sp.), ナベカムリ(Arcella arenaria), フセツボカムリ( Centropyxis aerophila), ディフルギア( Difflugia elegans), ラッパムシ(Stentor sp.), ツリガネムシ(Vorticella), Gloeocystis, エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), ヒザオリ(Mougeotia), カメガシラモ(Tetmemorus laevis), ミカヅキモ(Closterium idiosporum), ツヅミモ( Cosmarium globosum), ホシガタモ( Staurastrum iotanumS. wandae), イボマタモ( Euastrum ampullaceumE. cuneatum), ハタヒモ(Netrium oblongum)多数, タテブエモ(Penium polymorphum), フタボシモ(Cylindrocystis), クロオコッカス( Chroococcus pallidusC. turgidus), ミジンコ, イタチムシ,

野鳥の森湿原,隣にある池塘(東成瀬村),12:49

野鳥の森湿原(東成瀬村),12:49
その一番手前で採集(野鳥の森湿原-8)。 ここもやや多め。 観察される原生生物の種数は,湿原の中心部ほど多くなる傾向にあるが,ここも同じようだ。 おそらく中心部の池塘にはもっと多くの原生生物がいるはずだ。
観察された生物: キストディニウム(Cystodinium), 小型アメーバ, ナベカムリ(Arcella sp.), 珪藻各種, ブルボケーテ(Bulbochaete), ウネリマクラ(Docidium undulatum), カメガシラモ( Tetmemorus granulatusT. laevis), ミカヅキモ( Closterium abruptumC. idiosporumC. ulna), ツヅミモ( Cosmarium globosum), ホシガタモ( Staurastrum connatumS. leptodermum f. minor ?, S. wandae), イボマタモ( Euastrum ampullaceumE. crassum)多数, アワセオオギ(Micrasterias truncata)多数, ハタヒモ(Netrium oblongum), メリスモペディア(Merismopedia), ユレモ(Oscillatoria), ミジンコ, ケンミジンコ, ワムシ, イタチムシ(Chaetonotus hystrix),

通常,原生生物が一番多いのは湿原の中央部分だが,ここは「立入禁止」になっているので, これ以上先に進むわけにはいかない。早々に引き返した。 今回の採集ポイントは湿原の縁なので,原生生物は少なめのはずだが,それでもどんな種類がいるかおおよそはわかるだろう。

野鳥の森北側の林道を東へ(東成瀬村),12:51
既述したように,T字路を離れると,湿原と林道の間には潅木が並び,林道からは湿原が見えなくなる。

野鳥の森北側の林道を東へ(東成瀬村),12:51-12:52
前回もこの辺に多く咲いていたミズギクInula ciliaris)。


前回の様子(2010.08.10,12:16-12:17撮影)。

野鳥の森北側の林道を東へ(東成瀬村),12:53
1枚目:やや上り坂。この辺は乾いた普通の林道。樹木のトンネルを通過。 2枚目:前回の様子(2010.08.10,12:19撮影)。

野鳥の森北側の林道を東へ(東成瀬村),12:53
1枚目:トンネルを抜けるとそこが最初に湿原へ向った分岐点だ。 2枚目:前回の様子(2010.08.10,12:20撮影)。
前回はここから湿原へ向い,ここへ戻るまでに約1時間(11:25-12:20)かかった。 今回は一部ルートをカットして歩いたこともあり,前回の約半分(32分,12:21-12:53)の時間で戻れた。
だいぶ時間の節約ができた。 なにしろ,今回はこの須川高原での滞在時間が,前回より1時間短いので,なるべく余計な場所は歩かないようにしないとならない。

Part X: 野鳥の森北側の林道〜国道342号〜大仁郷湿原へ
2011.08.20, 12:57 - 13:25