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2007.08.23, Part VIII

八幡沼東・北側の湿原〜八幡沼〜ガマ沼分岐

八幡沼湿原を西へ(八幡平市),12:58
この頃になると,上空は厚い雲に覆われ,やや強い風が吹くようになった。 半袖シャツのままだと冷たく感じるほどで,慌ててザックから上着を出して着た。 この後は,復路のバスに乗車するまでこの上着を着たまま歩き回った。 さすがに涼しい。

八幡沼湿原を西へ(八幡平市),12:59-13:00
木道からカップ付き指示棒がギリギリ届く位置にかなり立派な形をした,というかいかにも池塘らしい池塘があった。 ここで採集(八幡沼湿原-2)(注)。 4枚目の画像でわかるように,ここではかすかに水が濁る程度しか水垢が取れなかったが,それでも以下のように, ここにはたくさんの種類の原生生物がいた。 池塘にはミツガシワMenyanthes trifoliata)が群生していたが, この植物が育つ池塘には原生生物がたくさんいる場合が多い。何故だろう?
観察された生物(8/26): 渦鞭毛虫の一種, リピドデンドロン(Rhipidodendron), ディフルギア( Difflugia oblonga), フセツボカムリ(Centropyxis), アミカムリ(Nebela carinata), ディアフォロドン(Diaphoropodon), Assulina, ラッパムシ(Stentor polymorphus, 共生藻類有り), オフリディウム(Ophrydium), 共生藻を持つチラキディウム(Thylakidium), サヤツナギ(Dinobryon sertularia), ペロニエラ(Peroniella hyalothecae), 珪藻少々, イカダモ( Scenedesmus sp.), サヤミドロ(Oedogonium), EchinocoleumPlanktosphaeria, ボツリオコッカス( Botryococcus braunii, コウガイチリモ( Pleurotaenium sp.) ミカヅキモ( Closterium abruptumC. ulna), アルスロデスムス( Arthrodesmus incus), ウネリマクラ(Docidium undulatum), ツヅミモ( Cosmarium globosum), イボマタモ( Euastrum binaleE. cuneatumE. sinuosum v. germanicum), ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens var. tatrica), ハタヒモ(Netrium digitus), タテブエモ(Penium polymorphumP. rufescens), クロオコッカス(Chroococcus turgidus), シネココッカス(Synechococcus), Gloeothece linearis (or Rhabdoderma ?), メリスモペディア(Merismopedia), ユレモ3種くらい(Oscillatoria), ケンミジンコ, ワムシ4種くらい, イタチムシ, 共生藻を持つ渦虫類,

注:8/24にはサンプルを観察できなかった。 理由はこのサンプルだけ誤ってザックの別な場所(未使用の試験管と同じ袋)に入れてしまい,採集の翌日に大学へ持ち込めなかったため。 2日遅れて観察したので,本来であれば多少原生生物が減ってしまうはずだが,それでもこれだけいたのには少々驚いた。

八幡沼湿原を西へ(八幡平市),13:03
ここでは池塘を「湿原の中のプール」として説明している。 昨年(2006.9.21)は,反対側(頂上バス停から見返峠を経由)から 歩いてきて,この後出てくる湿原を横切る沢のところまで歩いたが,時間の関係でそこから引き返してしまった。 そのため,この辺を歩くのは今回が始めて。沼の北側は,湿原の西端から沢のところまでは池塘がないので,昨年はまともな採集ができずに終わった。 沢の東側には結構立派な池塘があるのを今回初めて知った。

八幡沼湿原を西へ(八幡平市),13:03-13:05
また池塘があった。ここでも採集(八幡沼湿原-3)(13:05)。
観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, 小型繊毛虫数種, ナベカムリ(Arcella), ディフルギア( Difflugia bacillariarumD. elegansD. oblonga), ヘレオペラ(Heleopera), レンバディオン(Lembadion), ディセマトストマ(Disematostoma minor), 共生藻を持つプラチオフリア(Platyophrya similis), 珪藻各種, ボツリオコッカス( Botryococcus braunii), Stigeoclonium, コウガイチリモ( Pleurotaenium minutum), カメガシラモ(Tetmemorus granulatusT. brebissonii), ミカヅキモ( Closterium abruptumC. rostratumC. ulna), ツヅミモ( Cosmarium globosumC. quadrifarium), イボマタモ( Euastrum cuneatumE. humerosumの変種?), ハタヒモ(Netrium digitus), ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens var. tatrica), Bambusina, クロオコッカス(Chroococcus turgidus), メリスモペディア(Merismopedia), ケンミジンコ,

八幡沼湿原を西へ(八幡平市),13:06-13:07
ウメバチソウParnassia palustris)。

八幡沼湿原を西へ(八幡平市),13:07
さきほど紹介した湿原を横切る沢の手前でパノラマ撮影。 流れの方向からみて,この沢は八幡沼から流れ出ている水路のようだ。

八幡沼分岐その1(八幡平市),13:07
左への分岐が現れた。これは八幡沼の岸辺へ近付くためのルート。 同じものがこの先にももう1つある。 ここから八幡沼の沼岸へ出て,岸辺を歩いた後,先へルートを通ってこの木道に戻ることができるようになっている。

八幡沼分岐その2(八幡平市),13:08-13:09
1枚目:ここがその2つめの分岐。 2枚目:分岐の向いにある道標。木道側には「源太森 1.0 km →,駐車場 1.3 km ←」とあり, 3枚目:その脇には「八幡沼 50 m →,岩手県」とある。 50 mなら近いのでちょっと立ち寄ってみることにした。

八幡沼へ(八幡平市),13:09
1枚目:沼へ向う木道。 2枚目:ほどなく沼が見えてた。空が曇っているので,残念ながら鉛色の水面。

八幡沼(八幡平市),13:10
1枚目:沼岸へ出た。 2枚目:左側。さきほど紹介したように,前の分岐から沼岸へ出てここまで歩いてこれる。 3枚目:右側。沼の西端は標高が高く,尾根状になっている。その上に展望台が見えるが, あそこがこれから訪れる「ガマ沼分岐」。 4枚目:よく見ると右側の沼岸に池塘にも見える水たまりがあった。 しかし,近付いてみると,なんとなく池塘というよりは普通の水たまりに近い状態だったので,ここでの採集はパス。

八幡沼分岐へ戻る(八幡平市),13:11

ふたたび 八幡沼湿原を西へ(八幡平市),13:13-13:14
1枚目:このように沢の西側(=八幡沼の北西)には池塘はまったく見られない(注)。 画面の前方が横に幅広く盛り上がっているが,あそこが八幡平の頂上付近になる。 八幡平は頂上がなだらかなアスピーテ型の山ということで,見た目ではどこが山頂なのかハッキリしない。 2枚目:頂上手前で左に折れて沼岸へ近付き,この後,右折して沼を左に見ながら斜面を登っていく。 その途中が休憩所になっていて,今回も大勢の人が休んでいた。

注:ちなみに初回の記憶を辿ると,八幡沼の南側には木道の周囲に池塘が点在していた。

避難小屋分岐(八幡平市),13:14-13:15
1〜3枚目:T字路の前でパノラマ撮影。 1枚目:分岐のすぐ近くにある避難小屋・陵雲荘。 3枚目:この斜面を登った先に,さきほども紹介したガマ沼分岐がある。 4枚目:分岐の手前左に立っている道標。「源太森 1.1 km ←,駐車場 1.3 km →,高山植物を大切にしよう」とある。 ?? ひとつ手前の八幡沼分岐にあった道標にも「駐車場 1.3 km」と書いてあったが・・・。

ガマ沼分岐へ(八幡平市),13:16
1枚目:石段を登りガマ沼分岐へ向う。 2,3枚目:道端に咲いていた ウメバチソウParnassia palustris)。 これも仮雄蕊を持っている。 そういえば,昨年(2006.9.12)もここでこの花を撮影した。 昨年の花ではすでに仮雄蕊が消えている。 仮雄蕊を持っているのは昨年より20日ほど早いせい? こうして見比べると色々な変化があって面白い。

八幡沼を俯瞰する(八幡平市),13:17
階段をほぼ上がりきったところで,振り返って,沼とその周囲に広がる湿原をパノラマ撮影。 昨年同様,曇っているため青々とした湖面にはならない。残念。

Part V: ガマ沼分岐〜八幡平頂上
2007.08.23, 13:18 - 13:28