公開講演会:生物多様性研究・教育を支える広域データベース
原生生物情報サーバ  月井雄二(法政大学)
1 原生生物情報サーバの紹介
back 1-5 利用状況,利用者との交流 back

 「原生生物情報サーバ」は,現在,法政大 の他に,筑波大総研大の計3ケ所に同じ内容のもの(ミラーサーバ)が設置されている。いずれも連日かなりのアクセスがあるのだが,現在正確なアクセス数は把握できていない。と言うのも,最近はあまりにアクセスが増え過ぎてログをとるのがままならなくなったからである。

 法政大のサーバの場合,今年始め頃まではアクセス(ファイルアクセス)を記録していたのだが,最近になってサーバ用のパソコン(Macintosh G3)が頻繁にシステムエラーを起こすようになった。これには途中でOSを更新したことも影響しているようなのだが,直接の原因はアクセスの急増だった。記録したかぎりでは1日あたり最大9万件のアクセスがあったこともある。これは平均すると1秒に1回弱のアクセスになるが,アクセスは常時一様にあるわけではない。アクセスが集中した時にパソコンの処理能力を超えてしまいエラーを起こしたらしいのである。

 そこで,今年の途中からはパソコンへの負荷を極力減らすため,アクセスを記録することをやめた。こうすれば記録する工程が減る分だけサーバマシンがファイルアクセスに応えるスピードも上がるので,利用者側からすれば画面の表示が早くなり利用しやすくなるという利点もある。

 つぎに実際にどのように利用されているかについて紹介する。既述したように,利用者の中には専門家もいるので,このような人々の中には,国内外からメール等を介して画像を提供してくれたり,種の同定が不確かな画像を見て同定を助けてくれる人もいる。しかし,なんといっても一番多いのは,一般の利用者からの画像の利用願いや,種の同定依頼などの問い合わせである。多い時には週に3,4回の頻度で問い合わせがある(最近は,海外からの問い合わせの方が多い)。データベースの制作目的は公開した画像を利用してもらうことなので,これは制作者としては大変喜ばしい。

 ただし,気になるのは著作権がらみの問題である。画像を利用してもらうのはありがたいが,かと言って画像の撮影者(=著作権者)に無断で公の場で利用したり,商用目的に利用されては困る。一方,利用者側からすれば,どうすれば画像が利用できるのか許可条件や手続きの仕方がわからないと利用しずらい,という人も多いはずである。そこで,利用の際の条件や手続きの仕方を紹介した「著作権について」というWeb pages(日本語版 http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/copyright_J.html と英語版 http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/copyright_E.html )も用意してある。そして,画像があるすべてのページで,そこにある「Copyright」という文字をクリックすればこのページが表示されるようにしてある。この他,データベースにある情報を頼りに,直接,本人が研究室に訪ねてくるケースも多い。

 データベースのCD-ROM版を制作して無償配布する活動も行なっている(正確には,行なった)。1995年に第一版を制作して以来,これまでに2回改訂を行なったが,第三版(1999年制作)は約7000枚を配布して全国から様々な反響を得た。ただし,画像が増えるにつれ,途中からネットワークで公開している5種類のサイズの画像ファイルすべてをCD-ROMに収録することができなくなった。そのため,第二版からは画像ファイルを2種類(サムネイル画像と画面サイズの画像)のみに減らして制作した。だが,第三版以後は,さらなる画像の増加により画像ファイルの種類を最小限に減らしてもすべての画像をCD-ROMに収録できなくなった。このため,CD-ROMの配布活動は現在中止している。

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