3-3-1. データの追加・編集原生生物データベース(サーバ名:原生生物情報サーバ)で公開している画像は,昨年度末で5000枚余だったが,今年度は,これまでに4000枚余を追加して総計9000枚余となった(1999年2月現在)。撮影された原生生物は計292属,780種である。これらをデータベースに組込むととともに,関連した解説文を適宜修正・追加した。種の同定や解説文の作成などに使用した文献は以下のとおりである。
1. Hausmann, K. & Bradbury, P.C. (eds.), 1996, CILIATES Cells as Organisms, pp. 51-72, Gustav Fischer.
2. Hausmann, K. & H殕smann, N., 1996, Protozoology, Thieme Medical Pub.
3. Yamagishi, T. & Akiyama, M. (eds.), 1996, Photomicrographs of the Freshwater Algae., Vol.1-17, Uchida Rokakuho Pub. (in Japanese & English).
4. Kojima, S., Sudo, R. & Chihara, M. (eds.), 1995, Kankyo-Biseibutu Zukan (Encyclopedia of Environmental Miroorganisms), Kodansha Scientific (in Japanese).
5. Carey, P.G., 1992, Marine Interstitial Ciliates; An illustrated Key, Chapman & Hall.
6. Margulis, L., Corliss, J.O., Melkonian, M. and Chapman, D.J. (eds.) , 1991, Handbook of Protoctista. Jones and Bartlett, Boston.
7. Margulis, L. & Schwartz, 1988, Five Kingdoms; An illustrated guide to the phyla of life on earth., Second edition, Freeman and Company.
8. Lee, J.J., Hutner, S.H. & Bovee, E.C. (eds.), 1985, An Illustrated Guide to the Protozoa., Society of Protozoologists.
9. Corliss, J.O., 1979, The Ciliated Protozoa - Characterization, Classification and Guide to the Literature., 2nd, Pergamon Press.
10. Jahn, T.L., Bovee, E.C., Jahn, F.F., 1979, How to know the protozoa, 2nd edition, The Pictured Key Nature Series, Wm. C. Brown Company Publishers.
11. Hirose, H. & Yamagishi, T. (eds.), 1977, Illustrations of the Japanese Fresh-water Algae, Uchida Rokakuho Pub (in Japanese).
12. Page, F.C., 1976, An illustrated key to freshwater and soil amoebae, Freshwater Biological Association, Scientific Publicaton No. 34, Titus Wilson & Son Ltd.
13. Giese, A.C., 1973, Blepharisma - The Biology of a Light-sensitive Protozoan, Stanford Univ. Press, Stanford, California.
14. Kudo, R.R., 1966, Protozoology 5th ed., Charles C Thomas Publisher.
図6. 静止画像のデジタル化,データベース化の過程3-3-2. サーバへのアクセス状況について
「原生生物情報サーバ」は,法政大学生物学研究室以外にもいくつかのミラーサーバを設置している。石巻専修大学理工学部生物生産学科 柳 明研究室,筑波大学生物科学系 高橋三保子研究室,農業生物資源研究所DNA遺伝情報課,総合研究大学院大学,そして,最近になって設置された中國微生物信息網絡系統(中華人民共和国,後述)である。
このうち,法政大学,および「原生生物情報サーバ」のみを公開している石巻専修大学,筑波大学の各サーバについて,過去1年間のログ(アクセス記録)を解析した(使用ソフト Analog)。その結果は以下のとおりである。
Yanagi Lab. at Ishinomaki-Senshu Univ.
month year pages #reqs kbytes
Jan1998 13818 41008 223197
Feb 1998 28116 77964 372853
Mar 1998 6738 35806 176842
Apr 1998 5422 28961 173146
May 1998 4864 34522 206067
Jun 1998 3924 23076 136532
Jul 1998 3528 19600 109090
Aug 1998 11431 31236 162825
Sep 1998 5134 40244 255279
Oct 1998 4771 42325 261380
Nov 1998 3607 35850 218267
Dec 1998 3914 31363 177785
Jan 1999 3128 27999 170966
Feb 1999 7179 18153 63655
Takahashi Lab. at Tsukuba Univ.
Feb 1998 359 476 1768
Mar 1998 23076 68353 335031
Apr 1998 21399 69300 333732
May 1998 18298 50639 226222
Jun 1998 14740 44934 219657
Jul 1998 17578 47267 239583
Aug 1998 35109 63791 281849
Sep 1998 24919 77995 383514
Oct 1998 44543 136226 717376
Nov 1998 37293 145741 751583
Dec 1998 46021 132549 625826
Jan 1999 43522 138459 673227
Feb 1999 11277 61663 315767
Laboratory of Biology at Hosei University
Jan 1998 19459 42157 188936
Feb 1998 30956 64231 328091
Mar 1998 67219 164270 615591
Apr 1998 71395 172049 1256071
May 1998 41679 92772 444202
Jun 1998 34883 74084 378428
Jul 1998 54936 93229 354137
Aug 1998 45576 85039 345147
Sep 1998 31321 106418 567317
Oct 1998 37837 128128 672798
Nov 1998 48679 132942 957047
Dec 1998 42713 111618 509447
Jan 1999 40526 93884 426623
以上の結果からわかるように,サーバによってアクセス数にはかなりの開きがある。これはサーチエンジンへの登録や外部のリンクページにどの程度紹介されているかによるとみられる。また,現在,データが増えすぎたためにハードディスクの容量が足りなくなり,法政大以外のサーバの更新が十分にできていない。そのため,最新のデータを利用したい場合は法政大にアクセスすることになり,結果として,法政大にアクセスが集中する傾向にある。
昨年の各サーバへのアクセス(月平均の web pages)数が一番多かったのは,法政大学の3月〜4月にかけてであった。とくに4月には約7万ページに達した。各アクセスごとに利用者が見るweb pagesは多くても10頁以下なので,この数から推定すると法政大だけで1カ月で延約1万人程の利用があったことになる。
ただし,アクセス数の3割程度はサーチエンジンが放ったロボット(データ収集プログラム)による自動データ収集なので,実際の利用者数は7000人以下であろう。
筑波大,石巻専修大は法政大よりも少ないが,この他にある農業生物資源研,総研大,中華人民共和国にあるサーバへのアクセスを考慮すると,サーバ全体へのアクセスは,総計で月当り延1〜2万人程度になるものと思われる。
とはいえ,中にはサーチエンジンを利用した検索でアクセスしてきたものの自分が探しているものではないことに気付き,一度かぎりのアクセスで終わる利用者も多い。本当の意味でデータベースを利用しようとしてアクセスしてくる「真の」利用者の数は,これよりも少ないことは確かである。
(注:後述するように,原生生物データベースのCD-ROM版が全国に6000枚以上配布してあり,個人,および,中高校などで利用されている。したがって,データベースそのものの利用者はネットワーク経由でアクセスしてきた人数よりも多いはずである)
3-3-3. 利用者からのデータの提供・修正要求
今年度は,ネットワークで公開している画像や各分類群の解説を見た各分野の専門家からデータの修正・追加の要請(菌類の分類学的記載,クマムシの種の同定)があった。
1998年11月,阿部渉氏(国立科学博物館動物研究部)により クマムシ の種名の記載が誤っていることが指摘された。そこで,阿部氏に正確な種の同定を依頼し,その結果に基づいてクマムシ(Tardigrada, Eutardigrada, Dactylobiotus)に関するweb pagesを改訂した(http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Images/Multicell/Dactylobiotus.html)。
1999年1月には, 川上新一氏(筑波大)により【原生生物図鑑】菌類に関するweb pagesが改訂された。具体的には,川上氏が菌類のweb pagesをプリントアウトしたものを改訂し,それを基に月井がweb pagesを変更した。改訂されたweb pagesは以下のとおりである。
1.動菌類 Mycetozoa
http://protist.i.hosei.ac.jp/taxonomy/Sarcodina/Mycetozoea.html
2.細胞性粘菌 Cellular slime molds
http://protist.i.hosei.ac.jp/taxonomy/Sarcodina/Dictyosteliomycota/index.html
3.変形菌(粘菌)門 Myxomycota
http://protist.i.hosei.ac.jp/taxonomy/Sarcodina/Myxomycota/index.html
4.アクラシス門 Acrasiomycota
thttp://protist.i.hosei.ac.jp/axonomy/Sarcodina/Acrasiomycota/index.html
5.プロトステリウム門 Protostela
http://protist.i.hosei.ac.jp/taxonomy/Sarcodina/Protostelia/index.html
6.タマホコリカビ門 Dictyostela
http://protist.i.hosei.ac.jp/taxonomy/Sarcodina/Dictyosteliomycota/Dictyostela.html
図7. データベースのネットワーク公開とCD-ROMの作成3-3-4. 海外(中華人民共和国)におけるミラーサーバの開設
既述したように,日本に留学中の中国の研究者から原生生物データベースのミラーサーバを中国に開設したいとの依頼があり承諾したところ,1998年11月にそのミラーサイトが公開された(http://www1.im.ac.cn/protistdb/index.html)。
ミラーサーバの設置を依頼してきたのは,Juncai MA 氏(Director, Information Network Center, The Institute of Microbiology, Chinese Academy of Sciences)である。Juncai MA 氏は,昨年11月まで理化学研究所にAsian Network on Microbial Researches(ANMR)に関する研究で留学中で,その間に原生生物情報サーバの存在を知ったとのことである。11月15日には中国に帰国予定で,中国から日本にアクセスするのは画像が多い場合大変なので,中国の利用者への便宜をはかる意味でも,彼が関係している中國微生物信息網絡系統 (http://www.im.ac.cn/)に原生生物情報サーバのミラーを設置させて欲しい,という依頼をしてきた。そこで,後述する CD-ROMを送付し,これを基に中国に帰国後,ミラーサーバを開設することを了解した。
この中國微生物信息網絡系統では,同様な目的で原生生物情報サーバ以外にも世界各地の微生物関連のサーバのミラーを作成している。
3-3-5. 外部組織による公開画像の利用
この他,公開した画像を非営利,もしくは,営利目的で利用したいという依頼が複数あった。教育・研究等のための非営利目的の利用申請については,無条件で許可したが,営利目的の利用については,契約書を取り交わした上で承認した。
Microsoft社からは,「エンカルタ99日本語版」に掲載予定の原生生物に関する解説の執筆依頼(月井)とともに,いくつかの原生生物の画像を使わせてもらいたいとの要請があった。また,羊土社からは,科学ブックスシリーズ「時代を生きる生物学(仮)」に画像を使わせてもらいたいという依頼があり,いずれも書面で利用範囲等についての契約を取り交わした上で,承諾した。