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2013.06.24, Part XIII

国道342号沿いのやや大きな湿原

国道342号をさらに北へ(東成瀬村),13:11
2枚目:遠くに見える雪山を望遠撮影。 中央奥に尖った山がある。あそこが一番高そうだが,この方向で高い山というと焼石岳(標高 1548m)がある。 その左手前(西)には柴沢山(標高 1241m),右手前には獅子ヶ鼻岳(標高 1293m)がある。 その辺だろうか?

左にやや大きな湿原が現れた(東成瀬村),13:11
ここは,一昨年(2011)までは道路際に立入禁止の看板があった(下々段)。 しかし,昨年(2012,下段)訪れた際はその看板が姿を消していた。原因不明。 今年はどうかと見ると,看板は消えたままだ。 ということは立入っても良いのだろうか? よくわからないが,この奥には大きな池塘,というか池?がある。 以前から一度は採集してみたいと考えていたので,この際,せっかくなのでその池まで迫ってみることにした。 ただし,なるべく湿原を踏まないように,周囲にある潅木地帯との境を歩くことにした。


2012年07月の様子(2012.07.28,11:55-11:56撮影)。

2011年08月の様子(2011.08.20,11:49-11:50撮影)。

2010年08月の様子(2010.08.10,10:59-11:00撮影)。

ということで潅木地帯の縁に沿って進んだ(東成瀬村),13:12

潅木地帯の縁に沿って進む(東成瀬村),13:12
右の池?は潅木地帯からやや離れている。 かなりの遠浅になっているので,水際まで近付くのは無理そうだ。よってここはパス(注1)。 奥(南)に見えるもう一つの池へ向って進む。 周囲には, モウセンゴケDrosera rotundifolia)や ミツガシワMenyanthes trifoliata) の姿も見えるが,池の中央部には葦原のようなものが育っている。 ??どうも湿原らしくない。下記のように,水底の状態があまり好ましくない環境にあるのが原因かも。
2,3枚目:池の先(西側)にワタスゲEriophorum vaginatum) の果穂が帯状に連なった場所がある。 あそこは他よりも若干乾いているようだ。 この後,北側の小湿原を訪れたが,その際,それと気づかずに前方の潅木地帯まで南下してしまった。 そして,あのワタスゲがある付近まで来たのだが,そこには南北に続く深い溝があった。 航空写真(注2)で見ると,ほぼまっすぐな線が,この先にある「南側の池」の先端からこの池の西側を通って北へ向って伸びている。 あきらかに人工的に掘削された水路だ。 その水路が何のために造られたかと推察すると,おそらくここが湿原として保護される以前は, 耕作地にするために水抜きをしようとしてそのような溝が掘られたのではないだろうか? しかし,途中で放棄され,現在も湿原のままになっていると思われる。

注1:後の写真にあるが,ここは水底がやや白い。 さきほども紹介したように,この周辺でよく見られる現象だ。 大仁郷湿原や野鳥の森入口近くの池がそうだったように,水底が白い場合,原生生物がほとんどいない。 それも近付かなかった理由だ。
注2:航空写真ではまっすぐな線にしか見えないので,かつてあった木道の跡かとも思っていたのだが,そうではなかった。

潅木地帯の縁に沿って進む(東成瀬村),13:12-13:13
足下では イワカガミScizocodon soldanelloides,イワウメ科 イワカガミ属) がたくさん咲いていた。 踏み付けないように注意して歩く。

南側の池に近付いた(東成瀬村),13:13
ここは池の中にたくさんの ミツガシワMenyanthes trifoliata,ミツガシワ科 ミツガシワ属) があった。 ここはいかにも湿原にある池塘らしい。やや大きいが。

南側の池(東成瀬村),13:14
水際にはたくさんの ミツガシワMenyanthes trifoliata,ミツガシワ科 ミツガシワ属) が育っていた。望遠撮影。

南側の池,腰をかがめてパノラマ撮影(東成瀬村),13:14
ミツガシワが多いのは高地の湿原らしいが,それに混じってここにも葦のような単子葉植物が生えている。 これは高地の湿原ではほとんど見られない。

南側の池(東成瀬村),13:14
ミツガシワMenyanthes trifoliata,ミツガシワ科 ミツガシワ属) の近くで 採集(南側の池-01)。 それなりにいたが,期待したほど多くない。
観察された生物: 小型鞭毛虫数種, ディフルギア( Difflugia bacillariarumD. oblonga), 共生藻を持つラッパムシ(Stentor fuliginosus), サヤツナギ(Dinobryon sertularia), アルスロデスムス( Arthrodesmus incus), イボマタモ( Euastrum affine), アワセオオギ(Micrasterias truncata), ハタヒモ(Netrium digitus), クロオコッカス(Chroococcus turgidus), Hapalosiphon, ワムシ, ミジンコ, カイミジンコ, センチュウ,

南側の池(東成瀬村),13:15
1枚目:わずかだが, ヒツジグサNymphaea tetragona,スイレン科 スイレン属) の姿もあった。 2,3枚目:開花中のミツガシワMenyanthes trifoliata)も。

元へ戻る(東成瀬村),13:16

採集しなかった池を望遠撮影(東成瀬村),13:16
さきほどいた南側の池は,水底が暗褐色だったが,こちらはやや灰色がかった泥で覆われている。 水底の様子が南側の池とは異なるようだ。 大仁郷湿原ほどではないが,多少とも温泉に関係すると思われる白い成分が含まれているのかも知れない。

国道342号に戻る,車道に出て左折(東成瀬村),13:17

国道342号をさらに北へ(東成瀬村),13:18
道路際の溝近くでは色々な植物が観察できる。 1,2枚目:花が終わり,長く伸びて実をつけた ショウジョウバカマHeloniopsis orientalis,ユリ科 ショウジョウバカマ属)。 3枚目:これは花が終わった イワカガミScizocodon soldanelloides,イワウメ科 イワカガミ属) ?

前回も撮影した踏跡(東成瀬村),13:19
今回は少し入ってみたが,途中で途切れていた。 これはいったいどうしてできたのだろう?

国道342号をさらに北へ(東成瀬村),13:19
これはツマトリソウTrientalis europaea)。

国道342号をさらに北へ(東成瀬村),13:19-13:20
これは?? ヒメシャクナゲAndromeda polifolia)に似ているが,よく見るとどうも違う。 ヒメシャクナゲの葉は縦長だが,この葉は丸みがある。 花はまだ蕾の状態なのでどの程度似ているかわからない。 どうやらこれは開花直前の ツルコケモモVaccinium oxycoccus,ツツジ科 スノキ属) のようだ。

Part XIV: 赤川の西斜面に広がる湿原
2013.06.24, 13:21 - 13:30