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2007.07.01, Part IV

人形石〜いろは沼

人形石東にある小湿原(中大巓東側の尾根を下る,西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:33-09:38
1〜3枚目:尾根を下り始めるとすぐに前方に小さな湿原が現れた。池塘もいくつかある。 4枚目:歩道沿いの池塘には,近くまで踏み跡ができていた(2枚目,注)。 湿原を踏まないように注意しつつ,カップ付き指示棒を使ってサンプリング。 ここで採集(人形石東の小湿原)
観察された生物: ディフルギア( Difflugia elegansD. oblonga), アミカムリ(Nebela collarisN. tincta), アンフィトレマ(Amphitrema stenostoma,共生藻あり,葉状と糸状が混在した仮足を出す,両端に口? 初観察), ラッパムシ(Stentor pyriformis, 共生藻類有り, S. igneus, 共生藻類有り), ボツリオコッカス( Botryococcus brauniiB. sudetica), ミカヅキモ( Closterium abruptum), イボマタモ( Euastrum cuneatumE. sinuosum or E. didelta ?), ハタヒモ(Netrium digitusN. oblongum), タテブエモ(Penium polymorphum), フタボシモ(Cylindrocystis brebissonii), クロオコッカス(Chroococcus), ミジンコ, ワムシ,

注:踏み跡の手前には以前は侵入禁止のロープが張られていたらしい跡があった。 現在以上に踏み跡が広がると池塘の土手が壊れて水が流れ出し,池塘が失われてしまう恐れがある。

人形石東にある小湿原(中大巓東側の尾根を下る,西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:39
近くに咲いていた チングルマGeum pentapetalum)の群生。 ここはまだ花が満開状態。

弥兵衛平・弥兵衛平湿原へ,中大巓東側の尾根を下る(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:39
小湿原を過ぎると,狭い登山道となり,徐々に傾斜がきつくなっていく。 それとともに登山道は土のない大きな岩ばかりとなる。段差もあり降りるのに苦労する。

尾根を下る途中にある小湿原(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:40
途中に平坦な場所があり,そこには木道も敷設されていた。 池塘も見えるが,木道から遠く離れているため採集は不可。

尾根を下る途中にある小湿原(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:42
湿原を横に見ながら傾斜した木道を下る。

尾根を下る途中にある小湿原(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:42
コバイケイソウVeratrum stamineum)と ワタスゲEriophorum vaginatum)。 たしかにここは湿原だ。

弥兵衛平・弥兵衛平湿原へ,中大巓東側の尾根を下る(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:43
イワイチョウFauria crista-galli)も咲いていた。

弥兵衛平・弥兵衛平湿原へ,中大巓東側の尾根を下る(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:45
木道を過ぎた後,やや平坦で柔らかい土の道(1枚目)がわずかに続くが, すぐに急な傾斜で岩ばかりの道となる。それがこの後延々と続いた。 途中で「こりゃかなわん。引き返そうか」という気にも一時なったが,なんとか堪えて下っていった。 既述したが,人形石から下ってきたこのルートは西吾妻一切経縦走線の一部で, この先には藤十郎,弥兵衛平,東大巓と続き,東大巓の北に弥兵衛平湿原(明月荘〜明星湖,注)がある。 今回は弥兵衛平湿原まで行くのが目標(往復)。

注:弥兵衛平と弥兵衛平湿原はどちらも湿原地帯。名前が似ていてややこしいが,一応別な地域として扱われる。

弥兵衛平・弥兵衛平湿原へ,中大巓東側の尾根を下る(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:49
1枚目:前方に「いろは沼」(注)が見えてきた。

注:池塘がたくさんある場所を「いろは沼」と呼ぶことがある。 ちなみに人形石の西側にも同じ「いろは沼」がある。近い場所なので若干ややこしい。

いろは沼を遠望する(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:55
デジカメで望遠撮影。 残念ながら池塘の多くは木道から遠く離れている(注)。 池塘群の先に見える小山(名称不明)の標高は 1860m。

注:この後わかるが,一ケ所だけ池塘に近付ける場所があった。

弥兵衛平・弥兵衛平湿原へ,中大巓東側の尾根を下る(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),09:58-09:59
道端に咲いていたミツバオウレンCoptis trifolia)?

弥兵衛平・弥兵衛平湿原へ,中大巓東側の尾根を下る(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),10:02-10:07
急な岩場が続く。  1,3枚目:画面では分かり難いが,岩場はかなり急な下り坂。大きな岩が目立つ。下るのが大変。 2枚目:所々にある平坦な場所にはこのように木道が敷設されている。

いろは沼(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),10:07-10:09
1枚目:どうにか斜面を下り終えると,すぐに木道が現れる。 2枚目:木道脇には水面が見えるが,,, 3枚目:最初の場所はかなり水が流れた跡らしいので,ここでは採集せず。

いろは沼(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),10:10-10:13
1,2枚目:しばらく行くと池塘が現れた。 木道の両脇はかなり荒れていて,泥炭層がかなりの程度流失している。 このような場所で湿原に足を踏み入れる訳にはいかないが,幸い,木道脇にやや大きな石が露出していた。 ここに足を降ろし,カップ付き指示棒と自分の手を長く伸ばして,どうにかサンプルが採れた(4枚目)。 5枚目:採集したサンプル(いろは沼-1)(注)。
観察された生物: カリキモナス(Calycimonas physaloides), ナベカムリ(Arcella sp.), フセツボカムリ(Centropyxis), ディフルギア( Difflugia acuminataD. claviformisD. elegansDifflugia sp. 大型,先端部が大きく膨らむ, 初観察), アミカムリ(Nebela marginata), アンフィトレマ(Amphitrema stenostoma,共生藻あり,葉状と糸状が混在した仮足を出す,両端に口? 初観察), ラッパムシ(Stentor pyriformis, 共生藻類有り)多数, オフリディウム(Ophrydium), 珪藻各種, オーキスチス(Oocystis), エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), ボツリオコッカス( Botryococcus sudetica), サヤミドロ(Oedogonium sp. 形が独特, 初観察), ヒザオリ(Mougeotia), カメガシラモ(Tetmemorus laevis), トゲツヅミモ(Xanthidium armatum), ツヅミモ( Cosmarium globosum), アルスロデスムス( Arthrodesmus incus), トゲツヅミモ(Xanthidium armatum), イボマタモ( Euastrum cuneatumE. sinuosum or E. didelta ?), ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens var. tatrica), ハタヒモ(Netrium digitus,通常のタイプと菱形に近い変種?), ネジモ(Spirotaenia condensata), シネココッカス(Synechococcus), クロオコッカス(Chroococcus turgidus), ユレモ(Oscillatoria), シネココッカス(Synechococcus), ミジンコ, ワムシ,

注:この時は,湿原が荒れているのと,池塘の多くが木道から離れているので,今回はあまり採集できないのではないかと 思っていた。そのため,カップの中の水を2本の採集チューブに分注した。 しかし,この後,地図にない場所にも小さな湿原・池塘が多数点在していたため, たくさんのサンプルが確保できた。多すぎた程。この後,観察するのが大変。

いろは沼(西吾妻一切経縦走線を東へ,北塩原村),10:13-10:15
1,2枚目:露出している泥炭層の表面が緑色をしていた。 これを採集(いろは沼-2)。 翌日の観察により,この緑色はコケの原糸体であることが判明。 3枚目:この先の木道周辺の荒廃はかなりのもの。 画面右に「起点」と書かれた標柱があるが,現在のところ意味不明。
観察された生物: クリプトモナス(Cryptomonas), 小型鞭毛虫数種, 珪藻各種, フタボシモ(Cylindrocystis brebissonii), コケの原糸体 (Moss protonema)多数

Part V: 藤十郎西側に点在する湿原
2007.07.01, 10:17 - 10:34