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2006.06.29, Part VII

山の鼻〜原ノ川上橋

山の鼻,11:52

山の鼻,11:52-11:53
尾瀬ケ原に入る手前の木道を歩いていると,2本の木道の間にわずかな水たまりがあり,緑色の糸状藻類が繁殖していた。 採集(山の鼻の木道)して翌日観察した結果, 当初はアオミドロが大量にいるだけで,他の原生生物はほとんど見当たらなかった。 しかし,しばらく置いてから観察すると,少しだが他の原生生物も観察できるようになった。
観察された生物(6/30): ハネケイソウ(Pinnularia), アオミドロ(Spirogyra),
観察された生物(7/10): ゾウリムシ(Paramecium trichium) コウガイチリモ(P. trabecula), ミカヅキモ(C. intermedium?),
観察された生物(7/18): エントシフォン(Entosiphon), マヨレラ(Mayorella), フセツボカムリ(Centropyxis), ヌクレアリア(Nuclearia), スティコトリカ(Stichotricha), ゾウリムシ(Paramecium trichium

尾瀬ケ原へ,11:54

尾瀬ケ原へ,11:54-11:56
1枚目:いよいよ湿原へ入る。 2枚目:ここにも訪問客の数をカウントするためのセンサーがある。

尾瀬ケ原を東へ,11:56-11:57

尾瀬ケ原を東へ,11:58-12:02
一帯にわずかだが浅い水たまりができているところがあった。 採集(上田代 No. 1-1, 1-2)して翌日観察してみたが, 以下のように原生生物は少なかった。ここは雪解け時には大量の水が流れる場所なのではないかと思われる。
観察された生物(6/30): ディフルギア( D. bacillariarum), プロロドン(Prorodon), 珪藻各種, ミカヅキモ( C. baillyanum), ワムシ,
観察された生物(7/10): ナベカムリ(Arcella), ディフルギア(D. elegans), サイフォデリア(Cyphoderia), ミカヅキモ( C. baillyanumC. intermedium), ツヅミモ(C. quadrifarium), ハタヒモ(Netrium sp.),


この3枚目にあるサンプルを採集している時だったと思うが,前方からやってきた自然保護官らしき二人連れが, 私がピペットを水中に差し込んでいるのを見て曰く「何をしているのですか?」。「微生物(注1)を採集しています」と答えると, 「許可は取っているのですか?」と厳しい口調で詰問してきた。 尾瀬は自然保護地区に指定されているので,動植物や土石の採集が禁止されているのは知っているが(注2),原生生物の採集まで禁止されているはずはない。 そこで,「微生物の採集にも許可がいるのですか?」と質問したところ,これについては何の返答もなかった。 「ゾウリムシやアメーバ,あるいはアオミドロなどの藻類のことだが,,」と補足説明をしても何のことやらわからない様子だった。 結局,怪訝そうな顔で「勉強しておきます」と云って離れていったが,自然保護に携わる人間が微生物が何であるかも知らないというのには, 驚くとともに落胆してしまった。
と同時に,「微生物」の社会的認知度がいかに低いかを痛感させられた場面でもあった。 今後は,より一層,微生物に対する社会の理解を増進させる活動が必要だと悟った次第。

注1:「原生生物」といっても理解されない恐れがあったので,一番平易な微生物と言ってみたのだが・・・。
注2:この機会に,自然保護に関する法令を色々調べてみたが, どれも「動植物」とあるばかりで「微生物」に言及しているものはひとつもない。 自然保護の世界では,いまだに生物には「動物」と「植物」の2グループしかないのだろう。 もっとも,微生物といっても,細菌類(ないし原核生物)と原生生物とでは違いがありすぎるが・・・。

尾瀬ケ原を東へ,12:02

尾瀬ケ原を東へ 原ノ川上橋を渡る,12:04-12:07
1枚目:川上川に架かる原ノ川上橋を渡る。まだ新しい木造の橋だが,斜に傾いていた。

Part VIII: 原ノ川上橋〜牛首(中田代三叉路)
2006.06.29, 12:08 - 12:48