米粒(または麦粒)培養
既述したように,これはもっとも手軽な方法といえる。シャーレなどに採集してきたサンプルを入れ(水が少なめの場合,適当な塩溶液を加える),これに精米(あるいは麦粒)を数個入れるだけである。後はそのまま放置して,時々実体顕微鏡や光学顕微鏡で観察を行なえばよい。
この場合,米粒から溶け出す養分によってバクテリアが増え,それを餌とする原生生物が増える。さらにはその原生生物を餌とする他の原生生物が増えるといった連鎖反応が起きる。ときには,米粒を積極的に溶解する力を持ったバクテリアやカビなどが増え出すこともあり,そのような場合,数日で米粒は解けてしまうこともある。水深の浅いシャーレに米粒を入れると,米粒から
ミズカビや
ワタカビ
などの菌糸が放射状に生えることもある(注:水深が深い場合,酸素の供給が十分でなくなるためと思われるがカビの菌糸は成長しなくなる)。すると米粒は次第にやわらかくなり崩れていくが,カビが増えることでバクテリアの増殖が抑えられ,培養液は比較的透明なまま長期間培養が安定することが多い。なかにはいつまでも米粒が残ったままで原生生物の姿もあまり見えない場合もある。米粒がどうなるかは,採集してきたサンプルにどのような微生物がいたかによって大きく左右される。
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