研究資材データベース構築&公開ガイド
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リンク&文法チェック

 これは研究資材データベースに限ったことではないが,Web pagesの作成後,ネット上で公開する際には,可能なかぎりhtmlファイルに記載された内容のチェックをした方が良い。すなわち,他のWeb page,ないしは画像等へのリンクが正しく記載されているか(リンクチェック),あるいは,その他のhtml文の記載に間違いはないか(文法チェック)を確認する必要がある。

 このようなリンクチェック,及び,文法チェックは,html文を自動的に作成するソフトにも備わっていることが多いが,その場合は個々のファイルごとにチェックを行なうことになる。一方,これらのチェックを専門に行なうソフトウェアもある。チェック専用のソフトには,多数のhtmlファイルのチェックを一括して行なう機能がついているので,データベースのような多数のファイルからなるWebサイトを効率的にチェックするのに適している。

 文法の誤りは,WWWブラウザを変えることでもある程度は検出することができる。これは,WWWブラウザはhtmlの表記に関して一部を省略した簡略表現を認めているのだが,省略できる箇所が各ブラウザごとに異なるためである。あるブラウザで省略してよい部分に記載ミスがあった場合,そのブラウザでは画面表示には問題が生じないため記載ミスには気づかない。しかし,その部分の省略を認めていない他のブラウザに変えると画面表示が乱れるため,記載ミスが発見されることがある。

ブラウザによる見え方の違いをなくす

 文法の誤りはなくとも,WWWブラウザによってhtmlファイルの出力結果(モニタ画面での表示)が異なる場合が多い。ときには,制作者の意図から大きく外れることもあるので注意が必要である。この点については,htmlファイルを設計するの際の注意点の一つとして既述してあるので詳細は省くが,Webサイト全体が完成した段階でも,あらためてブラウザが異なってもなるべく同じに見えるように全体を再検査した方がよい。

サーバは自前か間借りか?

 サーバの設置法についてはWebサイトの開設に関する一般的な事項なのでここでは省略する。また,各研究機関のサーバに間借りすることができれば,研究者自身がサーバの設置に関する詳細な知識を学ぶ必要はない。
 一方,研究機関ごとに多少事情は異なるだろうが,多くの場合,研究者であれば各自の研究室に自前でサーバを設置することもできるはずである。この場合は,自力でサーバの設置に関する諸々の知識/技能を身に付けなければならないが,その替わり,容量や利用できる機能など,サーバの管理運営に関しては比較的自由度が高くなるのが利点である(ただし,いずれの場合も各機関のネットワーク管理組織の指示には従わなければならない)。

DNS参照機能の功罪

 ユーザー側からすれば,アクセスした先のWebサーバからは素早いレスポンスが返ってきて欲しいと望むのは当然である。ただし,途中の通信経路が混雑していたり,通信速度がもともと遅ければレスポンスが遅くなのはやむを得ない。しかし,そうでなくても,意外な原因でレスポンスが遅くなる場合がある。それは,Webサーバ側のなにげない設定の違いによる。
 DNS(Domain Name Server)とはその名のとおり,インターネットに接続された各サイトの名前の情報を提供する機能をもったサーバである。Webサーバソフトで通信の記録を保存する設定を行なう際,この「DNSを参照する」かどうかが選択できるのだが,「参照する」を選択すると,結果としてユーザーへのレスポンスが遅くなる可能性がある。
 Webサーバ管理者としては,サーバの利用状況を知るために,どこからどれくらいのアクセスがあったかを記録したいと思うはずである。しかし,アクセスしてきたユーザー(実際にはユーザーが使用しているコンピュータ)の所在に関しては,ユーザー側から提供される情報にはIPアドレスと呼ばれる数字だけで表されたデータ(例:123.456.78.90など)しかない。これでは,どこからアクセスしてきたのか判読が難しいので,このIPアドレスをDNSに転送して,DNSにそのIPアドレスに対応したDomain Name(例:protist.i.hosei.ac.jpなど)を調べてもらうのである。そして,それが判明すると,そのDomain NameがDNSから調査を依頼したWebサーバへ返送されてくる。
 これでやっと通信記録(ログ)にDomain Nameが記録されて,つぎの作業へと移ることができるのだが,このWebサーバとDNSとのやりとりに時間がかかると,それだけユーザー側へのレスポンスが遅れてしまうのである。
 したがって,ユーザー側の気持ちを考えれば,そのような場合はDNSを参照しない設定にした方がよい。もちろん,WebサーバとDNSとのやりとりが十分迅速であればその必要はない。いずれがよいかは,Webサーバ制作者自身が,DNSを参照するかしないかで,外部からアクセスした場合にどの程度のレスポンスの遅れが生じるかを確かめてみればよい。もし,それほどの違いがなければ,DNS参照をONにすればよいし,あきらかに反応時間に差があり,それが堪え難いものであるならば,DNSの参照は中止した方がよい。

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