平成10年度知的基盤整備推進制度
「生物系研究資材のデータベース化及びネットワークシステム構築のための基盤的研究開発」
2-1. 生物資材情報発信のためのWWWサーバ構築サポートシステムに関する研究

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3-4. 原生生物データベースCD-ROM版の作成・無償配布

3-4-2. 新たな配布方式の実現

 最近になって(1999年1月27日),愛知県豊橋市の教員から,市の教育委員会が補正予算(16万円)を使って,原生生物CD-ROMを一括購入することを決めた,との連絡があった。これは,以前からCD-ROMの無償配布の案内を行なう中で提案してきたCD-ROMの新しい配布方式がはじめて実現したものである。

 原生生物CD-ROMを教材として生徒一人一人が各自のパソコンで使用する場合はCD-ROMが大量に必要になるが,そのような需要が全国的規模で発生した場合は,無償配布ではとても応じきれない。しかし,CD-ROMの原盤(スタンパー)が製造会社に保管してあるので,著作権者である我々の了解を得た上で,自由に必要枚数(ただし100枚単位)を発注してよいとすれば,希望者(各自治体ごとの学校組織)は,1枚あたりわずか150円前後(1000枚購入の場合)の価格でCD-ROMを入手できる。愛知県豊橋市教育委員会では,この提案を採用し約1000枚ほどをCD-ROM製造元へ発注したのである。

 近年,学校教育の現場では,コンピュータ教育の重要性が増しつつあるが,今後,パソコン本体の導入が進むにつれ深刻化してくると予想されるのが,そのパソコンで使用する教材の不足である。多種多様で高価な教材をパソコンの台数分揃えるというのは,予算的に無理がある。

 しかし,今回のように,研究者や他の小中高校教員が独自に製作した教材をCD-ROMにして,その原盤を作るまでの経費を開発者である研究者もしくは教員が負担し,一方,その原盤を使ってCD-ROMを製造する経費はCD-ROMの利用を希望する各学校(自治体単位)が負担するというシステム(役割分担)が確立すれば,全国で製作された多様な教材を少ない予算支出で大量に入手することができるようになる。

 今回の豊橋市教育委員会による一括購入は,出版等のマスメディアを介さずに学術情報を大量頒布できる可能性を示したものとして意義がある。

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