平成9年度知的基盤整備推進制度
「生物系研究資材のデータベース化及びネットワークシステム構築のための基盤的研究開発」
2-1. 生物資材情報発信のためのWWWサーバ構築サポートシステムに関する研究

PREV | NEXT

3.研究成果の詳細内容

3-1-3. イメージスキャナーを使った
    電子顕微鏡データの取り込み




 電子顕微鏡(EM)画像は特殊な条件で撮影された写真で,それらをPhotoCD経由でディジタル化したばあい,適切な階調が得られない場合が多い。そこで,ショウジョウバエ神経系データベースでは,EM写真のデジタル化を透過原稿光源付きのイメージスキャナーを用いて行う方式を開発した。
 イメージスキャナーにはARCUS II(AGFA社,600 DPI 平面解像度,12 bit階調分解能)を使用し,EM写真を400DPI 8bit Gray 画像(2200 x 1800 pixels)としてデジタル化した。
 元々EMネガ(4x5inchサイズ)はサイズ的に大きいので,PhotoCDシステムほどの高い解像度は不要であり,600 dpiで取り込むことで十分な解像度の画像を得ることができる。しかし,EMネガの濃度は露光条件により大きく変化し,かつ単一ネガフィルム内での濃度分布はむしろ均一で圧縮されている。従って,単なる一括処理では適切な階調を得ることは難しく,各ネガごとに取り込み時の濃度調節を行う必要があった。
 一方,取り込み時のネガのセッティングやネガ番号の入力などの作業はできるだけ一括して行えた方が効率的である。そこで,パソコン上で4枚のネガ単位で自動的に画像を取り込む系を構築した。システム構成は以下の通りである。

1. スキャナーの取り込み領域に自作した専用のネガスリーブ置き,そこに4枚のネガを置く。
2. 専用ハイパーカードスタック(自作)を起動し,4枚のネガ番号(画像ファイル名)を入力する。
3. このスタックは,スキャナー専用ソフト(Agfa Scan)を起動し,ネガスリーブ上の各ネガに対し自動露出測定の後,画像読み込みを行う。
4. 出来上がった画像ファイルは,入力されたファイル名に変更しApplePhotoFlashを起動して,サムネール画像として表示する。

 以上の方式で,所要時間はネガ4枚で約10分であった。更にネガの交換時間,名前の入力時間を加味して,約16枚/時間程度の処理能力であった。現在,この方式で約2000枚のEM写真の入力を終えている。今後,この中からデータの選択を行い,公開に向かう予定である。

PREV | NEXT