平成9年度知的基盤整備推進制度
「生物系研究資材のデータベース化及びネットワークシステム構築のための基盤的研究開発」
2-1. 生物資材情報発信のためのWWWサーバ構築サポートシステムに関する研究

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3.研究成果の詳細内容

3-1-4. 動画撮影条件の検討



 一方,多くの生物には「動く」という特徴があり,動きによって表現される種の特徴などは静止画像では記録できない。そのため,動画として生きた状態を記録するシステムが必要となる。今年度はそのための予備的な撮影条件の検討とともに,来年度以降動画記録作業に入るために用いる機種の選定を行なった。
 動画の撮影は当初,通常のビデオカメラ付顕微鏡を用いて行ったが,これでは撮影対象がかぎられてしまうことが判明した。原生生物など生きた微生物の撮影を行う場合,培養法が確立され撮影したい生命現象が容易に再現できるという条件が備わっているならば,通常のビデオカメラ付顕微鏡でも十分であろう。しかし,動画データベースの素材として撮影する対象は多種多様であり,その多くは培養法も確立されていない野外から採集されたままの生物であることが多い。また,撮影したい現象は,いつでも容易に再現できるわけではなく,通常の顕微鏡観察の間に偶然出現することの方が多い。
 したがって,顕微鏡には,通常の写真撮影装置とビデオカメラの両方が接続してあって,必要に応じて随時,写真撮影とビデオ撮影が切り替えられるものが望ましい。これならば,通常の観察および写真撮影の間に,動画として記録したい場面が出現した場合には,すぐにビデオ撮影を行うことができるので,貴重な生命現象などを「取りこぼす」ことなく記録することができる。
 しかし,写真撮影装置とビデオ撮影装置の両方を同時に接続できる顕微鏡は少なく,色々検討した結果,DIC顕微鏡(ツアイス社のアキシオスコープ)に専用四眼鏡筒(特注)を組み合わせることでこの目的が達成できた。次年度からこの撮影装置を使って実際に様々な原生生物の動態をビデオテープに録画する作業を開始する予定である。


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