平成9年度知的基盤整備推進制度
「生物系研究資材のデータベース化及びネットワークシステム構築のための基盤的研究開発」
2-1. 生物資材情報発信のためのWWWサーバ構築サポートシステムに関する研究

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3.研究成果の詳細内容

3-1-2 ビデオカメラを使った静止画像入力


3-1-2a. その利点と欠点

 今回,新たに「ジョウジョウバエ神経系画像データベース」の作成を開始した。
その内,神経組織の永久プレパラート標本について,顕微鏡に接続したビデオカメラからの直接デジタル画像入力(640 x 480 pixel の RGB カラー画像)を試みた。撮影は顕微鏡(カールツァイス社アキシオスコープ)に3CCDビデオカメラ(SONYDXC930)を接続し,画像をビデオモニターで確認しつつデジタル静止画記録装置(SONY DKR700)でMDディスクに記録した。
 この方式の利点は
1. モニターで確認した画像をそのまま記録できることから,露光調節などの失敗がない。
2. MDディスク1枚に1000枚まで画像を記録できるので,フィルム交換の手間が要らず,かつ経済的である。
3. 3CCDカメラから得たRGBコンポーネントビデオ信号をDKR700でデジタル化(4:2:2)することで,理論的にはPhotoCDよりも高い色再現性が得られる。
4. 同一の画像アングルで多焦点の画像を記録することが可能なので,デジタル画像合成処理することで焦点深度の深い画像を得ることができる。(参照:http://mac2032.fujimi.hosei.ac.jp/Ant.WWW/METHOD/Ant_Macro/Focus.htm
5. 顕微鏡のXY移動装置との組み合わせにより,同一XY軸上で複数の画像を撮影することが可能であり,それらの画像を合成することで超広視野画像を作ることができる。
 また,欠点としては以下の点が挙げられた。
1. ビデオ画像(640 x 480 pixel)の画素数はコンピュータのモニター上に表示するのには適しているが,印刷出力まで考えると不足している。
2. インターレース方式で記録しているために,動いている細胞を記録する場合にビデオノイズが発生する。その分を補正すると解像度が半減してしまう。

 以上の2点はいずれも動画を前提としたビデオカメラに特有の性質で,これらの問題点を回避するためにはデジタル静止画記録専用のビデオカメラの導入が必須である。

3-1-2b. デジタルビデオカメラの選定

 上記のようなビデオカメラの欠点を補うことの可能なデジタルビデオカメラを選定するために以下の3機種を用いてテストを行った。
(参照:http://mac2032.fujimi.hosei.ac.jp/Ant.WWW/METHOD/Ant_Macro/Digital.html

 1)FUJI HC2000(140万画素3CCD)
 2)SONY DK5(140万画素3CCD)
 3)ポラロイド DMC(98万画素単版CCD)

 テストの結果,1),2)については従来のビデオ方式と同程度の画質でより高解像度の画像を得ることができた。3)については,単版CCD方式を採用しているため色分解能が従来のビデオ方式に比べて低かった。
 3機種に共通した問題点として,プレビュー機能を用いた撮影条件の設定の難しさ挙げられた。1),2)では通常ビデオモニターにダウンコンバートしたプレビュー画像を表示する。3)では,SCSI接続のパソコンモニター上に白黒プレビュー画像を表示する。これらのプレビュー表示は何れの場合も適切なフォーカスや露光を得るためには十分と言えず,結果として複数条件で取り込んだ画像から優れたものを選ぶ方式を併用しないと,最適な記録画像は得られなかった。この問題点は,「見たものを撮る」という,ビデオ撮影系の最大の利点を生かすことを難しくしている。
 以上のテスト結果に基づき,最終的な機種選定では,コンピュータに内蔵した専用ボードを使いプレビュー機能を大幅に改善した新製品FUJI HC2500を購入することに決定した。

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