いすみ市
トンボの沼(高田堰)
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千葉県いすみ市にある沼地。 高田堰というのが従来からの名前。「トンボの沼」は いすみ環境と文化のさとセンターが設置された際, 身近な自然に対する理解を深めてもらうための「スポット地区」の一つとして高田堰につけられた呼び名。 他の溜池と異なり池端が湿地状になっているため,様々な生物が生息する場となっている。 原生生物もそれなりに多様。以下に示すように,沼の南側にある葦原ないし湿地付近にはたくさんのミドリムシ類, 及び,マルロモナス類がいた。ここは古くから溜池として利用されてきたそうだが, これだけ原生生物相が豊かということは, ここが溜池として利用される以前から湿地ないし沼地として存在していた可能性が高い。
観察された原生生物名一覧(現在 59 種)

採集日:2007.12.16 ウオッちず で位置確認
トンボの沼に到着(いすみ市高谷),10:59
沼の手前で沼方向をパノラマ撮影。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),10:59
さらに近付いて,沼の南東端からパノラマ撮影。 沼の南側は葦原になっている。沼の南側と東縁に木製のデッキが敷設されている(注)。 1枚目:野鳥を撮影に来たらしい人が前方を歩いていた。ヤシの木?が育っているのがいかにも房総らしい。
なお,国土地理院の地図にはこの沼地の名前が記載されていないが, 千葉県いすみ環境と文化のさとセンターのホームページには「トンボの沼(高田堰)」と記されている。 昔から湿地だったところを一部溜池に作り替えた場所なのか,それとも堰が出来てから湿地化したかは不明。

注:後で資料を調べてわかったが,沼の西側(山際)にも色々あるようだ(草地広場,駐車場?)。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),10:59
木製デッキに上がり再度前方をパノラマ撮影。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:00
1枚目:まずは沼の南側に敷設された木製デッキへ。 前方に沼に突き出した地面部分がある。 2枚目:地面の先にもデッキ状の木道があるが,先で左に折れて沼岸へ向っている。 画面の右下にわずかに写っているが,右に曲ると離れ小島に建てられた四阿まで伸びる木製デッキがある。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:01
四阿まで伸びる木製デッキへ向う。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:01
四阿方向を撮影。途中は葦原になっている。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:01
デッキ状の木道を渡って四阿のある離れ小島へ向かう。 木道の両脇は葦原だが水深もかなりある。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:02
1枚目:四阿へ向かう途中で木道脇を撮影。結構,水深がある。 2〜4枚目:対岸というは離れ小島になっている四阿のある場所の岸辺は葦も生えているが, 水面には枯れかけのヒツジグサNymphaea tetragona)がたくさん見られた。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:03-11:05
デッキ状の木道を渡り終え,離れ小島の岸辺に近付いて 採集(トンボの沼-1, -2)
翌日(12/17)の観察結果,冬の定番であるマルロモナスが多数,かつ,多様な種がいた。 初観察の種類もいくつか混じっていた。 また,ミドリムシ類(ミドリムシ,ウチワヒゲムシ,レポキンクリス,トラケロモナス,ペラネモプシス,アニソネマ)も多数。 とくにミドリムシ(Euglena)とウチワヒゲムシ(Phacus)は種類が多かった。 一方,接合藻類はミカヅキモが一種(Closterium pronum)でほとんど見つからなかった。

観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, クリプトモナス(Cryptomonas), ミドリムシ6種以上( Euglena deses, 小型のE. tripterisE. fundoversata, ), ウチワヒゲムシ6種以上( Phacus gigas ?, P. pyrumP. tortaPhacus sp.), レポキンクリス(Lepocinclis ovum), トラケロモナス2種以上(Trachelomonas), ペラネモプシス(Peranemopsis), アニソネマ(Anisonema), リピドデンドロン(Rhipidodendron), ポンフォリクソフリス(Pompholyxophrys sp.), ナベカムリ(Arcella), トゲフセツボカムリ(Centropyxis sp.), ディフルギア( Difflugia acuminataD. oblongaDifflugia sp.1-2), ユーグリファ(Euglypha), トリネマ(Trinema sp.), ブレファリスマ(Blepharisma sp.), ウロトリカ(Urotricha), コレプス(Coleps), ストロンビディウム(Strombidium), トラケロフィルム(Trachelophyllum) ハルテリア(Halteria)??, スチロニキア(Stylonychia), ヒスチオバランティウム(Histiobalantium natans), ディセマトストマ(Disematostoma bütschlii), 棘毛類繊毛虫, 小型繊毛虫数種, ストケシエラ(Stokesiella leptostoma), シヌラ(Synura), マルロモナス9種以上( Mallomonas allorgeiM. mesolepisMallomonas sp.), サヤツナギ(Dinobryon sertularia), トリボネマ(Tribonema, 葉緑体2個), 珪藻少々, テトラバエナ(Tetrabaena socialis) , ApiocystisBulbochaete, ツルギミドロ(Draparnaldia)?, ミクロスポラ(Microspora), ミカヅキモ( Closterium pronum), ネンジュモ(Anabaena), ワムシ, ケンミジンコ, イタチムシ,

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:06
1枚目:四阿の脇を通って対岸の沼側へ向かう。 2枚目:潅木の間から沼が見えた。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:06
1〜3枚目:岸辺に近付いて前方をパノラマ撮影。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:07-11:08
1枚目:こちら側でも採集(トンボの沼-3)。 上記の採集地点(トンボの沼-1, -2)では多様な原生生物が観察できたが,こちらは以下のようにかなり少なめ。 距離的にはわずかだし,どちらにもヒツジグサが繁茂していて似たような環境のはずだが・・・。 沼に面していることで水流などの影響があるのかも。 2枚目:少し風が吹いて水面にさざ波が立った。 ヒツジグサ(スイレン,Nymphaea tetragona
観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, 大型ウロトリカ(Urotricha), マルロモナス(Mallomonas), アンソフィシス(Anthophysis), 珪藻少々, ツルギミドロ(Draparnaldia)?,

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:10-11:11
1枚目:四阿を出て沼岸にある休憩所へ向かう。 2枚目:休憩所。トイレはこの中にある(注)。

注:普通はトイレの入口は外側にあることが多いと思うが,ここは建物の中にある展示コーナーの奥にトイレの入口がある。 後で出てくる「いすみ環境と文化のさとセンター」もそのような作りだった(はず。外にトイレがなかったので)。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:13
沼を離れる前に東側のデッキ状木道を歩いてみることにした。 休憩所近くから西〜北方向をパノラマ撮影。

トンボの沼(高田堰,いすみ市高谷),11:13-11:15
1枚目:画面が傾いてしまったが, 木道脇にはヒツジグサNymphaea tetragona)がたくさんみられた。 2枚目:木道はここで終わり。この付近には適当な採集ポイントがなさそうなので車道へ出た。 今度は次のポイント,昆虫の広場へ向かう。

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