加美町:荒沢湿原
ビン沼
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宮城県加美町にある薬莱山(やくらいさん,標高 553.1m)の南西に点在する沼と湿原からなる地帯を荒沢湿原というが, ビン沼は,その南西端に位置し,舗装道から分岐する未舗装道から樹林帯の中へ少し入った所にある(標高 約370m)。 沼の周囲は低層湿原の状態で大きな池塘のようにも見える。 近くにあるサギ沼 同様, 原生生物がたくさんいそうに見えたが,予想に反して少なかった。
この付近の湿地や池沼は,3〜4万年前の氷河期後期から始まった船形山山麓の地滑りでできたといわれるが, ビン沼じたいはいつ頃できたかは不明。意外と新しいのかも知れない。
観察された原生生物名一覧(現在 30 種)

採集日:2009.5.24 ウオッちず で位置確認

ここで右折,林道 葡萄沢線に入る(加美町),10:19-10:20
1枚目:町道滝庭線はここで左にカーブするが,その隣に未舗装の林道がある。ここへ入る。 なお,ここから町道滝庭線をさらに先へ進むと,ほどなく荒沢(大滝川の支流)を越えるはず。
2枚目:角に立つ様々な案内板。 3枚目:右の未舗装道の名前がここに記してあった。葡萄沢というのはどこにあるのだろう? 地図上で探してみたが見つからなかった(注)。 なお,この林道も,国土地理院の地図には描いてあるが,市販の地図にはない。 なお,最下段にある「小野田町」は合併前の旧称。現在は加美町。

注:この後,上田谷地入口に戻った際,古い保安林の案内図を見てわかった。 葡萄沢というのは,ここより北側を流れる鹿の又川(地図では鹿又川)の上流部のことをいうらしい。 実際,国土地理院の地図だと,この林道はこの先で大きく右にカーブして鹿の又川(ブドー沢)の右岸沿いを東北東へ進むように描いてある。 そして,最後は,復路で通る 鹿の又川に架かる堀切橋の手前で,この町道滝庭線にふたたび合流している(模様)。

林道 葡萄沢線を西北西へ(加美町),10:20
道路際にはあちこちでタニウツギWeigela hortensis)が花を付けていた。 この花はこの荒沢湿原のいたるところで咲いていた。かなり数が多い。

林道 葡萄沢線を西北西へ(加美町),10:21
これはウマノアシガタ)?

林道 葡萄沢線を西北西へ(加美町),10:21
昇り坂で,かなり大きな石がゴロゴロした砂利道のため,途中で自転車を降りて歩いた。

林道 葡萄沢線を西北西へ,地図だとこの辺のはずだが・・・(加美町),10:23
1,2枚目:パノラマ撮影。 地図だとこの右奥にあるはずなのだが,,,道路からは見通せない。

もしかしたらここが?(加美町),10:25-10:26
1枚目:途中のカーブに車寄せらしい場所があった。 付近には何の案内もないが,,,。 2枚目:車寄せの先に踏跡があった。土手を上がって林の中へ進む道があるようだ。 自転車を抱えて入ってみることにした。

踏跡?があった(加美町),10:26
踏跡は林の奥まで続いていた。が,しかし。 踏跡は道路沿いに先へ伸びているので,このまま踏跡を辿っていくとビン沼から遠ざかってしまうはず(注)。

注:後述するが,ガイドブック(日野・葛西著,南とうほく花の湿原,無明舎,2002)によると, ビン沼の北西側に「葦毛沼」という沼があるらしい(他の地図には描かれていないが)。 もしかすると,この踏み跡は,その「葦毛沼」に通じているのかも知れない。 次回は探索してみよう。

おそらくこの方向だろう(加美町),10:27
すると,途中に開けた場所があった。 草が生い茂っているので踏跡があるかはっきりしないが, ビン沼はおそらくこの先にあるはずだ。 ということで,こちらへ進むことにした。

レンゲツツジを戻る時の目印に(加美町),10:28
道がはっきりしないので,途中にあるやや目立つ レンゲツツジRhododendron japonicum)を戻る際の目印にすることにした。

ビン沼に到着(加美町),10:29
1〜3枚目:ほどなく前方に水辺が現れた。 ここがおそらくビン沼のはず(注)。

注:国土地理院の地図等には,この近辺にはビン沼しか描かれていないが, ガイドブック(日野・葛西著,南とうほく花の湿原,無明舎,2002)には,ビン沼の北西側に「葦毛沼」という沼が描いてある。 この時はそれに気づかず,葦毛沼については確認しなかった。

ビン沼,岸辺に近付いてパノラマ撮影(加美町),10:29-10:30
1〜3枚目:浮島はないが,右から沼の中心に向って草が育っている。 水深はさほどなさそうだ。

ビン沼,岸辺で採集(加美町),10:30-10:31
1,2枚目:岸辺はふかふかの状態。近付くと靴が枯草の中に沈んでしまう。 3枚目:そこで採集(ビン沼-1)
観察された生物: クリプトモナス(Cryptomonas), リピドデンドロン(Rhipidodendron), スポンゴモナス(Spongomonas), トゲフセツボカムリ( Centropyxis aculeataC. ecornis), ディフルギア( Difflugia sp.), アミカムリ(Nebela collaris), ユーグリファ( Euglypha acanthophoraEuglypha sp.), トリネマ(Trinema enchelys), Paulinella chromatophora, スピロストマム(Spirostomum teres), コレプス(Coleps hirtus), ディセマトストマ(Disematostoma minor), TetraedriellaPseudostaurastrum, 珪藻各種, クンショウモ(Pediastrum tetras), イカダモ(Scenedesmus quadricauda), ゲミネルラ(Geminella), ミカヅキモ(Closterium idiosporum), ホシガタモ( Staurastrum connatum), ミジンコ, クマムシ,

ビン沼,隣でミツガシワが群生していた(加美町),10:31
1枚目:今度は,右にある沼の中心に向って突き出している草地近くで採集してみることにした。 2枚目:これは??)。

ビン沼,ミツガシワの群生(加美町),10:31-10:32
草地の先ではミツガシワMenyanthes trifoliata)が群生していた。

ビン沼,ミツガシワ(加美町),10:32
ミツガシワMenyanthes trifoliata)。

ビン沼,ミツガシワの近くで採集(加美町),10:32
これまでの経験上,ミツガシワの周辺には原生生物が豊富な場合がほとんどだったので, 期待しつつ採集(ビン沼-2)。 しかし,予想に反してここの原生生物相は貧弱だった。 これは意外。
既述した様に,荒沢湿原周辺は地滑り地帯なので,このビン沼は出来てからさほど時間が経っていないのかも知れない。 また,標高がさほどないのも原因しているかも。 後でわかるが,原生生物が比較的多くいた田谷地沼でも,高地の湿原に多いネベラ類や, 大型の接合藻類(アオミドロを除く)がほとんど,ないし,まったくいなかった(注)。
観察された生物: クリプトモナス(Cryptomonas), スファエラストルム(Sphaerastrum), ナベカムリ(Arcella sp.), ユーグリファ(Euglypha tuberculata), コレプス(Coleps hirtus), 小型繊毛虫数種, シヌラ(Synura), 珪藻各種, クンショウモ(Pediastrum tetras), フタヅノクンショウモ(Pediastrum duplex), コエラストルム(Coelastrum sp.), アオミドロ(Spirogyra), イタチムシ, ワムシ,

注: とあるHPによると,田谷地沼の泥炭層はわずか1mほどの厚さとのこと。 これは前回訪れた山形県 県民の森にある琵琶沼(標高約600m)の11m以上あるという泥炭層とは比較にならない。 琵琶沼には多数の原生生物がいたが,田谷地沼の原生生物相がさほどではないのが, これである程度うなずける。
仮に泥炭層の厚さと原生生物の種数がおおよそ比例するとすると, このビワ沼の泥炭層はかなり薄い(=沼ができてからあまり時間が経過していない)可能性がある。 果たして本当のところはどうだろうか?

ビン沼,立ち去る前に再度パノラマ撮影(加美町),10:33
1〜4枚目:このように外観的には非常によいのだが・・・。

ビン沼,ジュンサイ?(加美町),10:33
ジュンサイBrasenia schreberi)。 これは他の沼でも育っていた。 ただし,こればかり?他の水草は目につかなかった。

ビン沼,も一度パノラマ撮影(加美町),10:33-10:34

ビン沼,青空が爽やか・・・(加美町),10:35
これはコナラQuercus serrata)?

林道 葡萄沢線に戻る,林床には様々な植物が(加美町),10:36-10:35
??), ??)。 往路でみつけたレンゲツツジの大きな株を頼りになんとか道路へ戻った。

林道 葡萄沢線を東へ(加美町),10:38-10:40
2枚目:次に訪問を予定していたサギ沼は,前方の町道滝庭線との合流点の近くにあるが, この時は,タクシーを降りた上田谷地の入口近くにあると勘違いしていた。 そのため,このまま舗装道を下ってしまった。

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