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2014.06.20

Part II: 2013.07.21採集サンプルの観察

浄土平南の小湿原の池塘にいたアカハライモリ Part III
採集後,4日目の様子(2013.07.25撮影): コマゴメピペットの吸い口ギリギリの大きさだったようで,この1匹が混入してしまった。 鰓の様子からイモリかサンショウウオだろうと予想したが,成長するにつれイモリであることが判明。
幼生の時はブラインシュリンプを餌に与えていたが,変態して陸に上がってからしばらくは, 淡水で洗ったブラインシュリンプをスポンジ(下段の画像参照)の上に置いて与えた。 動くものしか食べないが,ブラインシュリンプがわずかに動いていたのだろうか, このイモリはしばらくジ〜ッと眺めた後,空腹に耐えかねたようにかぶりついていた。
ある程度大きくなってからは,水で湿らせた金魚の餌をヘラに乗せて口元に近付けると, わずかに震えるのを見てかぶりついて食べるようになった。 淡水で洗ったブラインシュリンプの塊も同じようにして食べる。 他に乾燥アカムシも餌に与えている。 ピンセットでアカムシをつまんで水に浸し,それを口元に持っていくと,かぶりつく。
ただし,アカムシはやや大きいので一部が口から飛び出してしまう。 また,金魚の餌なども口の周囲に残ると,スポンジに口先をつけ頭を左右に振って擦り取ろうとする動作をする。

現在(2014.06.20)はこのような状態で暮らしている
1枚目:水を少し入れた水槽に,セルロース性のスポンジタワシを2つ重ねて置いてある。 スポンジタワシは軽いので,浮力で浮上がらないように重しとしてデプレッションスライドを上に置いてある。
2枚目:狭いところが好きなようで,スポンジタワシと水槽の隙間(ここにもタワシの切れ端を置いてある)で ジッとしていることが多い。
3枚目:2013.09.05(採集から1ヶ月半後)に陸(タワシ)に上がった。 それまでに徐々に鰓が体内に引き込み,両手両足が生え揃った。 いったん陸に上がってからは,今日(2014.06.20)まで自分から水に入ったことは一度もない。 無理矢理入れれば泳ぐが,すぐに陸に上がってしまう。水が嫌いなようだ。 また,1週間に1度か,それ以上の頻度で脱皮?を繰り返している。 脱皮が近付くと急に餌を食べなくなる。脱皮の際は,自分の身体を周囲に擦りつけて皮をむいている。 時々,手伝ってやることもある。

イモリの散歩(2014.06.20): ときおり水槽の外に出して散歩させている。 水槽の中ではジッとしていることが多いが,外に出すとゆっくりと歩き回るようになる。 大きくなるにつれ,最近は急に駆け出すこともある。

イモリの散歩(2014.06.20): 手の平に乗せると元気に歩き回る。 暖かいせいか,乗せてしばらくすると,私の手の平の上でオシッコをすることが多い。 大便は5,6日に1回程度。かなり大きなものを出す。

イモリの散歩(2014.06.20): 双眼実体顕微鏡の観察台の上に置いてみた。 正面から見ると,カエルとほとんど同じだ。

しかし,これよりおよそ7ヶ月後,,,

2015.01.31 イモリが死んだ

2015年に入ってほどなくイモリは自ら水に入るようになった。 それまでは無理矢理水に入れてもすぐに出てしまったのだが,大きな変わりようだ。 いよいよ両生類としてイモリ本来の生活をするようになったのか,とこの時は喜んだのだが・・・。
しかし,何故かそれとともに,餌を食べなくなった。 それまでは乾燥アカムシや蒸し「しらす」などを水にひたしたものを目の前で動かすと,元気に食いついてきたのだが, 一切,何も受け付けなくなった。 (それまで嫌いだった水を好きになったのだから,おそらく大きな体調の変化が起きたのだろう。 食欲が一時的に落ちることもあろうだろうと, 当初はそれほど深刻には考えなかった。いずれ食欲は回復するだろうと予想したのだが・・・)。
1週間,2週間たっても餌を食べてくれない。それでも元気に動き回っていたが,,。 3週間目が近付くにつれ,次第に衰弱が目立ってきた。腹部も膨らんだままで(おそらく栄養失調?)外見的にはあまり変わりがないのだが, 前の脚指がしっかり広がらなくなり(1,2枚目),動く際も足下がおぼつかなくなった。
2015.01.30夜: このままでは死んでしまうと判断し,強引に口を開けて最近購入した冷凍アカムシ(ドジョウやフナは喜んで食べている)を 口の中に押し込んでやった,のだが・・・。
翌日(2015.01.31)大学へ来ると,イモリは水中に身体を伸ばした状態で動かなくなっていた (裏返ってはいなかった。最初は生きていると思ったほど)。 昨晩,私が帰宅する際は水の外にいたので,その後,自分から水に入ったのだろう。 もしかすると,息継ぎをする体力もなくなって窒息死したのかも知れない。 それとも,単純に衰弱死した可能性もある。両方? 昨晩,無理矢理餌を食べさせたのが原因とは思いたくない。。。残念。合掌。
孵化直後に採集したので,1年半の命であった。 体長はおよそ10cm(10cmシャーレの蓋より1cmほど長い程度)まで成長した。 まだ大人にはなっていなかった。
脚が出て陸に上がった際にも,食性が変わったが,ティシュの上に置いた生きたブラインシュリンプを食べてくれたので,なんとか生き延びることができた。 それからおよそ1年は水中に入らないで過ごしたが,大人が近付くにつれ,両生類本来の生態になったが, この際にも食性というか,なんらかの体調の変化が起きるようだ。 これにうまく対応できなかったのが,今回,イモリを死亡させてしまった原因だろう。


生きている時に,身体を裏返しすると,嫌がってすぐに反転して元の状態に戻ったのだが,今となっては裏返しになったままだ。

以下は,水槽のガラス板に貼付けていた観察記録。
2013.09.05:陸にあがる。
2013.10.11:脱皮。 2014.03.15:脱皮。 2014.04.23:脱皮。 2014.05.08:脱皮。(この後,脱皮しなくなる)
2015.01.10:久しぶりに脱皮。水をいやがらなくなる。 しかし,この頃から餌を食べなくなる。
2015.01.15:朝から水中にいた。
2015.01.24:自ら水に入り,泳ぐようになった。 一日中水の外にいた頃の皮膚はかさかさに乾いていたが, 水中で過ごすようになると,水に入る際に,皮膚が剥がれるようになった(これは以前から知っていた)。 それとともに,皮膚は薄く常にベトベトするようになった。
2015.01.29:体重測定,4.4g

Part III : フナとアマガエル