アサガオ節(section Pharbitis)植物は、イポメア亜属 Ipomoea subg. Ipomoeaの中で最も原始的な要素を持ち、ほとんどが3心皮性雌しべ(3-lobed gynoecia)をもっている。
分類の歴史をみると、ショアジー(Choisy)は3心皮性雌しべを持っているという特徴をとらえて、イポメア属から分離して、genus Pharbitis(アサガオ属)を独立させた。その後、クラークはIpomoea subgenus Pharbitis(イポメア属アサガオ亜属)を設けている。日本に洋学としての植物学が入り、アサガオについてはPharbitis nil Choisy の学名が広く用いられきた。特に園芸花卉として、この学名は一般に用いられて、著者も採用してきたのである。しかし植物分類上はショアジーの見解は支持されておらず、近縁種のマルバサガオは古くからIpomoea purpurea (L.) Rothと呼ばれており、この観点からアサガオの学名を Ipomoea nil (L.) Rothとした。ただし、歴史的および園芸的なことも考慮して、このアサガオ類データベースではアサガオをIpomoea nil (または Pharbitis nil)と記載している。
オースチンら (Austin and Hu man,1996) はアメリカ大陸のヒルガオ科植物を調査し,イポメア属植物を亜属,節,列(series)に分類している。以下に示すのは,この中のイポメア亜属 subg. Ipomoea L. のアサガオ節 sec. Pharbitis である。
イポメア亜属 subg. Ipomoea L.
アサガオ節 sec. Pharbitis (Choisy) Griseb.
ser. Pharbitis (Choisy) D.F. Austin アサガオ列
マルバアサガオ Ipomoea purpurea (L.) Roth などが含まれる。
ser. Heterophyllae (House) D.F.Austin
アメリカアサガオ Ipomoea hederacea Jacq.,
ノアサガオ Ipomoea indica (Burm.f) Merr.,
アサガオ Ipomoea nil (L.) Roth などが含まれる。
ser. Tyrianthinae (House) D.F. Austin