ブロムモザイクウイルス



Brome mosaic virus. BMV

 植物に感染してモザイク斑や壊死斑を生じるブロモウイルス科(Bromoviridae)ブロモウイルス属(Bromovirus)のウイルス。

感染と病気

 スズメノチャヒキ(Bromus inermis)に感染して緑色が薄くなる(退色した)モザイク斑を生じるのでこの名がある。感染する植物の種類は広く、大麦、小麦などのイネ科の他、タバコ、キュウリ、アカザ等にも感染する。デンドロビウム、パンジー、ヒヤシンスなどに感染すると、花に斑入り(color breaking)を引き起こす。ハムシによって伝搬される。

粒子構造と遺伝子

 直径27nmの正二十面体粒子。エンベロープは持たない。4本に分かれた(分節した)一本鎖(+)RNAを遺伝子とする。4本とも、5'末端にはCap構造を持つが、3'末端側にPolyAは無い。3'末端側の塩基配列は、アミノ酸の一つであるチロシン(tyrosine)を結合するチロシン転移(t)RNAの塩基配列に極似している。

(矢崎 和盛<法政大学>)


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