尚,スティグマステロ−ルを加えるのに使用したピペットはそのまま水につけるとスティグマステロ−ルが,壁面にこびりついてしまうので,いったんエタノ−ルで内部を洗浄してから水につける。
培養液:そして,この原液 50 ml を DW で希釈して 800 ml とした上で(したがって一本の原液から16本の培養液ができる;もし,16本も作る必要がなければ残った原液が無駄になるので,最初の豆を20g/フラスコとして100 ml を希釈して800 ml とすれば8本),再びオ−トクレ−ブしたものが培養液となる。(レタスで作る培養液ではこの後,バクテリアを加える際に,Ca も追加するが,赤エンドウの場合は入れなくとも大差ないので,大量培養用の培養液をつくる場合などは,煩雑さを防ぐために Ca は入れない。もし入れるならば,その際は必ずCaも別個に滅菌しておくことを忘れないように{後述}。)
滅菌後,スラントで培養してあったバクテリアを加え,約1日後に使用する。
ヒント
そのためには,無菌室で作業を進めることが最良だが,それもままならない場合は,さまざまな工夫をすることが必要となる。筆者は,後述するカルシウムを加える際にあらかじめカルシウム液をスラント内に注ぎ入れ,バクテリアを火で焙った白金耳でそぎ落として,カルシウム液とともに培養液の中に加えている。こうすると,培養液の蓋を何度も開け閉めせずに一度にカルシウムとバクテリアを加えることができるので,それだけ,(蓋の開け閉めによる)コンタミの起こる確率を減らすことができる。
バクテリアの加え方: 培養液の作成において最も注意しなければならないのは,作成過程での雑菌の混入(通称コンタミ)を防ぐことである。コンタミがおきてしまうと,おなじバクテリアなので見た目ではわからないので,そのまま,培養液として使うと次第に培養状態が悪化し,実験にならなくなる場合もある。したがって,できうる限り,コンタミが起こりえない状態で培養液作りをすることが望ましい。
アカエンドウマメ培養液の作成法
実物の写真
(左;滅菌前,中;オートクレーブした原液,右;バクテリアを接種する前の培養液)
最終濃度
クエン酸ナトリウム 100mM(2.0mM) 29.4g/l
リン酸1ナトリウム 30mM(0.6mM) 4.7g/l
リン酸2ナトリウム 70mM(1.4mM) 12.5g/l
pH 7.0
参考: 滅菌後に加えるCaは,下のものを6ml/800mlとする
CaCl2 200mM(1.5mM) 22.0g/l
このカルシウム液も事前に滅菌して保存しておく。筆者は,一回分ずつをスクリューキャップで蓋のできるネジ付試験管(16×125mm)に分注して滅菌し保存している。こうすると,大容量で保存しておく場合に生ずる操作過程でのコンタミをなくすことができる。
滅菌後,試験管を斜めにして寒天を固まらせる。これが,いわゆる斜面培地である。これに,白金耳でバクテリアを移植して培養する。一晩たつと白金耳でなぞった後にバクテリアのコロニーが線状に現われる。一般的には,これに培養液を少量加え,バクテリアを白金耳を使って懸濁させた上でもとの培養液に戻す。しかし,筆者は,前述したようにカルシウム液と一緒にして加えている。
*栓としては,綿栓が古くから使われてきたが,最近では,シリコン性のものがよく使われるようになっている。いわゆる「シリコ栓(シリコンをスポンジ状にしたもので,通気性がある栓)」が手頃だが,シリコン性のダブルキャップ(折り返しのついた栓)でも構わない。
ヨ−ロッパ原産で畑に栽培される越年草本で,秋に種子をまく。茎は高さ1m内外,円柱形で無毛,中空で直立する。葉は互生して葉柄があり,葉質はやわらかく,1〜3対の小葉をもった羽状複葉で,先端は分岐した葉ひげとなり,茎が直立するのをたすける。小葉は卵形または楕円形,長さ2〜5cm,頭部は円形で末端には微ー起があり,基部も円形でごく短い柄がある。ふちには時には小数の小きょ歯があるが,,一般には全縁。托葉は葉状で小葉よりもずっと大きく,半切した心臓形で下半部のふちには歯牙状のきょ歯がある。春に葉アから長い花軸を出し,大てい2個の紫色の蝶形花をつけ,側方を向いて開く。花には花柄があり,がくは緑色で先端が5裂し,永存性で,後まで残る。旗弁は淡紫色でひろく,倒心臓形。そりかえって直立する。翼弁は円形で左右の2枚が互いに接着し,濃紫色。竜骨弁は小形でとがる。豆果は線状長楕円形,種子は5個くらい生じ,やや4稜があり,褐色で食べられる。[日本名]エンドウは漢名,豌豆の音よみである。現在一般にエンドウというのは,花が紫色の本種と,白色花をもつシロエンドウの両方を指す。農業品種としてはシロエンドウの他に,アオエンドウ(グリ−ンピ−ス)サヤエンドウがあり,広く栽培されている。古名ノラマメ。