ただし,いったんrestriction & modification positive,の株で増殖したプラスミドは,Eco RI site が修飾されるので,つぎの形質転換の際に宿主細胞が hsdR であるか否かを気にする必要はない(しかし,そのプラスミドは,Eco RIで切ることができないので利用価値は低くなる)。逆に,C600 rm などで増殖したプラスミドは,Eco RI site が修飾されていないので restriction & modification positiveの株に入れるのは困難である。
C600 rm hsdR, hsdM, supE, lac, leu, thr (r- m-)
MC 1061 hsdR, supo, araD139, lacX74, Δ(ara,leu), galU, galK, strA
バクテリアの培養
バクテリアは,Tryptone-yeast extract medium (L broth) で培養する。
L broth の組成
Bacto-tryptone (Difco) | 1 % | 10 g/l |
Bacto-yeast extract | 0.5 % | 5 g |
Na Cl | 0.5 % | 5 g |
glucose | 0.1 % | 1 g |
本来は,37゚Cで,振とう培養するのだが,振とう器がなかったのでつぎの方法を採用した。
まず,試験管に入ったL broth 3 mlにバクテリアを接種し,一晩培養する。
以前は,培養装置が不足していたので,三角フラスコに摂取してマグネットを回して撹拌培養していたが,これは大量のL brothを消費するので無駄が多かった。しかし,その後,回転培養器がつかえるようになってからは,上記のように試験管で必要最小限の量ですませることができるようになった。
注意: また,以前は,増やし過ぎたバクテリアを後で使うために冷蔵庫に保存していたが,これは危険だ。後で使用する抗生物質で死なないコンタミがおきていた場合は,それらを形質転換体と見誤ってしまう。・・・・これでだいぶ失敗した。各実験ごとに改めて培養をスタートしたほうが無難だ。
翌日,一部を新しい培養液に移植し1〜2時間培養する。これで増殖期の細胞をつくる。バクテリアを 2000 rpm x10'で遠心し集菌する。これに,あらかじめ0゚Cに冷してあった CaCl2 50 mM(滅菌ずみのもの,緩衝液は含まない)をもとの培養の1/2 程度加え,0゚C で,20〜30' 置く。これで, conpetent cell ができる。
*細胞を冷やすには製氷機の氷を利用できればよいが,ないので近くのデイリーストアーから買ってきたロックアイスを砕いて利用する。意外と便利。それほど金もかからない(1kg=200円)。
つぎに,また集菌して (2000 rpm x10'),もとの培養の 1/50 〜1/100 程度に濃縮した状態で, CaCl2 50 mM に suspendする。この液 50〜100 ulに対し 0.1〜0.5 ug の pBR322 DNA を加え,0゚C で(on ice ; <4゚C )20〜30'静置する。
その後,1 mlの L brothを加え,37゚Cで30〜60'おいてから,適当な選択マ−カ−を含んだ軟寒天培地(Tryptone-agar )に撒くか,あるいはファージDNAの場合は,軟寒天培地に宿主細胞とともに撒く。
Tryptone-agar の組成
Bacto-tryptone | 1.0 % | 10 g/liter |
Na Cl | 0.5 % | 5 g |
glucose | 0.1 % | 1 g |
Bacto-agar | 1.5 % | 15 g |
pH 7.2〜7.3
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形質転換の検出&選択培地の作成法
アルカリ法
追記:軟寒天培地は,以下のようにして作る。(途中)