原生生物情報サーバ | 原生生物学情報 | DataBook | 実験プロトコル

アメ−バF株に由来するRNAプラスミドの単離

核酸の単離−dsRNA分離法による場合

細胞質の分画を行なった後で,核酸の単離をする場合

moeba proteus 株の中で,F株だけは細胞の中(おそらく細胞質)に kbの大きさのdsRNA を持つことがわかった。以下にその単離法について説明する。

アメ−バの培養

 アメ−バの培養は通常のテトラヒメナを餌にした培養法を採用した。培養液は,当研究室で通称しているKCMである。

    KCMのイオン組成:     K Cl

Ca Cl2     別紙参照

                   Mg Cl2                 

   *KCMを作るには,100 倍の原液を作っておき,使用時に希釈する。

テトラヒメナは,通常の Polypeptone,Yeast extract,glucose(PPYG)培養液により培養した。

PPYG の組成:      Polypeptone     2 %

              Yeast extract    0.2~ %

              glucose      0.1~0.2 %

注意:上記の PPYG medium に移植してから2〜3日たったものを餌として用いる。これ以上経過したものは,餌として加えた際に死体がでる。死体がでると,培養液が汚れる結果,餌を食べている最中のアメ−バは本来シャ−レに硬く接着しているはずのものが,死体からでた成分の影響でか,非常にシャ−レからはがれ易くなり,その後の旧くなった培養液の交換がやりずらくなる。そのため,死体がでやすくなったもの,すなわち, PPYG medium に移植してから2〜3日以上たったものは,餌としては使用しないほうが賢明である。

 昭和61年末から菅井氏の開発した新しいPPYG培養液を採用した。

 この培養液では,ポリペプトンとグルコースの量比が逆転している。

アメ−バ細胞の集め方  これは至極簡単。アメーバは泳がないので,シャーレのそこに沈むのを待って,上澄みを捨て,できるだけ細胞密度を高くした後,スピッツ管に入れててまわし遠心機で遠心する。ゆっくり回すだけですぐに試験管の底に細胞のペレットができる。

dsRNAの単離

A:まず,DNA/RNAの資料をSTEに溶かし,
   これにエタノ−ルを最終濃度が15%になるまで加える。

  STEとは・・・        原液   200mlあたり  

  0.1 M NaCl      5M NaCl 4. ml /200ml

    0.05 M Tris pH 7.0  1M Tris 10. ml /200ml

    0.001 M Na2-EDTA    0.5M EDTA  0.4 ml /200ml

B:つぎに,おなじSTE(含:15% EtOH )に浸したセルロ−ス(例;2.5 gr dryweight)をカラムにつめ(カラムはパスツ−ルピペットで代用可),これに上記の資料を流す。流すといっても,つまって流れにくいので,ピペットの上にキャップをつけて無理矢理圧力をかけてやると早く落ちる。
 (この方法も,その後改良された。カラムについては特別注文で少し大きめのものを作ってもらった。また,キャップをつけて手で押したのでは疲れるので,二連球と呼ばれるゴムでできた簡易加圧器具を使うと簡単になる。二連球の先についているゴムの管をカラムに接続するのである。そうしてからゴムの部分に空気を送り込み加圧状態にする。そうすれば自然にカラムの方にも圧力がかかることとなる。)

 これで,dsRNAのみがセルロ−スに吸着される。余分なものを8倍容量のSTE(含:15% EtOH )で洗い流す。

C:つぎに,エタノ−ルを含まないSTEを流すと,吸着されていたdsRNAが出てくる。
  *この方法は根気がいるが,得られるdsRNAの量,純度は非常に高い。

 この他に簡便法として,セルロ−ス粉末を加えたあと振とうし,遠心で粉末を集め,STE(含:15% EtOH )で洗った後,エタノ−ルを含まないSTEで振とうして,dsRNAを取り出そうとした。しかし,この方法では,あまりきれいに単離できなかった。一度位の遠心では十分にdsRNAと他が分けられないのかも知れない。

参考文献:

  ????


Copyright 1995-2008 原生生物情報サーバ