1997年10月2日(木)18:00−21:00 奈良女子大学 F会場 にて開催予定
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電子アリ図鑑とは、インターネット上に公開された、日本産アリ類全258種の分類検索データベースである。カラー画像や線画情報の他に、分類学的記載、分布図、文献等の最新の学術情報が入力されている。本来、分類に関する学術的データベースであるが、画像を中心にした各種検索システム(イメージ検索、地域別検索、図解二分岐検索、マトリックス検索)を備えているので、アリの素人も迅速かつ正確に種の検索同定をすることができる。(http://ant.dna.affrc.go.jp/Ant.WWW/htmls/index.html)
1995年にインターネット上に公開してから、現在まで約190万6千回のアクセスがあり、平成9年6月には月間23万回を記録した。インターネットの優良ホームページを紹介した各種イエローページには、必ず上位にランクされ、米国航空宇宙局NASAに次いで2位になったこともある。また、学術審議会の「ユニバーシティ・ミュージアム」構想の一環として出された報告書「学術標本画像データベース作成の指針」にモデルケースとして掲載された実績をもつ。
最近、図鑑のテキスト文を英訳して、バイリンガル電子アリ図鑑を公開した。まだ試作段階ではあるが、データの入出力や検索に汎用性の高い新システムを採用し、汎用性データベースにさらに一歩近づた。(http://ant.dna.affrc.go.jp/Ant.WWW/indexJ.html)
このようにカラー画像を中心にした電子アリ図鑑は、現在系統分類学の分野で、インターネット情報革命の最先端を走っていると言っても過言ではない。分類学的には大変遅れた「アリ」で、このような奇跡が生じたのは、日本蟻類研究会と生物情報学のメンバーの幸運な出会いと緊密な共同作業の賜物である。しかし、人生観や学問的背景のまったく異質なグループの意志の疎通は、必ずしも順風満帆ではなかった。
この機会に、電子アリ図鑑に秘められた意図は何か、また電子アリ図鑑はいかに作られたか、さらに21世紀の情報化社会に与えるであろう電子アリ図鑑のインパクトについて、エピソードを交えながら話してみたい。本講演が、これから各種データベースを作ろうとする人達に少しでも参考になれば幸いである。