平成9年度知的基盤整備推進制度
「生物系研究資材のデータベース化及びネットワークシステム構築のための基盤的研究開発」
2-1. 生物資材情報発信のためのWWWサーバ構築サポートシステムに関する研究

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2.成果の概要


2-1. 画像試料の作成とそのディジタル化

 画像データの元となるのは,生きた生物,もしくは,それらを固定・染色した保存標本である。これらを静止画像として記録するには,通常の顕微鏡カメラによる撮影の他に,ディジタルカメラによる撮影がある。前者は,画質等の点では優れているが,撮影された画像をあらためてディジタル化する作業が必要になる。これについては,スキャナーなどにより手作業でディジタル化する方法もあるが,通常の35 mm スライドの場合,PhotoCD作成を業者に依頼した方が画質・コストの両面で優れている。原生生物および日本産アリ類については,いずれもPhotoCD方式で画像のディジタル化を行なっている。
 ただし,電子顕微鏡画像など特殊な条件で撮影されたものについては,PhotoCD経由でディジタル化するのはコスト的に無理がある上,画質的にも問題がある。そこで,新たに作成を開始した「ジョウジョウバエ神経系画像データベース」では,電顕写真のデジタル化を透過原稿光源付きのイメージスキャナーで行った。
 また,神経組織の永久プレパラートは顕微鏡に接続したデジタルビデオカメラを用いて撮影し,直接デジタル画像(640 x 480 pixel の RGB カラー画像)を得た。デジタルビデオカメラに関しては,メーカー各社の最新機種の比較検討も行った。
 一方,多くの生物には「動く」という特徴があり,動きによって表現される種の特徴などは静止画像では記録できない。よって動画として生きた状態を記録するシステムが必要となる。原生生物などの微生物については,顕微鏡観察下で動画記録をすることになるが,そのためには,通常の顕微鏡カメラと連携したビデオカメラ撮影システムを構築することが望ましい。今年度はそのための機種選定を行なった。

2-2. ディジタル画像のデータベースへの組込み,および,ネットワーク公開

 得られたデジタル画像を効率的・効果的にデータベースに組み込むためには,トリミング・色調補正・画像サイズの変更などを行う必要がある。さらにそれらをネットワーク上で公開するには,画像圧縮・保存ファイル形式の変更・ファイル名の変更等の処理が必要である。これらについて詳細な検討を行った。
 データベースを公開するにあたっては,WWW形式を採用すれば,専用のブラウザソフトを準備する必要がなく,それだけ利用者側からは利用しやすくなる。また,サーバ側に必要な検索等の機能は外部のサーチエンジンを利用することもできる。さらに,近年はコンピュータのOSそのものにWWWサーバ機能が内蔵されるようになっており,ネットワーク上での公開は比較的簡単になりつつある。

2-3. 学会における啓蒙活動

 また,一般の研究者向けに画像データベースの構築とネットワーク公開のノウハウと問題点を紹介するワークショップを日本動物学会の関連集会として開催した。

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