インターネットを利用した生命科学情報の広域データベース化とその意義
日本産アリ類カラー画像データベースの紹介

6.データベースの内容紹介

 以上のような経過により現在,日本産アリ類カラー画像データベースは,WWW版とファイルメーカープロ版の2種類がある。ここではWWW版のみを紹介する。なお,ファイルメーカープロは,サーバ用のソフトも発売される予定(英語版はすでに発売中)なので,将来的にはファイルメーカープロ版のアリ画像データベースもインターネットを経由して利用できるようにする予定である。

データベースの構造
 WWW版アリ画像データベースは,現在,総ファイル数3806,総ファイルサイズ201Mbytesで,そのうち,画像ファイルはファイル数2284,ファイルサイズは196.4Mbytesである。残りはすべて画面に表示される説明文や他のファイルとのリンクを記述したハイパーテキスト(数1522,サイズ4.6Mbytes)である(図3)。
 ただし,ハイパーテキストのほとんどは同じ内容のものが日本語と英語で2つずつ用意されているので実質的なファイル数は半分になる(英語用は内容が未完成のものが多い)。画像はサイズが小さいものはGIF形式で,大きいものはJPEG形式で画像圧縮されている。画像および種の解説文などは今後も追加される予定である。

データベースの動作
 WWW版日本産アリ類画像データベースにネットワークからアクセスすると(あるいは,CD-ROMの「アリ図鑑」アイコンをダブルクリックすると)図4のような初期メニューが現われる。
 このうち,1(WWW版日本産アリ類の検索と解説)がデータベースの本体である。2(スミスコレクションと採集標本)はかつて文部省でこのデータベースのデモをする機会があり,その際,模式標本と画像データベースの比較を示すために作成したものである。3(21世紀の系統分類学への提言)と4(インターネットを利用した生命科学情報の広域データベース化とその意義)はCD-ROMにあわせて作成したマニュアルに掲載した内容をそのままハイパーテキスト化したものである。画面下にある「English」をクリックすると英語版メニューが表示されるが,英語版は途中までしかできいない。

 図4の1のタイトルをクリックするとデータベース本体へ移動する(図5)。ここは,基本的には「検索と解説」の構成を踏襲している。ただし,「イメージ検索」はオリジナルで,以下の二分岐法検索では初心者には検索がむずかしいのではという配慮から作成した。各属の代表的な種の画像の一覧(図6)を表示させ,その中で調べようとする標本と似たものを選んでさらに属以下での絞り込みが行なえるようにしてある。
 また,「用語解説」や「二分岐法検索 ;図7」では,本文中にある専門用語をクリックするとそれに該当する説明図(GIFファイル)が表示されるようになっている。「種名一覧検索」はすでにある程度種名の絞り込みができている場合にそれを個別に確認するために利用する。
 図8は最終的にたどりつく各種の紹介画面の一例である。各アリごとに主に側面と上部からみた全体像,および,頭部前面の画像計3枚が用意してある。ただし,現在画像があるのはデータベース化された250余種の中の110余種のみである。各画像をクリックするとさらに大きなサイズ(768 x 512もしくは1536 x 1024)の画像が表示される。また,すべての種について調査された県別分布データ【15】がありその画像データが用意してある。また,種の解説中にある引用文献をクリックするとその文献の著者名,タイトル,掲載雑誌名のリスト【14】が表示される。
 この他,種以外にも属,亜科等の解説などもあるが,それらの説明は省略する。詳しくは前述した農業生物資源研究所のミラーサイト( http://www.dna.affrc.go.jp/htdocs/Ant.WWW/htmls/index.htm )にアクセスして実体験願いたい。また,平成7年度はCD-ROM版を正式に製作・配布する予定なので希望者は著者まで連絡願いたい(CD-ROM版にはWWW版の画像データベース以外に,先に紹介したファイルメーカープロで作成したデータベース,および動画データも含まれる。価格・配布時期等は未定)。  なお,データベースは絶えず追加・更新されているため,アクセスされた時にはかならずしもここで紹介したものと同じとはかぎらないのであらかじめご了解願いたい。

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