インターネットを利用した生命科学情報の広域データベース化とその意義
日本産アリ類カラー画像データベースの紹介
【要約】
生命科学における知識は関連する情報の集積がなければ意味をなさない。しかし,今日では生命科学関連の研究活動がさかんになるにつれ情報の洪水が起きつつある。膨大な量の情報を効率的・効果的に利用するためには研究情報のデータベース化が必須である。ただし,多種多様な生命科学情報のデータベース化を専門機関のみにたよることはできない。そのため,近年は研究者自らがサーバを管理し,それらをインターネット上で相互にリンクさせたdistributed, public domain databases (DPDD)を作る動きがさかんである。
生物分類学では,従来原記載のもととなった模式標本が世界各地に分散しているため,それらを利用することは非常に困難な状況にあった。模式標本およびその他の分類情報を電子化しDPDDとしてインターネット上で利用できるようにすれば有用であろう。その一例として,我々と日本蟻類研究会は協同で日本産アリ類258種を対象とした生物分類カラー画像データベースを構築し,それをインターネット上で公開した。また,同じものをCD-ROMでも利用できるようにした。
【キーワード】インターネット,サーバ分散型広域データベース,日本産アリ類,カラー画像データベース,分類情報
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