一関市
厳美渓
(天工橋周辺)
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観察された原生生物名一覧(現在 65 種)

採集日:2011.08.20 ウオッちず で位置確認

厳美渓バス停で降車(一関市),09:19-09:22
1枚目:まもなく厳美渓バス停。乗車したバスは小型のバスだった。駅からは7,8人が乗車した。 数名は途中で下車したが大半はここで降りた。私も降りた。 2枚目:厳美渓バス停。 3枚目:バス停の時刻表の一番下に須川温泉行きの時刻が記してあった。 松川温泉行きがここにやってくるのは 10:21。ちょうど1時間ある。

周辺案内図とバス停向いにあるサハラガラスパーク(一関市),09:22
1枚目:バス停近くにある「厳美渓 周辺観光ご案内」。これと同じ案内図があちこちに立っていた。 2枚目:バス停の向いにあるサハラガラスパークの入口を撮影。

バス停隣の天工橋(てんぐばし)へ(一関市),09:22-09:23

厳美渓,天工橋から下流方向を見る(一関市),09:23
下を見ると磐井川の流れとは別に岩場の一部に大きな水たまりがあった。 周囲には草木が生い茂っている。一時的なものというよりも長期間安定した水場のようだ。 あそこへ近付いてみることにした。車道へ戻る。

厳美渓,バス停を過ぎて東へ進むと,,(一関市),09:24
鉄柵の脇に下へ降りる階段があったが,,。入口の扉は閉まっていた。 他にないかとさらに歩道を東へ。

厳美渓,河川敷に降りる階段があった(一関市),09:25
またあった。今度はさきほどの場所より,よりしっかりした作りだ。扉も開いていた。 下へ降りられそうだ。

厳美渓,河川敷に降りる(一関市),09:25
階段の途中から河川敷を撮影。 河川敷といっても全部が岩盤だが。 岩場の右には四阿がある。その左側の岩の窪みには水がたまっている。

厳美渓,河川敷に降りる(一関市),09:25
1〜3枚目:途中にある斜めの鉄板部分(やや滑りそう)で,再度パノラマ撮影。 岩盤と道路側の間にあるのは狭い水路(流れているようには見えないが)であることがわかる。

厳美渓,河川敷に降りた(一関市),09:26
岩盤の窪みにある水たまりへ近付く。

厳美渓,水たまりには草が生えていた(一関市),09:26
生えているのは通常,乾燥した地面に生えるタイプの草だ。 ということは,ここは現在はたまたま水があるが,通年では干上がっている時間が長いと思われる。 水底に深緑色のものがあるが,これはおそらくアオコの類だろう。 アオコは乾燥にも強い。

厳美渓,水底を見るとひび割れの跡があった(一関市),09:26
これは乾燥した際に起きたひび割れのはず。 ここは採集ポイントとしては適当ではない。パス。

厳美渓,近くの別の水たまりにはホタルイが(一関市),09:27-09:28
1枚目:これはホタルイの仲間。湿地でよく見かける草がここに生えているということは, この水たまりは完全に干上がることはなく,長期間水があるか,少なくとも湿った状態が維持されていると考えられる。 ならば,原生生物も期待できそうだ。 2枚目:ということで採集(厳美渓-1)。 翌日観察すると,予想外に多くの原生生物が観察できた。 しかも,通常平地では見かけない接合藻がたくさんいたのには,驚いた。
観察された生物: ウチワヒゲムシ(Phacus pyrum), トラケロモナス(Trachelomonas sp.), 小型鞭毛虫数種, ディレプタス(Dileptus), ミクロトラクス(Microthorax), 小型繊毛虫数種, 珪藻各種, イカダモ(Scenedesmus), サヤミドロ(Oedogonium), コウガイチリモ( Pleurotaenium minutumP. nodosum), ツヅミモ( Cosmarium obsoletumC. quadrifariumCosmarium sp.), ホシガタモ( Staurastrum muticum), トゲツヅミモ(Xanthidium)または,  ホシガタモ(Staurastrum sp.), イボマタモ( Euastrum ceylanicum), ネジモ(Spirotaenia diplohelica)?, ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens), ユレモ(Oscillatoria), ワムシ, センチュウ,

厳美渓(一関市),09:28
これはホタルイの仲間だと思うが,,??

厳美渓,さらに岩場の先へ(一関市),09:29

厳美渓,別の水たまり(一関市),09:30-09:31
1枚目:ここには周囲にコケのように見える草がびっしり生えていた。 2枚目:水垢はやや少なめだが,湿地になっているのは確かなので,ここでも採集(厳美渓-2)。 ここにも通常,平地では見かけない接合藻がたくさんいた。
観察された生物: ミドリムシ(Euglena obtusa), ベキシリフェラ(Vexillifera), ディフルギア( Difflugia), ディレプタス(Dileptus), ツリガネムシ(Vorticella), クンショウモ(Pediastrum boryanum), ツヅミモ( Cosmarium globosumC. obsoletumC. pseudopyramidatumC. regnellii?, Cosmarium sp.1Cosmarium sp.2), イボマタモ( Euastrum gnathophorumE. sinuosumEuastrum sp.), クロオコッカス(Chroococcus), ワムシ, イタチムシ, センチュウ,

厳美渓,水たまりの先は立入禁止(一関市),09:33
ロープが張られ,川岸へは近付けないようになっていた。
1〜4枚目:ロープ際から川の流れをパノラマ撮影。

厳美渓,180度向きを変えて階段脇の水路(ないし跡)らしき場所へ(一関市),09:34

厳美渓,岩盤と崖の間にある水たまり,ないし,水路(一関市),09:34
水際は深く落ち込んでいる。近付こうとしたが,周囲の草が深く足場が悪かった。 万が一滑り落ちてはヤバイので,ここでの採集は中止。

厳美渓,水際に咲く花を望遠撮影(一関市),09:34
これはキンミズヒキAgrimonia pilosa var. japonica)。

階段を上がり車道へ戻る(一関市),09:37

厳美公園?へ(一関市),09:39
1枚目:バス停近くにある周辺案内図を再度撮影。今度は対岸にある公園(厳美公園?)へ行ってみることにした。 2枚目:天工橋から厳美渓の下流側を撮影。 遠くに見える吊り橋は「御覧場橋」。この後,訪れた。

厳美渓,天工橋の途中で進行方向をパノラマ撮影(一関市),09:40
2枚目:公園?は橋を渡って右にある。

厳美渓,天工橋の袂から公園をパノラマ撮影(一関市),09:40

橋の袂を右折すると,すぐにこのような場所が現れた(一関市),09:41
1,2枚目:パノラマ撮影。 1枚目:「厳美郵便局臨時出張所」。これは何をするためにここに設置されたのだろう? 観光で訪れた人が知り合いに絵葉書を出すため? 2枚目:松林の先には岩盤の河川敷が。岩盤の中央には四阿もある。ここが「公園」のようだ。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:41-09:42
1〜3枚目:厳美郵便局臨時出張所の脇から河川敷に入ったところでパノラマ撮影。 ここも岩盤と渓流の境にはロープが張られ,川岸へ近付けないようになっていた。 あちこちに数人ずつのグループがいて思い思いに過ごしていた。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:42
岩盤の中央付近から下流側にある天工橋を背景にして撮影。 前方にやや大きな水たまりがある。周囲は岩盤であるにも関わらずマツなどの樹木がたくさん生えている。 近付いてみることにした。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:43-09:45
1枚目:水たまりの奥では湿地に生えていそうな植物が。ここも比較的安定した水たまりのようだ。 2枚目:水底を見ると深緑色の塊が。これはおそらくユレモ塊。 3枚目:少し先には緑色のドロリとした藻塊もあった。それも入れて 採集(厳美渓-3)
翌日(8/21)の観察では,以下のようにたくさんの原生生物が観察された。 前の2サンプルよりもかなり多い。それどころか,今回の採集サンプルの中ではここの原生生物がもっとも種数が多かった。 この後訪れた須川高原の湿原群よりも多い。 前の2サンプル同様,湿原でしか見ることのなかった大型の接合藻がたくさんいた。 とくにここには,これまで2,3箇所でしか観察したことのないコウガイチリモの一種, Pleurotaenium kayei が大量にいたのには驚かされた。ここは湿原か?と疑うほど。 長年月,安定した水たまりとして維持されてきたのだろう(注)。 周囲には松の木が育っているが,おそらくこの水たまりはこれらの松が芽吹くはるか以前からここにあって, これまでに数多くの微生物がここにやってきて少しずつ定着したものと推察される。
今回は,バスの時刻表が知らないうちに変更されていて,時間潰しにここを訪れた訳だが, 結果的には他に例をみない珍しくも多様性に富んだ原生生物の生息地を発見することができたことになる。
観察された生物: ミドリムシ( Euglena mutabilis小型, Euglena sp.), ウチワヒゲムシ( Phacus helikoidesP. warszewiczii), トラケロモナス(Trachelomonas allia), キクリディオプシス(Cyclidiopsis acus), アクチノスフェリウム(Actinosphaerium), マヨレラ(Mayorella penardii), ディフルギア( Difflugia), ナスラ(Nassula), ハルテリア(Halteria), ウロレプタス(Uroleptus), 珪藻各種, オーキスチス(Oocystis), エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), グロエオキスティス(Gloeocystis sp.), ホシミドロ(Zygnema), コウガイチリモ( Pleurotaenium kayeiP. nodosum), ミカヅキモ( Closterium cynthiaC. intermediumC. libellulaC. navicula), ツヅミモ( Cosmarium connatumC. globosumC. obsoletumC. pseudarctoum?, C. pseudopyramidatumC. quadrifariumCosmarium sp.1), ホシガタモ( Staurastrum ensiferum ? 初観察S. leptodermum f. minor ?, S. sexangulare), Staurastrum sp.1), イボマタモ( Euastrum affineE. ansatum var. javanicumE. gnathophorumE. sinuosumE. subalpinum), アワセオオギ(Micrasterias ceylanica), ハタヒモ(Netrium digitus), タテブエモ( Penium cylindrusP. polymorphum), フタボシモ(Cylindrocystis), ユレモ(Oscillatoria), Nostoc

注:それにしても不思議なのはどうやって水が供給されているかだ。 ここは渓流からはかなり高い位置にある。よほどの大雨が降って川の水位が上昇しないかぎりここまでは水流は達しないはずだ。 となると,雨水しかないが,通常の水たまりだと数日晴れれば干上がってしまうだろう。 ここはある程度の深さと広がりがあるので,結構な量の雨水を溜めることができるのかも知れない。 晴れが続いて大部分が干上がっても,多少とも水が残っていれば,そこで多くの原生生物が生き延びることができる。 そうやって長年月命を繋いできたのだろう。
水底は土ではなく岩盤なので,雨水が地下に浸透しない分,水のたまった状態が長期間維持されるはず。 これが幸いしているのかも。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:47
上と同じ位置から,今度は180°向きを変えて上流方向をパノラマ撮影。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:47
四阿の先まで行ってみたが,こちらにはめぼしい採集ポイントは無かった。

厳美渓,厳美公園(一関市),09:48-09:50
1枚目:公園の入口近く(厳美郵便局臨時出張所の隣)にも周辺案内図があった。現在地を確認。 2枚目:天工橋を渡ってバス停に戻る途中,厳美渓の上流側を撮影。 画面左がさきほどまでいた厳美公園。

厳美渓,ふたたび車道へ出て西へ(一関市),09:53
須川温泉行きのバスが来るまでにはまだ30分近くある。 今度は,さきほど階段があった場所のさらに東にある御覧場橋(ごらんばばし)という吊り橋まで行ってみることにした。

厳美渓,右前方に吊り橋が見えてきた(一関市),09:54
道路際には階段も見える。あそこを降りれば吊り橋へ到達できそうだ。

厳美渓,御覧場橋(一関市),09:55
1,2枚目:パノラマ撮影。ここで階段を降りるが,その前に・・・。

厳美渓(一関市),09:55-09:56
階段の隣で咲いていたムクゲHibiscus syriacus

厳美渓,御覧場橋(一関市),09:57
1枚目:橋の入口。2枚目:吊り橋の様子。

厳美渓,御覧場橋(一関市),09:57
橋の中央付近から下流側(1枚目)と上流側(2枚目)を撮影。 2枚目:前方にさきほど行き来した天工橋が見える。

厳美渓,御覧場橋(一関市),09:57-09:58
1〜3枚目:パノラマ撮影。 橋を渡って対岸へ行っても仕方がないので,橋の袂まで戻った。 脇を見ると,四阿(2枚目)があり,その左(1枚目)下流方向に下っていく遊歩道があった。

厳美渓,御覧場橋近く(一関市),09:58-09:59
1〜3枚目:パノラマ撮影。 遊歩道を下っていくと,右手に磐井川が見えてきた。川岸も見える。

厳美渓,御覧場橋近く(一関市),09:59
1〜3枚目:パノラマ撮影。 遊歩道の先はこのような大きな岩の上だった。 左に斜面があり,そこを降りれば川岸へ近付けそうだが,斜面は苔むして湿っている。 滑りそうだ。かなり距離もあるので滑るとやや危険。 ここから見ると,川岸も岩だらけ(というか一続きの岩盤)で水際を見るかぎり,原生生物はあまりいそうにない。 危険を犯してまで近付きたくなるほどではないので,ここで引き返すことにした。

降りてきた左の階段を上がる(一関市),10:01
「厳美渓」の案内板の両脇に車道へ上がる階段があった。 ここは降りて来た左の階段を上がる。

厳美渓バス停へ戻る(一関市),10:03-10:04
2枚目:須川温泉行きのバスが来るまで後17分もあるが,他にすることもないので, ベンチに座って待つことにした。

須川温泉行きのバスが到着(一関市),10:24-10:26
1枚目:定刻(10:21)よりやや遅れて須川温泉行きのバスがやってきた。路線バスなのでこれくらいの遅れは仕方がない。 2枚目:整理券番号は「8」。 なお,駅から厳美渓までの料金は,たしか490円だった。 事前の調査で,駅から須川温泉までは1450円(2007年と同じ)なので,差額の960円かと思ったが,そうではなかった。 厳美渓から須川温泉までだと1150円?くらいだったはず(少なくとも1100円以上だったことは確か)。

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