原生生物の採集と観察
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6 補 遺

2:ろ紙を利用したゾウリムシの集め方
 ここで紹介するのは,前述のアカエンドウマメ培養法などにより大量培養したゾウリムシを集める方法である。これは,ゾウリムシから細胞内にあるミトコンドリアや核などのオルガネラを単離したり,単離した核からDNAを抽出する際に必要になる。

1:細胞とゴミの分離
 まず,培養の定常期に入ったものは,底にたくさんのバクテリアのかたまりが沈澱している。ほとんどゴミだが,これらを除くためにフラスコを斜めにしてしばらくおく。(斜めにするには,試験管立てを横にしてそこにフラスコを置く。)すると,ゴミはフラスコの片隅に集まるので,これらがなるべく混じらないように気をつけながら,ロ−トに乗せた8枚くらい重ねたガ−ゼの上に培養液を注ぐ。

2:ろ紙による細胞の濃縮と洗浄
 つぎに,ろ紙をひだ状に折ったものをロ−トにのせる(東洋ろ紙の場合,NO. 1 (240 mm) ;ただし,これはゾウリムシでの話。細胞のサイズがもっと小さい種類では当然より目の細かいものにしないと漏れてきてしまう。)。これに細胞の入った培養液を注いでいく。このとき,ロ−トとろ紙が密着すると,液が落ちにくくなるので,ロ−トは,溝のついたものを用いる。
 この条件だと,3〜4リットルの培養液だと,数分で細胞を集める(濃縮する)ことができる。集めた後,細胞を洗いたい場合は,洗浄用の緩衝液を少しずつロ−トにいれてやり,培養液と置換する。

この方法のポイント
 この方法で問題なのは培養液に含まれる浮遊性の微細な雑菌塊である。これが多いと濾紙が目詰まりして漉過に時間がかかる。場合によってはいつまでたっても濃縮できないこともある。その場合は,新しい漉紙に移して濾過を続ける。


   
   

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